「こんにちわッ、テディちゃでス!
よそうゥではァ~あしたッ?」
「がるる!ぐるるがるるるぅ?」(←訳:虎です!本当に咲くかなぁ?)
こんにちは、ネーさです。
冷たい春の嵐が吹き荒れるここ東京の、
今年のサクラ開花予想日は、延びに延びて、
明日27日……?
あんまり期待し過ぎないようにしなくちゃね~と心掛けつつ、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― パリの『敵性』日本人たち ――
著者は藤森晶子(ふじもり・あきこ)さん、
2023年12月に発行されました。
『脱出か抑留か 1940-1946』と副題が付されています。
「ううゥ、すごいィ~きんぱくかんッ!」
「ぐるがるるぐっるる……?」(←訳:この表紙はいったい……?)
御本の表紙を大きく占めているのは、
或るモノクローム写真。
↑上の画像からも分かりますように、
ゆうに数十年は昔の、古い写真です。
著者・藤森さんがこの写真と出会ったのは、
英国・ロンドンの帝国戦争博物館、
その写真資料室を訪ねたときのこと。
藤森さんが調べようとしていたのは、
第二次世界大戦の末期、
ドイツの敗北によって
パリが解放された後に撮影された写真でした。
《ドイツ兵の恋人》――
ドイツ軍の兵士を恋人に持ち、
”親独”と見做されていた女性が、
群衆の手で頭を丸刈りにされ、あるいはむりやり髪を切られ、
解放後のパリの街路を
追い立てられるように歩く姿。
そんな写真を探して、
連合軍の従軍カメラマンが撮影した写真資料のコレクションを
調べてゆくと、
『フランスの民間人』
と分類された箱があって……
一枚の写真が、藤森さんの手を止めさせます。
そこには。
「むゥ~んッ? このひとォ~…」
「がるるる?」(←訳:誰だろう?)
フランス人に連行されているのは、
『東洋人のおじさん』?
おじさんの妻かと思われるフランス人の女性も
横に写っている?
この『民間人』で『東洋人のおじさん』は
いったい何者なのか。
状況は。姓名は。連行された先は。
そして……『おじさん』の、その後の人生は。
心揺さぶられた藤森さんは、
厚く重い歴史の扉を押し開けることになりました。
ドイツ軍の侵攻が迫る1940年5月、
在仏日本大使館に促され、
マルセイユからの海路でフランスを脱出してゆく日本人たち。
彼らとは反対に、
フランス残留を選んだ者も200名以上。
『おじさん』は、残留者の中の誰かなのか?
「てがかりィはァ~」
「ぐるるがる!」(←訳:書類の記録!)
『おじさん』を探す“記録調べ”の旅は、
戦争後のパリで
『敵性』のレッテルを貼られた人々の記録と
真摯に向き合う旅でもありました。
ひとり、またひとり、
浮かんでは霞んでゆく
パリ残留を選んだ日本人たちの、心の波。
波の狭間のどこかに
『おじさん』はいるのか。
困難なテーマに、
著者・藤森さんは誠実に挑みます。
近代史好きな活字マニアさん必読、
いえ、全活字マニアさん必読の歴史ドキュメント作品を、
世界各地の戦火が止まぬ今こそ、
皆さま、ぜひ。