日本画の美術館、九段の山種美術館「秋の彩り」展に行きました。作家・書かれた時代にこだわらず秋にまつわる絵ばかりを選んで展示してあります。
奥田元栄の「玄溟」(げんめい)
紅葉と霧、月。静謐で神々しい絵でした。「元栄の赤」と呼ばれる深みのある赤褐色のグラデーションが美しい。代表作の一つ「奥入瀬(秋)」のダイナミックな色彩、構図もよかったですが、今回は「玄溟」にうたれました。
「玄溟」(げんめい)の意味ですが、辞書によると
玄=
1 赤または黄を含む黒色。2 老荘思想で説く哲理。空間・時間を超越し、天地万象の根源となるもの。3 微妙で奥深いこと。深遠なおもむき。
で、溟=
そのものは調べられなかったのですが、どうも「海」のことのようです。
よって「哲理の海(海のような広さという比喩で使っている)」という意味がこめられているのかなあと推測しています。
正しいところをどなたか教えていただけないでしょうか。よろしくお願いします。
以前TV番組(たしか日曜美術館)で、この絵は長年連れ添った龍子夫人(共同美術館を持つ人形作家の奥田小由女は後妻)が癌で余命いくばくもないと宣告され、なんとか絵を描くことによって救われたいと願いつつ描いた、と知りました。そして同時に、絵に妻を利用しているのでは、というジレンマに苦しんだと言われています。
そのような心の葛藤を経て生まれた作品だからこそ、人の心を打つのでしょうか。
ぜひ多くの方にごらんいただきたいすばらしい絵でした。
他にも酒井抱一「秋草鶉図」「飛雪白鷺」・山口蓬春「錦秋」・川崎小虎「草花絵巻(秋)」などいい絵がたくさん。
前回の訪問記(竹内栖鳳「班猫」を見に行きました)や近くの茶巾寿司・粽寿司の老舗「福槌」についても見てね
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