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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

前世をたぐる、ふしぎの旅路。

2007-08-28 13:22:18 | ブックス
 先日取り上げました中山庸子さんの著書『イケメン美術館』にて、
 この御本のことを知りました。
 さっそく御紹介いたしましょう!


       ―― デジデリオ 前世への冒険 ――


 著者は森下典子さん、’95年に単行本が刊行されています。

「ぜ、ぜんせ、ッて……びびるでスよぅ、ネーさ」

 いえ、テディちゃ、これはスピリチュアルな輪廻転生譚などとは
 同一に語れない御本です。
 たまたま、著者の森下さんは、
 『あなたの前世はデジデリオというルネサンスの彫刻家さんよ』、
 そう言われたところから出発したものの……。
 
 それからが大変です。
 歴史に埋もれた謎の彫刻家さんを探す道程は、
 長大な美術史の隙間に光を当てる苦難の旅でもありました。
 失われた名画の行方を突き止める探索にも等しい、
 とても真摯な行脚です。
 
 同時に、厳しく己れを試す、
 まるで、巡礼行のようでもあるのです。

「そなのでスか……」

 ルネサンスというのは、厄介です。
 天才がドッと輩出した時代でしたが、
 何しろその数が多過ぎて、
 レオナルドやミケランジェロら超天才の生涯はそこそこ知られていても、
 他の面々は曖昧な概略が伝えられるだけ。
 それを承知で、デジデリオという名、それだけを頼りに
 森下さんが乗り出した大冒険。

 読むうち、惹かれます。
 手に汗握って、応援したくなります。
 行っちゃえ行っちゃえ、イタリアへ! フィレンツェへ!

「ネーさ、むせきにん、でスよゥ」
  
 前世とは、あるのか?
 得体の知れぬ卜占を、信じてよいのか?
 畏れ、疑いつつ、迷いつつも、熱情抑えがたく、
 森下さん(と読者)は進みます。
 
 緊迫感に満ちた、イタリアでの様々な出来事は、
 ここに書くとネタばらしになってしまいそうです。
 森下さんがどのような結論にたどりついたのか――
 それは、御自身の目で、どうぞ。

 ただ、
 これは後悔のない旅であったと、
 それだけは言ってもいいでしょうか……。

「いってよかったたび、なのでスね」

 画像は私の読んだ集英社文庫版ですが、
 現在は新装版が、知恵の森文庫から刊行されています。
 知恵の森文庫版の方が、
 図版や写真も掲載されていて嬉しいですね。

 前世を信じても信じられなくても、
 ぜひ! ご一読を!
 



 
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