goo blog サービス終了のお知らせ 

テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

脇役だけど、想いは主役!

2014-11-28 21:41:46 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ♪るるゥ~♪ネーさはァ~まけたァ~♪」
「がるる!ぐるるるる~がるる~♪」(←訳:虎です!♪SALEで~負けた~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、負けましたとも。
 コレ買おう~♪と手に取ったジーンズを、ハンガーに戻して、
 ちょっとだけ目を離した隙に……やられたわ。
 まんまと誰かに先を越されてしまいました。
 あぁ~ガッカリ~…なこの気持ち、
 これから御紹介いたします小説作品に癒していただきましょう。
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  



             ―― 悟浄出立 (ごじょうしゅったつ) ――



 著者は万城目学(まきめ・まなぶ)さん、2014年7月に発行されました。
 現在『みんなの少年探偵団』がたいそう評判を呼んでおります著者・万城目さんの、
 今夏に刊行された短編集がこちら、ですね♪

「かんじがァ、いッぱいィでスゥ!」
「ぐるるがるぐるる!」(←訳:題名も漢字尽くし!)

 漢字が多いのも無理はありません。
 収録されている5作品は、
 いずれも中国の文学や故事に題材をとったもの、なんですから。

 収録順に作品名を御紹介いたしますと、

 『悟浄出立』
 『趙雲西航』
 『虞姫寂静』
 『法家孤憤』
 『父司馬遷』。

 あ、三国志だな、虞美人さんかぁ、うん西遊記だ!と
 これだけで、鋭い活字マニアさんは気付いてしまったことでしょう。
 そして、作家・中島敦さんへのオマージュも。

「でもォ、いちばんッわかりやすいィのはァ~」
「がるぐるぐる!」(←訳:悟浄さんだね!)

 悟浄さんこと、
 『西遊記』の沙悟浄さん――天界では、捲簾大将(けんれんたいしょう)。

 書店さんに並んだこの御本の帯には
 《俺はもう、誰かの脇役ではないのだ》
 とあって、ハッとさせられたものです。

「ごじょうおにいさんッ、そんなにィ~…」
「ぐるるがるるるっるる?」(←訳:主役になりたかったの?)

 主役。
 それは斉天大聖孫悟空こと孫行者のように、
 妖魔をバッタバッタとなぎ倒し、
 ときにはお師匠さまの楯となり、
 天界人間界で八面六臂の大活躍をする
 華々しくも眩しい光。
 いつか俺もあんな風に――

 いえ、ちょっと違うんです。
 悟浄さんは、悟空さんになりたい、取って代わりたい、
 というのではないのです。

 俺はただ、根っからの観察者であることを止めたい。
 観察者、傍観者であることを止めて、
 物語の中へ、
 大河の激流の中へ、
 熱い砂塵の中へ、
 みずから、足を踏み出すことをしてみたい。

 そんな思いが、ふつふつと
 悟浄さんの内側に芽生えていたのでした。

「ううむゥ、だいけッしんッ、でス!」
「がるがる!」(←訳:深い思索!)

 思索のはてに、悟浄さんは何を見出すのでしょうか。

 虞美人さんのお話、
 司馬遷さんのお話もすばらしくて
 何度も読み返したのですけれど、
 私ネーさ的にはやはり、
 表題作品である『悟浄出立』が好みです♪

 もうこの御本は読んじゃったよ!という活字マニアさんは、
 どの《脇役》さんに共鳴しましたか?

 
「どのわきやくさんもォ、いいなッ♪」
「ぐるるる~!」(←訳:感情移入~!)

 未読の御方はぜひ、今年のうちに!