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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

じわり……な名作!

2011-01-17 23:28:48 | ブックス
 皆さま、もう節分の準備はしておいでですか?
 今年の恵方は……えーと、どっちなのかしら?
 こんにちは、混乱中のネーさです。

「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 たぶんッ、あッちィ!」
「ぐるる!がるがるる?」(←訳:虎です!こっちじゃない?)

 話題を2011から2010にちょいっと戻しますと、
 読書界でたいへんに話題となった一冊がございました。
 本日ご紹介いたしますのは、はい、こちら~!

  



              ―― シューマンの指 ――



 著者は奥泉光さん、’10年7月に発行されました。
 専門誌や雑誌等の2010ベストミステリ投票では高位にランクイン!
 ミステリ好きさん、
 そして音楽好きさんたちの関心も惹きつけた作品です。

「うむむッ!
 おんがくとォ、みすてりッ!」
「がるるぐるるる~…」(←訳:なんだか難しそう~…)

 そうですね、
 難しい、というよりは、
 一筋縄では行かない作品、でしょうか。
 犯人はだれだ?式の、
 安直なパズルストーリーではい、ようです。
 出だしからして、
 ただならない雰囲気が漂っておりますよ……

  指を喪ってしまったピアニストが
  シューマンのコンチェルトを完璧に弾けるなど、
  有り得ることなのか?

 語り手は読者に、
 また自分自身に、
 幾度となく問い掛けます。

 指の再生?
 神のごとき技量の復活?
 そんなことが?
 何かの勘違いではなかろうか?

「ふつーならァ、ありえないィでスゥ!」
「がるぐるがる!」(←訳:無理だよねえ!)

 語り手さんは、想い起こします。
 天才ピアニストと謳われるひとりの少年に出会った高校時代を。
 
 音楽大学入学を目指し、
 毎日毎日、ただ必死に、
 ピアノの練習に明け暮れていたあのころ。
 語り手の『私』よりも
 はるかな先をゆくその天才少年が
 まぶしくて仕方なかったあのころ……

「せいしゅんすとーりィー、みたいッ♪」
「ぐるる~がるがるるる……!」(←訳:でも~雲行きが怪しいよ……!)

 この御本、ほんとにミステリなのかしらん?
 音楽家になろうと志望する学生さんたちが闘わせる音楽論、
 それともシューマン分析論、なのでは?
 《事件》はいっこうに見えてこないし、
 探偵役とか犯人とか、
 登場人物さんの位置付けがさっぱり……?

 と首をヒネっているうちに、
 じわり、ひんやり、
 《謎》が姿を顕し始めます。
 
 多くのミステリ好きさんたちを唸らせた、
 その《謎》――ミステリとは?

「うむッ!
 これはァ、じわじわッとォ、きまスゥ!」
「がるるるるるーぐる!」(←訳:読み了ったあとが、怖い!)

 なるほど2010年を代表する作品だわ!と
 感心させられる一冊、
 ミステリはあまり読まないなぁ~という御方も、
 どうかぜひ!
 長く印象に残る御本になることは、間違いありません!

「じんわりィ~をォ、ぜひッ!」
「ぐるがるるるる!」(←訳:ひんやりもね!)