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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 海の都に、波と、鐘の音 ~

2012-06-17 23:28:12 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふわゥッ! たいへんッたいへんッ!」
「がるる!ぐるるがるるぐる~!」(←訳:虎です!台風が来そうだよ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 今週は台風4号が接近すると予報されていますね。
 皆さま、御用心怠りなく!
 
「れいんぶーつゥ!」
「がっる!」(←訳:カッパ!)

 本日の読書タイムで御紹介いたしますのは、
 日本が海に囲まれた島国であるのに対し、
 こちらは海に浮かぶ人工の島国!
 旅好きさんたちが憧れる、
 夢のように美しいあの都へ、さあ、どうぞ~!
 
  


 
             ―― ヴェネツィア物語 ――


 
 著者は塩野七生(しおの・ななみ)さん、宮下規久朗(みやした・きくろう)さん、
 2012年5月に発行されました。
 現在はイタリアのヴェネト州の州都として、
 かつてはヴェネツィア共和国の首都として世界に名を轟かせた《海の都》――
 この御本では、
 歴史・美術・建築の視点から都市ヴェネツィアの実像と残像に迫ります。
 地中海の覇者、
 そして文化の牽引者でもあった共和国ヴェネツィア……!

「せかいいさんッ、なのでス!」
「がるるるぐるがるがるる!」(←訳:ゴンドラがゆく水の都!)

 水都ヴェネツィアを案内してくださるのは
 この御方しかいないわ!と
 私たち活字マニアを深く頷かせる最高のガイドさん!
 作家の塩野さんと、
 美術史家の宮下さん!
 おそらくは、
 ヴェネツィア共和国の誕生から衰亡までを描いた塩野さんの『海の都の物語』で
 アドリア海沿岸都市の歴史に関する知識を得た、
 という活字マニアさんもおられることでしょう。

「かいじょうぼうえきィ、でスねッ!」
「がるるぐるぐるっ!」(←訳:海戦もあったよ!)

 地中海の、あるいはヨーロッパ社会の命運をも背負い、
 往時のスペイン王やフランス王、
 オスマン帝国の王たちと渡りあった共和国ヴェネツィア。
 ですが、塩野さんはこう記します――

  『芸術は外交の武器』。

 戦争ではなく、
 外交によって国家を存続させる。
 武器ではない、
 暗殺や策謀でもない、
 人間(ひと)こそが
 結局はすべてを動かす《鍵》――

「あーとがァ、ひとをォ、うごかスゥ??」
「がるるるぐるるがる!」(←訳:動かせるのが芸術!)

 塩野さんは続けます――

  『ティツィアーノは、ヴェネツィアがもっていた外交カードでは最高の一枚でした』。

 その言に違わず、
 各章でヴェネツィア派の画家さん・彫刻家さん・建築家さんたちが
 大フューチャーされます!
 これは、アート好きさんにとっては嬉しい驚き!
 なぜって、ヴェネツィア派についての研究書って、
 日本ではあまり無いのです。
 特に、
 ティツィアーノ(ティツィアーノ・ヴェチェッリオ)さん(1488?~1576)が大好き!という御方は、
 さあ! 
 19ページで眼を瞠りましょう!

「おおおッ! かッこいィッ!」
「ぐるるがるるぐるー!」(←訳:なんて美々しいんだー!)
「こんなかおにィ、なりたいィ~ッ!」

 『手袋を持った男』(1520年頃、ルーブル美術館蔵)は、
 塩野さん絶賛の傑作です!
 他にも、ティツィアーノさん作の王侯諸公の肖像画、
 ジョルジョーネさんの『嵐(テンペスト)』、
 バロックの先駆者ティントレットさんの巨大画、
 ヴェロネーゼさんの『エステルの戴冠』などが
 丁寧に紹介&解説されていますよ。

「うみのォ、みやこはァ、たてものもォ、きれいィでス!」
「がるるるぐるがるるる~♪」(←訳:鐘の音が聴こえてきそう~♪)

 図版や写真もとても良質な、
 ルネサンス絵画好きさんは必見の一冊です♪
 書店さんで、図書館で、探してみて下さいね~!