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peace piece




夫は前から、娘がいつの日か、ラフマニノフの交響曲第二番かキース・ジャレット調のポインシアナ(poinciana) をトリオで弾いてくれたら、彼女にメルセデスのSLを買い与えるのだと目を輝かせて語る、田舎の成金のような俗物オヤジだ。


娘はそんな低俗さとは無縁で、ピアノを弾くのが大好きだ。


わたしは、早く練習しなさい、早くしなさい、早く早く、とイライラ急かす一億総中流社会における教育ママ的な母親だ。


娘はそんな低俗さとは無縁で、ピアノを弾くのが大好きだ。


...


娘がたまたま楽譜が手に入った名曲、「peace piece」を瞬く間にマスターしつつある。

10歳の、いつもクッキーの匂いがするような子どもと、わが愛するビル・エヴァンスの洗練を結びつけて考えることは難しい。
彼女にも弾けるだろうとは思ったが、奏でられはしないだろうと見くびっていたのだ。

しかし、隅々まで澄み切ったこの曲が娘の手元から流れだすのを聞いてると、浄化とは、心の平安とは、こういう音色であるのか、と思えてくる。


子どもがピュアな存在であるとか、「子どもらしさ」とかいう言い方は気持ち悪い、と常々思っているのだが、もしかしたら言い方が気持ち悪いだけで、そう言わせるような何かがあるのかもしれない...

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