中国単身赴任生活 東京浦島太郎編

10数年住んだ中国を離れて東京のサラリーマン。浦島太郎です。
今は、自転車、写真、ジュリエッタなどのブログです。

10元の価値

2006-09-12 | 一般
10元、およそ日本円で15円である。

日本ならこのお金で何が出来るだろうか?

中国ではどうだろうか?

田舎町でTAXIに乗ると初乗り料金7元+原油高補正1元=8元、相当遠くまで行く。
バスに乗るなら、空調なしバス1元、空調バス2元。町の端から端までいっても同じ料金、10元あったら1日中バス乗っていられます。

スーパーや市場で10元で何が買えるか? 野菜ならキャベツ5個は軽い、ニンジンなら10本はOK、コーラなら5本はいける。

小さな料理屋のウエイトレス(というか物運ぶお姉ちゃん)の日給が10元ちょっと!


ちょっと前に友人の中国人の車に乗っていて、軽い事故に出会った。運転席のドアを全く不注意に友人が開けたので、運悪く後ろから来ていた自転車にぶつかった。

自転車に乗っていたのは、おそらくその辺の工事現場に来ている出稼ぎ労働者。道路にひっくりかえって、運転手である友人を罵っている。

日本人ならどっちが悪いにせよ人が怪我しているかも知れないと思えば「大丈夫か?」くらいの言葉はかけると思うが、ここでは違う。

この場合誰が見ても後ろも見ないでドア開けた友人が悪いのだが、彼の第一声は「どこ見て走ってんだ!このバカ!!」

当然のように口論になる。周辺の人ももちろんヒマなので集まってくる。

ひっくりかえった労働者は、立ち上がらないで道路に転んだまま友人を罵り続ける。この「ころんだまま」の状態をキープするのはこの国では非常に普遍的な対応のようである。大きな道路で転んだ状態をキープすれば他の車にひかれそうでその場に寝そべって、ないしは座り込んでと言うのは結構怖いはずだが、ここではコレが当たり前なようである。

友人も相手を指さし、大声で罵りかえす。

無論こういう場面で我々外国人が出ていって良いことはないので、黙って助手席に座ったままにする。間違って「外国人」が乗っているとわかると、いいカモになる可能性があるからである。

さてどうやって収拾するのかな、と思って眺めていると双方ひとしきり罵りあったあげくに「どうして欲しいんだ?」と友人。

労働者「気持ち金くれればそれでいい。」

まあ最初から警察に通報するほどの事故でもなし、(警察が来たところであまりに軽度の事故で真面目に取り合わないことは双方暗黙の了承)一体いくらでカタをつけるのかなと観察していた。

50元くらいかな? 

自分の甘さを思い知る。

友人が財布から取り出したのは10元! 

窓からまだ転んだままの労働者に投げ捨てると、ようやく労働者も立ち上がった。

最後に双方もう一度「このくそ馬鹿野郎!」「てめえこそ目開けて道走れ!間抜けやろう!」とお約束のようにもう一言だけ罵りあって、全ては終了。


ちなみにこの友人年商数億人民元の売上を持つある会社の社長。

貧富の差の実態です。

この不動産バブルをどう収束させるのかなぁ

2006-09-12 | 一般
上半期の成長率が10%だそうだ。

何時もこの手の発表を見る度に、じゃあこの町の目抜き通りにいっぱいある建てかけで放置されているビルは何なんだ! これも経済成長かと聞いてみたくなる。

この田舎町は大した産業もないのに人はいっぱいいる。みんな何をして暮らしているのか、はっきりしないが、それでもみんな元気である。


3年半前にこの町へ来たとき町の中心部の新築アパート(マンションとは呼びたくない)の分譲価格は4000元/平米(約6万円、坪換算すると20万円/坪)位だった。周辺の何にもないところだったら7-800元/平米(1.2万円、4万円/坪)で十分に新築アパートが買えた。

今はその何にもないところがどんどん郊外へ広がっていて3年半前、山か荒野だったところにアパートを建てている。その上そんなところで3000元/平米を越している。町の中心だったら8000元/平米はする。

誰が買うの? 以前の問題として、誰がこんな辺鄙なところに住むの? であるのだが、誰かが買っているようだ。

正確に言うと誰かが買っている物もあるようだ。 

というのも外から見る限り、売れたかどうかは人が住んで初めてわかるのであるが、夜電気が全く付いていない部屋が余りにも多いから、実際にどうなっているのかが全くわからない。

台湾人の友人に聞くと、台湾人がいっぱい投資用に買っているという話もあるという。 
なにせ台湾海峡の向こう、わずか350km向こうは台湾である。既にこの町にも10万人ではきかないと言うくらい台湾人がいっぱいいるこの町、いずれこの台湾海峡両岸は政治はともかく経済的には行き来が自由になるはず(台湾人にとって)なのでそうなれば、今安い間にアパートを買っておく意味があると言う。

それにしてもわずか3年半で3-4倍に値段が上がるというのは異常すぎる。

値上がりするとみんなが信じているから金を持っている奴はどんどん借金して家を買う。ちょっと前までは家を買った年は個人所得税が免除されるといういい加減きわまりない法律があったので、合法的節税策として毎年家を買うような金持ちがいっぱいいた。

平均月収なんかそんなに上がっていないので、例えば私の会社の平均月収位(2000元弱/月)の人間が郊外の100平米の家を買おうとすると、3年半前なら7万元で35ヶ月分の給料で買えたのが今だと150ヶ月!買えるわけがない。

でもみんなまだまだ値上がりすると信じているからどこからか借金してきて買ってしまう。

昔の日本のバブル経済と何も変わるところはない。

なんとか軟着陸させようと政府も最近になって必死に法律を作ったり融資を制限したりしているがほとんど役に立っていない。


今のままだと間違いなく数年以内にこの泡ははじける。

その時に何が起きるのか? 怖くて知りたくない。