夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

瓶井山から

2012-11-05 21:45:28 | 日記
今日は出張で、高教研国語部会秋季研究会に出席。会場はA高校。知り合いの先生方や業者に挨拶をしつつ、校内の様子を眺める。岡山県でいちばん古い歴史のある高校だけに、高く生い茂った樹々にも歳月を感じる。向こうに見える操山や東山が、時雨に打たれている景色は、冬の訪れが間近いことを告げている。しばし、時雨が見るままに山の紅葉を色づかせていく光景を幻視していた。

公開授業が始まる時間が近づいたので、見学したい授業のある教室に行こうとすると、女子高生2人が、廊下を歩きながら裏山を指さし、「湯気、湯気」と言って笑い合っている。



昔の歌人なら「霧たちのぼる」と表現するところだろうが、この年頃の女の子には、きっとティーポットなどから出る湯気のように見えるのだろう。

公開授業と実践報告とも充実した内容で、おおいに勉強になるとともに、自分もしっかり頑張らねば、と活を入れられた気になった。

出張からの帰り、A高校近くの安住院に寄ってみた。多宝塔のあたりから山々を眺めていると、本格的な紅葉には未だしではあるが、間もなく私のこよなく愛する秋が過ぎ去ってしまうことが思われ、少し寂しくなってしまった。



  瓶井山(みかゐやま)塔のもとより見渡せば時雨るる空に秋は去(い)ぬめり