暴れナマズ。

「ぎょわァ～ッ！
　ネーさッ、こ、これはァッ？！　あわわわッ！」

　落ち着いてテディちゃ、地震だわ！
　わわわ、縦揺れがっ！……………あ？　お、治まった、んでしょう、か……？

「うううッ、こわかッたのでスゥ～！」

　＊＊　　＊＊　　＊＊　　＊＊　　＊＊　　＊＊　　＊＊　　＊＊　　＊＊

　と、このような出来事があったのは、本日８月８日の午後のことです。
　震源地は、なんと東京多摩地方！
　私たちの足元じゃありませんか！
　道理で、異様な揺れ方をした訳ですね……。

「すごォくゥ、ゆれたでスッ！
　がたたたッ、てェ！」

　発表では八王子は震度４だったらしくて、
　被害は無し、だそうですが。

「ひがいィ、あッたでスッ！
　ごろごろォ、だッたのでスよッ！」

　そうね。地震後に、あっと思ったのが、
　コスメのチューブや小さなスプレー缶が転倒していたんです。
　画像↑は、当時の状況を再現してみたものです。

「びッくりィ、したでスゥ！」

　関東は地震が多い地域ではありますが、
　こんなことがあるとまた、災害に備えなくちゃ、と思い知らされます……。
　はあ……。　（←溜め息）
　
「なまずッ、きらいィッ！」

　え、どうしたの、テディちゃ？　鯰？
　ああ、地震を起こす鯰のことですね。

「なまずッ、おいしくゥないのでスッ！」

　あら、詳しいんですね、鯰に。

「まえにィ、たべたのでスゥ！
　そしたらァ、おなかッ、こわしちゃッたのでスッ」

　そ、そうでしたか……。
　

風雲《歴史探偵》児、参上？

　……草木も眠る丑三刻、ひたひたと迫り来る危険の気配。
　藁布団を抜け出して、夜闇に目をこらせば……これは！

「ひいィッ！
　ネーさッ、こわいィのいやでスよゥッ！」

　落ち着きなさい、テディちゃ。
　この御話はホラーではなくて、歴史ロマンなんですよ。

「えッ？　……だッてェ、うしみつゥどきィ、ッてェ……」

　丑三刻は、陰謀が動き出す時刻です。
　さあ、御紹介いたしましょう、冒険と陰謀だらけの歴史ミステリを、どうぞ～♪



　　　　　　　　　　　　　　　――　白薔薇と鎖　――


　
　著者はポール・ドハティさん、原著は１９９１年に発行されました。
　画像は、’０６年３月に刊行された日本語訳版です。
　原題は『ＴＨＥ　ＷＨＩＴＥ　ＲＯＳＥ　ＭＵＲＤＥＲＳ』……。

「むむッ！　たんていィしょうせつゥ、なのでスねッ」

　はい。探偵さんが、実に異色ではありますが。

「ふぁァぽッ？　どんなァ、たんていィさんッ？？」

　その人物は……豪放にして磊落、
　傍若無人にしてルール無用、前科者であり、天下御免の、
　ロジャー・シャロット氏。

「ふァ？？」

　シェイクスピア作品のフォルスタッフのモデルはこの御方だった、という説もあり、
　英国では有名な人物なんです。
　みずから、わしゃ大酒飲みだ～罪びとだ～と公言して憚らないロジャーさんが、
　この御本の語り手さん。
　わしのとっておきの話を聞きたいだろ？なら酒を寄越せ～！と叫びながら、
　懐かしい昔日の思い出に花を咲か、
　いえいえ、歴史の闇に葬られた大事件をブチまけにかかりました。

「わふッ！　おこられないのッ？」

　快男子ロジャーさんは誰の怒りも恐れません。
　　　ふっふっ、今までもそうやってきたわい、わしは。
　　　そう、あれは、『はったりハル』とわしらが呼んどったヘンリー八世の時代だ。
　　　わが親友ベンジャミン・ドーンビーとわしは枢機卿の口車に乗せられ、
　　　大騒動にアタマを突っ込んだものだった――

　ヘンリー８世が王冠を戴くテューダー朝のこと。
　無法者ロジャー・シャロットと、
　ロジャーの主人であり無二の友であるベンジャミンは
　或る密命を帯びてロンドンに赴きます。

　　　王の妹であり、スコットランド王妃マーガレットのごく身近に、
　　　裏切り者がいるらしい……
　　　バラ戦争で敗れたヨーク家の残党の企みであろうよ。
　　　ベンジャミンよ、仔細を明らかにするのだ！

　ベンジャミンの伯父、ウルジー枢機卿の命令は、
　額面通りには受け取れません。
　何か裏があるに決まっています。
　そして、王妃の暮らすロンドン塔で、奇怪な事件は起きました。
　謎の鍵を握る人物が毒をもられた……！

「わふッ！　ろんどんとうッ！
　あそこはァ、おそろしィところォ、なのでス！」

　しかも、状況は密室……！

「みッしつゥ！
　ほーむずさんをォよばなくちゃッ！」

　ホームズさんはまだ生まれていない１６世紀の探偵物語、なんですよ。
　でこぼこコンビの？ロジャーとベンジャミンのお手並みや如何に！
　策謀を巡らせたのは何者なのか、
　突き止めることは出来るのでしょうか……？

　英国史に詳しい御方でしたら、
　ロジャー氏の回想に所々で大笑いするのは間違いなし！
　歴史に詳しくなくても、出演者は有名人ばかりですから大丈夫！
　『混迷の時代』の風雲冒険ロマン、
　訳文も洒落ていて、ミステリ好きさんにお薦めです！

「ふゥ～。
　おうさまッてェ、おッかないィでスゥ。
　テディちゃ、げんだいィそだちでェよかッたァ～」