テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

 ― 星の記憶 ―

2016-07-21 22:15:35 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ、さんけいィのひィでスゥ!」
「がるる!ぐるるるるがるる!」(←訳:虎です!日本三景の日だよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 日本三景とされる、
 宮城県の松島、京都の天橋立、広島の宮島を記念する
 今日7月21日の読書タイムは、
 ちょっと観光気分でいってみましょうか。
 魅惑のガイド役を務めてくださるのは、
 はい、↓こちらの御本と著者さんですよ~♪
 
  



        ―― 黄色いマンション 黒い猫 ――



 著者は小泉今日子(こいずみ・きょうこ)さん、2016年4月に発行されました。
 雑誌《SWITCH》に連載された『小泉今日子 原宿百景』に加筆訂正し、
 再構成したエッセイ作品集です。

 以前に『小泉今日子書評集』を御紹介いたしましたが、
 『書評集』に続いてこちらのエッセイ集も、
 たいそうな評判になっていますね!

「りずむがァ、すごォ~いィのでス!」
「ぐるるるがるるるぅ!」(←訳:朗読してほしいなぁ!)

 私ネーさも、思いましたよ。
 小泉さんの文章、まるでラジオドラマのようです。

 卓越した言葉のリズム、
 読んでいるうちに単語の強弱や、
 BGM、効果音が聴こえてくるかのような、
 “語り”の完成度がすばらしさ。

 これは……舞台で言葉をあやつる、
 その能力を自然に身につけている俳優さんならではのもの、
 でしょうか。

「どのォおはなしもォ~…」
「がるるぐるるる!」(←訳:まるで短編映画!)

 御本冒頭の『はじめに』は、
 こんな一文から始まります。

   私が生まれる少し前に、
   原宿という町名が消えた。

 えっ?そうなの?
 ああ、そうか、駅名の原宿は残っていても
 町の名としての原宿はもう無くなっていたのか……
 と、読み手のこころを一気に引きつけておいてから、
 さらにもう一撃を放ちます。

 『はじめに』を読み終え、
 本文の最初に収録されている
 表題作品『黄色いマンション 黒い猫』。

 ここで明かされる、
 エンターテイメント界の第一線で生きるということの
 苛烈さ、つらさ。

「びッくりシしたのでスゥ~…」
「ぐぅっるがっる~…」(←訳:ショックだった~…)

 人生が180度変わってしまった
 《スター誕生!》オーディション応募の経緯を語る
 『嵐の日も 彼とならば』。

 まだ何者でもなかった頃の自分を想う
 『海辺の町にて』。

 この御本のための書下ろし作品
 『逃避行、そして半世紀』。

「なんだかァ、しんぱいにィなッちゃいィまス!」
「がるるぅっるぐるる?」(←訳:書いちゃっていいの?)

 何も隠さず、誤魔化しもなく。
 衒いもなく。

 小泉さんは書いてしまうのです。
 当時の、今の、こころの動きを。
 それはもう、読んでいる私たちが心配になるほどに。

 しかし、心配になればなるほど、
 そこに誠意があることが伝わってきます。

 嘘をつかない。
 読み手を嘲弄することは、しない。
 
 これが、私の昨日であり、今日である。

「ほこりィたかくゥ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:背筋を伸ばして!)

 私ネーさには、ミーハーと笑われるかもしれませんが、
 『彼女はどうだったんだろう?』
 という作品が衝撃的でした……

 アイドル時代、
 小泉さんが楽屋で目にした或る女の子の笑顔。
 笑顔の持ち主が選んだ道と、
 残された小泉さんが抱く思いを描いたこの一編は、
 “無念”を深く漂わせ、
 それゆえに美しい。

「いちどォ、よんだらァ!」
「がるるるるる!」(←訳:忘れられない!)

 エッセイ好きな活字マニアさんに、
 いえ、全活字マニアさんにおすすめしたい作品です。
 ぜひとも、一読を!
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする