夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

住吉大社のこと

2012-11-06 20:39:47 | 日記

住吉大社は、御鎮座1800年記念大祭が斎行された昨年に行けなかったので、今回お詣りできてよかった。境内はおよそ3万坪もあるそうだが、多くの参拝客が訪れるのに、どこも非常にきれいに浄められているのに感心した。写真の反橋(太鼓橋)は鎌倉時代以前からあったのだという。

なお、古くはこの神社の辺りまでが海であったというから、今とはかなり眺めが違っていただろう。中世には熊野詣、伊勢詣で賑わい、後鳥羽院も熊野詣の際に訪れている。また後鳥羽院は、『新古今集』完成の直前、元久元年(1204)12月に、石清水八幡宮、日吉神社などとともに、住吉神社にも三十首和歌を奉納しているほか、その和歌にはしばしば住吉神社が詠まれており、和歌の神、国家鎮護の神としての崇敬のほどが知られる。

それだけに、後年、承久の乱に敗れ、隠岐の島に流された後鳥羽院が、配流後間もない頃の作品とされる『遠島百首』の中で、

  いにしへの契りもむなし住吉やわがかたそぎの神と頼めど

と詠んでいるのは、とてもせつない。昔、後鳥羽院はこの社頭で何を神に誓ったのか、そんなことも考えずにはいられなかった。

  住吉の千木(ちぎ)のかたそぎ そのかみにいかなることを契りおきけむ