紹介文は「 和歌、行事、工芸などを通して、京都で育まれ、洗練されてきた330の色彩を紹介するビジュアル事典。色見本と解説、絵画・染織などの具体例も付す」となっています。 海老茶、浅葱色(水色)のように今日でも時々使われるものにはじめ、槍の鞘(渋茶)、無一物(濃いベージュ)のように珍しい名前が多数。
名前の由来は茶道や禅などの文化からきているもの、また原料や植物の色からきているものも多いですが、使われ方としては、身分や職業によって身に着けてはいけない色があるなど、階級社会と密接な関係があることをあらためて感じました。
たとえば紫は最高位の色ですが、江戸時代に紫衣事件が起こりました(関係者の沢庵和尚はたくあん漬けの考案者らしい)。
またこの「京の色事典」によると『(紫草の根で染める)紫染の衣服は他の衣服と重ねて納めておくと、色素が昇華して移り染まることから、権者の紫色に染まることを意味して「縁(ゆかり)の色」とも呼ばれました』とのこと。ずいぶんとひねりの効いた表現ですね。
ページをめくっていくと、人々が色調の少しの違いを繊細に感じ取りそれぞれ名前がつけられているのに驚かされます。
たとえば、私たちが日頃「赤」と呼んでいる色は、一部挙げただけでも
紅梅、今様色、牡丹色、躑躅色(つつじいろ)、萩色、薔薇色(しょうびしょく)、長春色、紅の八塩(くれないのやしお)、真緋(まひ)など・・。
和歌に詠んだりするために、似た色であっても季節ごとに植物の名をつけるなどの背景もあるでしょうが、優雅ですね。
上に挙げたような例を今使えば首をかしげられそうですが、たとえばピンクを表現するのに「秋桜(コスモス)」「山茶花(さざんか)」などでしたらこんにち使ってもよさそうです。色調に応じた言葉を使いわけるのも大人のたしなみかも・・・。
赤紫蘇でつくる「ゆかり」の由来も紫からきています。三島食品の登録商標とのことですが広く一般名称として使われていますね。詳しくはコチラ
なぜか惹かれる~和のこ~こ~ろ「しばわんこの和の心」についてはコチラ
遊びに来てくださいましてありがとうございます。励みになりますので、よろしければブログランキングへの投票(ここをひとぽち)お願いします
京の色事典330 (コロナ・ブックス) 藤井 健三,京都市 平凡社 詳細を見る |