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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 20世紀の風が吹く ~

2021-04-28 23:42:18 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 せんちょうゥさァ~んッ!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!我らが誇り!)

 こんにちは、ネーさです。
 国際宇宙ステーションに到着した星出彰彦さんが、
 第65次・長期滞在クルーの船長さんに就任!
 今週末、地球に帰還する野口聡一さんと
 ガッチリ握手!
 SF映画のような中継映像に感激いたしましたが、
 本日の読書タイムは、ぐーんとレトロな
 こちらのミステリ作品を、さあ、どうぞ~!

  


 
      ―― 深夜の博覧会 ――

 

 著者は辻真先(つじ・まさき)さん、
 単行本は2018年に、
 画像の文庫版は2021年1月に発行されました。
 『MIDNIGHT EXPOSITION』と英語題名が、
 『昭和12年の探偵小説』と日本語副題が付されています。

「しょうわァじゅうにィねんッ?」
「ぐるるがるる!」(←訳:確かにレトロ!)

 宇宙ステーションが衛星軌道を周回する現在から、
 半世紀以上を遡って、
 昭和12年――1937年。

 21世紀に暮らす私たちからすれば、
 レトロであり、また、
 きな臭い時代……とも言えましょうか。

「かやくのォ、においィ……!」
「がるるぐる……!」(←訳:軍靴の響き……!)

 大戦にはまだ至っていないとしても、
 世情は不穏な予兆に満ち満ちています。
 
 銀座の路上で
 似顔絵を描いている
 那珂一兵(なか・いっぺい)くんには、
 よく分かるんです。

 似顔絵は、一枚が三銭。

 画賃を貰って
 お客さんを描きながら、
 その立ち居振る舞いを観察すれば、
 たとえ軍服を着ていなくても、
 ああ、この人は軍人なんだなあ、と
 判別できてしまうんですね。

 そして今日もまた、
 あちらこちらに
 軍人さんの姿が……?

「おッ! もうひとりィ~!」
「ぐるるる?」(←訳:お客さん?)

 一兵くんに声をかけたのは、
 常連客のひとり、
 降籏瑠璃子(ふるはた・るりこ)さん。

 帝国新聞の記者である瑠璃子さんは、
 似顔絵の依頼、
 ではなく、
 お仕事の依頼をするため、
 やって来たのでした。

  名古屋で開催されている
  博覧会に行ってみない?

「なごやァ?」
「がるる?」(←訳:博覧会?)

 それは、
 《名古屋汎太平洋平和博覧会》。

 絵の腕を買われて
 取材に同行してみないか、
 という申し出ですが、
 一兵くんが大喜びで
 このお仕事を受けたのは――

「とッきゅうゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:燕号だよ!)

 夢の特急、いえ、
 超特急《燕号》。

 やった!
 名古屋へ行くんなら、
 《燕号》に乗れる!

 ……って、要するに一兵くんは
 鉄道マニアだったのねえ。

「ざせきはァ、もちろんッ!」
「がるぐる!」(←訳:窓の側で!)

 一兵くんと瑠璃子さんを乗せ、
 《燕号》は
 名古屋へとひた走ります。

 穏やかならぬ世の動きの中、
 “平和“を名乗る博覧会で
 一兵くんたちは
 はたして何と出会うのか……?

「ふあんでけどォ~」
「ぐるるる!」(←訳:期待も大!)

 2020年には
 『たかが殺人じゃないか』で
 読書会の話題をさらった著者・辻さんの
 レトロかつ大胆なミステリは、
 時代考証が素晴らしくて、
 歴史好きな活字マニアさんにも
 おすすめの一冊です。

 昭和初期の銀座、名古屋、
 列車や雑踏の描写を、
 皆さま、存分に愉しんでくださいな~♪
 
 
 
コメント
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