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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

白か?黒か?の分岐点。

2012-06-08 23:34:06 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 ふぅ~、今日の関東地方は暑かった~!
 アイスクリームを樽サイズで!とオーダーしたくなる陽気でしたよ。

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 むしむしィ~あちゅいィでスゥ!」
「がるる!がるるーるるぐるぐるーるっ!」(←訳:虎です!グリーンカーテン欲しいなっ!)

 そうね、ゴーヤ、ヘチマ、朝顔、キュウリ、トマト……
 今年は小さなメロンも緑の木陰作りにおすすめ!だそうよ。
 軒先に揺れるメロンの実……
 なんだかシュールな光景ですが、
 本日ご紹介いたしますのも、
 シュールでトリッキーなミステリ作品です。
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  


 
               ―― 玩具店の英雄 ――


 
 著者は石持浅海さん、2012年4月に発行されました。
 『座間味(ざまみ)くんの推理』と副題が付されています。
 
「ひゃわわッ!
 めがァまわるゥ~!」
「ぐるぐるがるるる!」(←訳:ぐるぐるしましま!」

 印象的な装幀は泉沢光雄さんによるものです。
 ね? この表紙からしてトリッキーでしょ??
 ならば、内容はもっともっと――

「とりッきィー!」
「がるぐるっ?」(←訳:なのかなっ?)

 この御本の主要人物のひとり、
 津久井操(つくい・みさお)さんは
 科学警察研究所の若き研究者さんです。
 彼女は――

「かがくゥけいさつゥ!」
「がるるぐるがるる?」(←訳:鑑識のひとですかあ?)

 といったような質問をされるたび、
 津久井さんは答えます。

   いいえ。
   指紋や毛髪の鑑定をするのは、
   都道府県警管轄の、科学捜査研究所です。
   わたしが所属している科学警察研究所は、
   警察庁の管轄で、
   犯罪捜査に関わる様々な基礎研究をしています。

「きききッ、きそッけんきゅゥッ??」
「がるぐるっがるるる~」(←訳:実務じゃないんだ~)

 津久井さん、
 主に防犯について研究をしているのですね。
 でも現在、ちょっとお悩み中です。
 上司から与えられた研究テーマが、
 どうにもとらえどころがなくて、難しくて。

 研究テーマは、
 ひと言でいえば、
 《成功と失敗の分岐点》。

 防ぐ意志を持ちながら防ぎきれなかった事件と、
 防ごうと試みて防ぎきった事件――
 防犯に成功した事例と失敗した事例を比較し、
 成功と失敗の分かれ目を標準化する。

「……あたまがァ、こんがらがッてェきましたでス……」
「……がるる~…」(←訳:……ボクも~…)
 
 そうよね~、
 おもいっきり頭痛になっちゃいそうな研究テーマだわ。
 事例の書類を読み返すのさえ、
 ああ、気が重い……。

 津久井さんの愚痴を聞き、
 彼女の肩の荷を軽くしてくれるのは、
 大学の先輩にあたる警視庁の警視正・大迫(おおさこ)さんと、
 大迫さんの知人で民間人の、通称『座間味(ざまみ)』くん。

 このふたりに、
 ぽつりぽつりと愚痴り始めると、
 うむむむ、不思議な化学反応が起こります。

 とうの昔に『解決』したはずの事件が、
 まったく異なる様相を顕してゆく……!

 影絵のように、
 白が黒に、
 黒が白に、
 くるん!と。

「おおッ! それがァ、みすてりのォ、だいごみィ!」
「がるるるぐるっるー!」(←訳:なるほどトリッキー!)

 古典的名作ハリイ・ケメルマンさん著『九マイルは遠すぎる』を思わせる、
 見事な短編ミステリ7作品から成るこの御本は、
 ミステリ好きさんに
 ぜひ!のおすすめ!
 2012年のミステリ作品ランキングで
 上位に入ること疑いなしの快作でしょう♪
 ミステリの美点をそなえた最良の短編、ここにあり!

「とりッくまにあさんはァ!」
「がるぐる~!がるるる」(←訳:読むべし~!なのです)