映画テイク・ディス・ワルツ(Take This Waltz)をTVで観ました(下記、ストーリーに触れていますのでご注意)面白かったというかよくできている映画だと思いました。
若い夫婦のすれ違いと新しい男性との出会い、と割とありふれたお話なのですが、映画館上映時の宣伝文句『しあわせに鈍感なんじゃない。さみしさに敏感なだけ』からすると、自分に合う人に巡り合って幸せになる、というストーリーかと思っていました。
実はニュアンスが違い、ラブストーリーではなく、実はヒロインの心、思考パターンに焦点が当たっている内容でした。ヒロインが魅力的な男性によろめいて夫と別れて、というのは導線に過ぎず、魅力的な男性と結ばれた後どうなるか、がサラ・ポーリー監督/脚本の描きたかったことだと思います。
主演のミシェル・ウィリアムズのキュートな魅力と、燃え上がる恋はいつかは冷めて、という空しさのマッチングがいい雰囲気を出していました(これまた古いですが、林真理子著「不機嫌な果実」に似たものがあります。ドラマは中途半端なハッピーエンドでしたが、小説はかなり主人公を突き放してみている結末)
愛より恋を選んだ。しかしその恋も一時の熱でしかなく、冷めてしまったら何も残らない。でも捨てた愛は戻ってきません。ヒロインがラストで一人で乗る遊園地の乗り物のBGM(「ラジオスターの悲劇」ビデオ(映画)の台頭で、皆ラジオを聞かなくなった=昔のものが新しいものにとってかわられた、昔には戻れないという意の歌詞)もいい味わいを出しています。
それにしても、以前映画「そんな彼なら捨てちゃえば?」についても書きましたが、女性監督、脚本家が同性に対してのシニカルな見方、かつ同性だからこそわかる女性のあまり美しいとは言えない心根についてうまく描いていて深みのあるいい映画なのに、なぜ邦題や宣伝文句を女性に都合のよい甘々なニュアンスに変えてしまうのでしょうか・・甘々な話を期待すると観たらがっかりするのは目に見えているのに。
とはいえ、男性が観たら「自業自得」で終わりそうな映画に思われますので、女性が興味を持ってもらえるようにとにかく宣伝しようということなのでしょうね。
ミシェル・ウィリアムズはTVドラマ「ドーソンズ・クリーク」で知り不思議な魅力がある人だと結構好きで映画「ブロークバック・マウンテン」「マリリン7日間の恋」も観ました。ドーソンズ・クリークで「NYから引っ越してくる都会的な女の子」というのは明らかにミスキャストに思える、素朴な可愛さは何年たっても健在でこのテイク・ディス・ワルツでもギンガムチェックのワンピースがとても似合っていました。
写真はエシレのバタークリームケーキ。
いつも売り切れで、どんなにおいしいだろうとずっと食べたいと思っていました。ついに手に入れてみたところ、もちろん乳臭いバターの香りが活きて美味しかったのですが、想像したほどではなかったなあという感想です。結構なお値段ですし・・。とはいえ映画の恋とは違い、エシレ愛は時々食べたくなるくらい続きそうですが。
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↓同性に意地悪い視線を向ける林真理子作品の真骨頂ではないでしょうか。
ある映画製作中、マリリンの世話をする役回りになった雑用係のスタッフの回顧録をもとに作られた映画。演技や共演者、監督とうまくいかないマリリンとそのスタッフ惹かれあい・・という話ですが真偽のほどはどうなのでしょうか。
↓二人が離れた後はお互いに静かに思いあう絆を感じました。しかしそもそも最初はどうしてお互いに惹かれあったのかがあまり描かれておらず、最後まで私にはよくわかりませんでした。自然の映像がとてもきれいです。
ミシェル・ウィリアムズは夫を寝取られてしまう妻を演じています。