外苑茶房

神宮外苑エリアの空気を共有し、早稲田スポーツを勝手に応援するブログです。

「早稲田学報」

2009-03-18 18:51:35 | 早稲田大学
先日、とある地方都市の市役所の幹部の方とお話しする機会がありました。
とても真面目な方でした。

しかし、地方公共団体という世界で働いていらっしゃった方なので仕方がないのかもしれませんが、いかにも『ムラ社会の論理』というのか『島国根性』というべきか、いずれにしても、あまりに私の感覚と異なるので、お話しをしているうちに、暗澹たる気持ちになってしまったのです。

ムラ社会の論理は、外国の脅威のない島国における水田農耕社会で培われてきたものと言われています。
その勤勉性と協調性は、戦後経済の高度成長期にも大いにプラスに働いたものと思われます。

しかし一方では、『手順どおり、コツコツと真面目にやっていれば良い』『真面目にやっていれば、国や会社がなんとかしてくれるだろう』という、戦略に欠けた硬直性、あるいは根拠に欠ける楽観主義を招き、そして異質な文化や人との対話能力が全く苦手な社会を形成してしまいました。

メディアにも、高度成長時代の『昭和』を特集する様々な企画、あるいは派遣社員の制度への批判などを通じて、大企業が正社員を毎年大量に採用して年功給で処遇していた時代を懐かしむような雰囲気があります。

ですが、あのセピア・カラーの時代に日本社会が戻ることは、残念ながら二度とないのです。

今や、米国の一極支配が弱まり、中国やロシアなどの国の意思に大きく左右される多極支配の状況へと日本は否応なしに移りつつあります。米国だけに依存した安定の時代は終わろうとしています。
これからは、日本人の一人一人が島国根性を捨て去って、異質な文化ともきっちり対話することのできる社会を作っていかなければなりません。
さもなくば、蚊帳の外に置かれた日本は極東の辺境国家となり、徐々に衰退していく気がしてなりません。


そんな暗い気持ちでいた時に、校友会から『早稲田学報』四月号が届きました。
その中に『奨学生の近況』というコーナーがあって、奨学生となって学ぶ新2年生二人から寄せられた文章が掲載されています。
二人とも、経済的な問題があって、校友会からの奨学金がなければ早稲田で学ぶことはできなかっただろうという学生さんです。

商学部で今春二年生となるMくんは、入学前から発展途上国の支援に加わりたいと考えていた若者。オープン科目で農業や工業についても学び、貯金して在学中に発展途上国にも行って実践してみたいと。

法学部で二年生となるHさんは、高校時代にも1年間の留学経験があって、大学でも国際関係を勉強したいと。そして留学プログラムを活用して、再び留学してみたいと意欲満々です。
そして、国際交流のボランティアのサークルにも参加してみようと考えているようです。

このような広い視野と意欲をもった早稲田の学生さんたちの文章に触れて、本当に嬉しかったです。
彼らのような立派な後輩がいるのですから、早稲田もまんざらではありません。

私も、彼らに負けないように頑張ります。
Comments (4)
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