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Brugge Style
prix de lausanne 2014
若手バレエ・ダンサーの登竜門、ローザンヌ・バレエ・コンクールで、1位を二山治雄さん、2位を前田紗江さんが受賞した。世界の果てからお祝いを申し上げたい。
おめでとうございます!
今後のご活躍を心からお祈りいたします!
入賞者6名の内、3名が日本人(ファイナルに残った14名中6名が日本人)。若き日本人ダンサーの活躍は快挙としてニュースでも大きく取り上げられたので、ご存知の方も多いだろう。
彼らとは縁もゆかりもなければ、今の今まで応援したこともないわたしが、「日本人だから」という理由だけで受賞に熱狂し、「日本人すごい!」と自慢のタネにするのはナンセンスなのかもしれない。が、先日の小保方博士のニュースにも同じ反応をしてしまった...
と告白しても、多分大抵の方はあきらめたような笑顔で「分かるよ、うん」とおっしゃってくれるだろう。
人間とはそういうものなのである、ということにしておこう。
ローザンヌのバレエコンクールは毎年楽しみにしている。
15歳から18歳の若者がプレッシャーに耐え、わたしには想像もできないレベルの努力をし、芸術を「生きる」。今年もファイナルが始まるや否や(わたしは翌日YouTubeで見た)、胸がキューンとなり、胃の辺りから感動の涙がぐうっと湧いてきた。
今年は「感動!」以外にも特に感じたことがあったので、今日はそのことについて書きたい。
ロンドン近くに住むようになり、世界のトップダンサーが踊るのをいつでも好きなだけ見られるという(わたしにとっての)最高の贅沢をし、しょぼくれたディレッタントなりに「目が徐々に肥えてきた」せいもあるかと思う。
バレエ的に優れた容姿や体質というのはもちろんある。
手足が長く、頭が小さいのは、ダンス芸術のプラスアルファだ。胴が短く足が長ければ、それだけでかなり見栄えがする。
また、舞台に歩み出るだけで堂々たる王子の雰囲気を醸し出すダンサーもいれば、隅に立っているだけでこの世の者とは思えぬ妖精のような透明感を放つダンサーもいる。
また、柔軟性に富み、バネが強い人もいる。
しかし、バレエはビューティーコンテストや体操のコンテストではない。
あるダンサーを他より引き離して優れたダンサーにする要素は何か。
わたしが今回ファイナルを見ていて思い出したのは、熊川哲也さんのお話だった。
優れたダンサーは「音楽に瞬間的に反応する」というお話をなさっているのをどこかで読んだことがあるのだ(調べてみたらswissinfoのインタビューとして出てきたが、わたしはおそらく別のところで読んだので、きっと何度かおっしゃっているのだろう)。
「熊川:音楽が要(かなめ)です。音楽に瞬間的に反応することが大切です。音楽をすぐに自分の体の中に入れて消化し、動きに表していくのです。音楽に反応するには、自分の中にパッションがなければならない。音を心に響かせなければならない。音を愛さなければならないのです。」
http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=34881358
わたしはもちろんプロではない、ただの好事家である。熊川さんに意見するなぞ一万年早い。ファンの方に怒られるかもしれない。
でも、言葉のあやに突っ込むなと制止されても、どうしても言いたいことがある。
優れたダンサーは(熊川さんご本人も含めて)「音楽に瞬間的に反応」しているのではないと思う。
それでは遅すぎる。
まさにこの発展途上のダンサー達のファイナルを見ることによって、「音楽に瞬間的に反応」するタイプのダンサーは、どんなに高くジャンプでき、どんなに足が上がり、どんなに表現力があり、プラスで容姿や雰囲気が良くても不十分だと気づいた。
音楽に「瞬間的に反応」するということは、「音楽が聞こえるー身体の動きの」間に「瞬」の「間」があるということである。その「間」がたとえ測量不可能なほどの短い「間」であったとしても、だ。それでは必ず身体は遅れ、音と動きのハーモニーが立ってこない。
優れたダンサーとは、音に反応する人ではない。(音楽の)入力と(身体の)出力のタイミングがなぜか完全に同時であり、音と同時に常に今までの動きを覆し、音と同時に常に動きを「書き換える」人のことを言うのだ。
分かりにくい喩えで申し訳ないが、他の言い方を思いつかないの...
例えば熟れた音楽家が合奏する時は、他の音を聞いてから、あるいは指揮者の指示を見てから「瞬時に」反応するわけではない。「反応」していては必ず遅れるからである、と言えばまだ少し分かりやすだろうか。
その点、日本人ダンサーは他より音楽性には特に優れていると感じた(二山さんの受賞理由のひとつもそれであった)。
昔、日本人はどうしても盆踊りのリズムしか踊れないと言ったのは誰だったっけ?
(写真は www.forum-dansomanie.net より)
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