私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

月のいみじゅう明るき夜

2007-09-28 16:35:04 | Weblog
 もうこの辺で「名月」は打ち切りたいと思っていたのですが、又、メール友達から連絡を受けました。
 「松屋文集の文を読みました。なんと爽やかな心にしてくれる文だろうか。日本語の美しさがよく分りました。久しぶりに声に出して読みました。もうひとつぐらい別の文章を紹介してください。秋の月を眺めながら読むと、自然に目に涙が浮かんでくるようです」
 と。

 そうです。私もその美しさには、以前から感じていたのですが、まあ、美しい日本語を挙げろと言われたら、私ならこの松屋文集を真っ先に挙げたいです。
 そこで、もう一つの「中秋の名月」を愛でる随想文を紹介します。

     『社頭 月ということを題にて』
 月のいみじゅうあかるき夜、あたりちかき神の御社にもうでたれば木の間より漏る影に、くろ木のとりゐ あけの玉垣など見え渡りたる。あけくれたちならぶところなど、今宵はことに神さびたるけしきなり。人の気配する方に立ち寄りて見ればこのいするかむずかさもいやあらむ しろきものきたるが廊の端に集いておのがどち、ものいひかはして月を眺めおるなり。なお、ここかしこまわるに、ほかには様変りて皓々しうおかしきことども多かりき。
 

 この他に、私の好きな秋を描いた随想もありますが。季節では晩秋の風景を描き出しています。11月ごろ、また、ご紹介したらと思っています。
 
 なお、今、私が読んでいますこの「松屋文集」は文政年間に出版され(在、県立図書館)、すべて変体かなで書かれています。私の力では読め切れないところもところどころありました。誤読した部分も少なからずあると思います。ご教示下されば幸いに存じます。