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the mr porter post








ザ・ゴッドファーザー、マーロン・ブランド。
この人の美貌は目に焼き付いて忘れがたい。


これ、net-a-porter でクリスマス用のドレスを買ったら今回初めて同梱されていたペーパー Mr Porter の一面なのだ。

洋服のセレクトショップが発行しているだけあって、当然「資本主義のぼったくり」(by埴谷雄高)商品に、様々なストーリーを付帯させた紙面作りである。つまりとにかくたくさん売りたい、と言う気配りが隅々にまで行き届いたペーパーではあるのだが、同時に「(女性から見た)男はこうあってほしい、でも現実はちょっと違いはしまいか」という自嘲が行間ににじみ出ていてなかなか愉快なのである。


事実、このペーパーは男性向けに男性の商品を扱うように見せかけながら、女性に向けて書かれている。書き出しが「どうしてキラキラのルブタンが載っていないのかしら?ダイアンのラップドレスは?...と思われたかもしれません」となっているように。
それに女性は自分のパートナーにはこのようにあってほしいと願っても、こんなペーパーの記事をファッションの参考にする男はたぶんあまり好きではないからだ。編集者も同意してくれるだろう。

われわれの理想のパートナーはファッション雑誌などを研究せずとも、たとえ山出しであってもゲイリー・クーパーのような生まれつきのエレガンスをそなえ、フレッド・アステアのように軽快で、スティーブ・マックイーンのようにタフで(しかもめっちゃおしゃれだ)、何を着ても何をしても Real Man であらねばならないのである。
雑誌で着こなしを研究したり、雑誌に掲載された流行モノを買うなどというセコさは Real Man に必要ない(笑)。
たとえ彼らが密かにフィルム・ノワールの煙草の吸い方を懸命に真似したことは許せるにしても。

...ええ、だから自嘲しているんですよ(笑)。


三面に six men of style として紹介してあるのは、マーロン・ブランド他、ブライアン・フェリー、ブラッド・ピット、アラン・ドロン、ロバート・レッドフォード、スティーブ・マックイーンの6名である。
Mr Porter がかっこいいと思う男、ファッション・アイコンにしたい男性たち(ちょっとハリウッドがすぎやしまいか)。ふーん。

わたしならばここにぜひ白洲次郎を入れたい。

(ポール・ウェラーやケイリー・グラントなどもいいかもしれない)






他にも「女性の前でいかに服を脱ぐか」とか、その横に「ヒップな最新ホテル」情報、また小学校に入りたての息子にエレガンスを教える父親の苦悩(笑)などの記事もあり、微笑を誘うところがいい。次号も楽しみにしたい。
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英国レジデンスカード申請中




ベルギーから英国へ転居するにあたり、7月にEU市民の家族であることを証明する6ヶ月有効のビザを申請した。

EU市民はEU圏内であればどこにでも居住し就労する権利が認められている(うちの場合、ベルギー人の夫と娘ですな)ので、その家族同伴者として6ヶ月の滞在を認めてくれ、というEU市民家族ビザだ。

その申請のために、わたし自身と夫の会社が揃える書類の多さ、個人情報を記入する事項の煩しさ(ネットで記入できるのはよかった)、詳しいようでいて両義的な説明書き、またパリにまで申請にいかなければならない不自由さはあったが、取得まで2週間から6週間と聞いていたところ、たった5日間でおりた。

でもビザの準備が整ったら携帯にメッセージで連絡する、という連絡はとうとう来ませんでしたな。自分自身でネット上のトラッキングシステムで確認した。待っていてはいけない、と。ヨーロッパ在住心得の基本中の基本。

この早さが;
たまたまオフィスが閑散期だったから(そんな風には見えなかった)
弁護士の最終チェックアップがよかったから
日本国籍ゆえ
ベルギーに13年も住んでいたから

他にもあるかもしれないし、どれも違うのかもしれない。理由やその意思は分からない。権力とはカフカの「城」のようなものなのだ。




第二ステージはレジデンスカード申請だ。これは10月に落ち着いたら即行動を起こすことになっていた。

早々と書類をまとめて弁護士のところに送るという段階に達したものの、ある出来事がわたしの逆鱗にふれ、
「レジデンスカードは申請しない。1月までに日本へ帰る」と、宣言したため延び延びになっていたのだ。あははは。


レジデンスカード申請書類にはEU市民家族ビザで記入したことを重複して記入する必要はなく、また書類の半分以上を弁護士と夫の会社が記入することで、わたしの負担は軽かった。

気になるのは日本大使館の方が、取得は「年々厳しくなっていて、ウワサによると6ヶ月から1年かかるようです」とおっしゃったことだ。

つまりその間、パスポートは取り上げられたまま。英国から出国できないし、どの国に入国することもできない。
英国にはベルギーにあるような身分証明書(写真入りでクレジットカードの形態)がなく、この間、わたしがワタシ自身であるという証明をしてくれるのは、ピンクのぺらぺらのベルギーの運転免許証だけ。

その間、どうしてもパスポートが必要になった場合は返還され、また一から申請を始めなければならないそうである。

弁護士は2冊目のパスポートを取得するようにアドバイスして来た。しかし日本政府が2冊目のパスポートを発行するなど聞いたこともないし、案の定大使館では「ありえません」と無知を諭すように言われた(事実、米国などは便宜上発行することがあるそうである)。
弁護士は2冊目を発行しない日本政府の方針に、女子中学生のように驚いていてみせた。


つい最近やっと弁護士の元に書類を送った。わたしがわたしのパスポートと言う人質を解放したのはもちろん物質的な要求が果たされたからである。
転んでもタダでは起きないのである。卑しい...でもこれもヨーロッパ在住心得の基本なのである(笑)。




ユーロがドミノ式に崩壊したら、英国目指して大陸から人が殺到しそうな気配が...そうしたらレジデンスカード取得もさらに難しくなるのかも...杞憂ですかね。
さらにユーロが崩壊する時がベルギーが分裂するとき、というのがわたしの読みなのだが。


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ツリー







ロンドンなどではクリスマスの点灯が2週間くらい前から始まった。

ベルギーのクリスマスの飾り付けは、12月6日のサンタ・クラース祭が終わってからするものなので、今年はいやに年末が早く訪れたように感じる。


ブルージュの家でここ数年使っていたこの3メートル高のツリー...
今の家では出せるところが一区画しかなく、しかもそのエリアはすでに他の長身のインテリアで立て込んでいるので、今年は久しぶりに生のもみの木を買うしかないだろう。

でも生を買うとしたらまだ早すぎるような気がする(年末まで持たせないといけないから)。

とりあえずはリースでも作成するべきか。


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謎解き「白鳥の湖」





ずっと前、手持ちのバレエ「白鳥の湖」の比較をしたことを思い出し、フォルダーを探しまくったが見つからない。

白鳥のDVDは11本持っていて、それぞれの踊り手、演出、振り付け、舞台装置やデザインについてねちねち書いたものだ。

王子が銀行員にしか見えないだとか、衣装がスターウォーズみたいだとか、踊り手に全然華がないのに、場を盛り上げて最高潮に達する演出の仕方はものすごく上手いとか、さんざん書いた...

失ってしまった原稿はすごくおもしろい原稿だった、といつも思う。実際は駄文なんだろう。なくしてよかったかも(笑)。


先日、初めてブルーレイのバレエDVDを買ってみた(「白鳥の湖」チューリッヒバレエ団、セミオノヴァがゲスト)。今日はそれを鑑賞しながら話の筋の解釈について書いてみたい。
何を無粋なことをする、と思われる方はこれ以上スクロールしないように。



たぶんみなさま白鳥の湖の筋はご存知だろう。

オデットという美しい乙女がいた。
彼女はロットバルトの魔法によって白鳥に変えられてしまう。人間の姿に戻れるのは夜の間だけだ。
魔法がとけるのは他の誰も愛したことのない男が彼女に永遠の愛を誓ったとき。もし誓いが破られたら一生白鳥のまま過ごさねばならない。

そんなある日、ジークフリード王子は母親である女王から結婚をするようにすすめられる。
愛のない結婚に気が進まない王子は森へ出かけ、そこでオデットと出会い、永遠の愛を誓う。

ジークフリードが結婚相手を決める日、そこへやって来たのはロットバルトによって仕立て上げられたオデットそっくりのオディールだった。

王子はオディールに結婚を申し込む。

誓いが破られ悲しみにくれるオデットは投身自殺。ジークフリートも後追い(ロットバルトを倒してハッピーエンドという顛末もある)。



...子どもの頃からバレエの大大大ファンであるわたしの切ない疑問は
ロットバルトはなぜオデットを白鳥に変えるの?
オディールって何者?
だった。
みなさまはどう思われますか?


大人になってからは、謎解きなどをしたらこの作品の幻想的で曖昧な感じが消えてしまうので、下手な意味付けなどはしない方がいい、と思っている。ロットバルトはなぜオデットを白鳥にするのか...たぶんこの世でわれわれに降り掛かる災厄と同じように、そこに意味はない。


でもちょっとこんな解釈を思いついたので書き留めておきたい。
幕間のフォワイエでシャンパンを飲みながらの雑談、として読んで下さい。



美しく貧しい乙女がいた。
彼女は男爵だか領主だか、地位のある男性の情婦になる。たぶんこれしか生きる方法がなかった。
ドストエフスキーの「白痴」の中でもナスターシャが情婦であることを逆切れするほどに恥じているが、たぶんそんな感覚で生きていた。
で、夜の間だけ「人間」の姿に戻ることができる、と。ユーフォミズム。

彼女をその境遇から救うことができるのは、情婦としての過去をいとわないほど深く愛し、永遠の愛を誓う男だけである。

あるときそんな男が現れて結婚を誓う。
が、彼は別の女に走ってしまう。
男は乙女によく似た他の女に間違えて結婚を申し込んだわけではなく、単に移り気をしたのだと思う
(王子はオディールとオデット2人の女を間違えた、とよく言われるけれど、彼は間違えたのではない。彼はエスタブリッシュメントにちょっと反抗して見せたい中二病の男であり、親が決めた相手でなければ誰でも良かったのだ)。

オディールが登場するのは、オデットの情婦の顔としてであると思う
(ひとりのバレリーナがオデットとオディールを踊るようになったのは偶然の産物だと言われているが)。


悲しみのあまり美しい乙女は白鳥のいる湖に投身自殺。
男も後追い自殺したかもしれない。

そんな事件があったのではないか、と。



...やっぱりこういう解釈をしてはつまらないですね。

わたしの持っているDVDだけ見ても、19世紀が舞台であったり、中世領邦国家時代のようであったり、宇宙ステーション風であったり、ドイツであったりロシアであったり、ロットバルトが悪魔そのものである演出もあれば、王子に直接影響力のある宰相であったり、女王の愛人であったりというケースもあるので、オデットやオディール、ロットバルトの正体は曖昧ではっきりしない方がいい。

娘が「本に較べてマンガが時々つまらないのは、自分でいろいろな想像ができないから」と言ったことがあったが、その通りだと思う。

想像や意味を限定してしまう芸術作品は後世まで残らないのである。




でも次回は「眠れる森の美女」の謎解きをしようかと思っている(笑)。



「続・謎解き「白鳥の湖」 王子はなぜ心変わりするのか」はこちら
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herman the german friendship cake




午後、向かいの筋に住んでいるという女性がうちの呼び鈴を鳴らした。
そういえば引っ越し荷物搬入の最中、一番最初に声をかけてくれたマダムだ。
12歳になったばかりのうちの娘と同い年の坊ちゃんと、ひとつ下のお嬢ちゃんがおられるらしい。


「(引っ越し荷物搬入中)あなたの旦那さんに電話番号を渡したんだけど、最中だったからなくしちゃったんじゃないかしら?と思って...」と、アイスクリームの空き箱に入ったケーキのタネと、レシピと言うより取扱説明書をくれた。

ハーマンという名の「お友達ケーキ」のタネだそうである。


説明しよう。

このタネはイーストを使って発酵させたものである。ほんのりブランデーの香りもする。

1日目から9日目まではコンロのそばなど暖かいところに保管しつつ、毎日空気を入れたり、砂糖その他を食べさせたりして成長させる。

9日目のタネはかなり膨れているので、これを4等分して1つは自分の手元に残し、後の3つはご近所や友だち、またお知り合いになりたい人にレシピとともに配る。
受け取った人は、それぞれこのタネを元に1日目からの手順でハーマンを育て、それぞれ9日目に3人に配る。

誰もが律儀に失敗せずに育てて配る作業を繰り返したとしたら、ハーマンに関わる人は9日目に4人、18日目に13人、27日目に40人、36日目に...と、とにかくすごい数字になる。たぶん何十日か目には英国中の人がハーマンを育てている計算になるだろう。


このように言葉は悪いがネズミ講のような、いや、不幸の、いや失言、幸運の手紙のようなケーキなのである!
媒体が紙切れやメールではなく、生きているハーマンである、というところが妙に人の義務感をかりたてる。もしハーマンをネグレクトして殺してしまったならばいやな後味がする...

それにタネをくれた人にその後の報告も欠かせないだろうしさ...おいしく頂きました、だけではすまないだろう(笑)。
(わたしが彼女の好意に感謝していることは明言しておく)。


ちなみに10日目には4分の一手元に残ったタネにバターや粉やシナモンやレーズンなどを加えて焼く。


こんな生きた幸運の手紙がこの世に存在するなんて想像もできなかった。本当にドイツの発明なのかはかなり疑わしいけど、ドイツ人...(笑)。


ハーマンを焼いたら報告いたします。

あ、9日目に4等分にしたタネが欲しい方はご一報下さい(笑)。




*幸運の手紙を知らない人はいないと思うが、昭和にはそういうゲームがあった(今はメールを使うらしい)。
例えばわたしが知り合い4人に「この手紙のコピーを1週間以内に4人の友だちに送って下さい。そうすればあなたは幸せになれます。幸せの輪を広げましょう!」と書いたハガキかなんかを送る。「1週間以内に4人の友だちに送ったらあなたは幸せになれますが、もし送らなかったら不幸になります...」と書くのも忘れずに(笑)。イヤなゲームだ。

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