外苑茶房

神宮外苑エリアの空気を共有し、早稲田スポーツを勝手に応援するブログです。

独立リーグ

2009-03-11 19:45:04 | 大学野球
沖縄キャンプ見学の楽しみの一つに、顔馴染みのプロ球団のスカウトさんたちとの野球談義があります。

球場で、あるいは近隣の食堂で、早稲田の選手たちをスカウトの目で見た感想、ライバル校の状況、あるいはドラフト候補の高校球児たちにまつわる話をお聞きしたりします。
とても新鮮で興味深いものばかりです。

今年も複数球団のスカウトさんたちとお話しする機会がありました。
私が印象に残っているのは、独立リーグに関する話題です。

BCリーグ(Baseball Challenge League)などがプロ球団にとってどのような存在なのかを、某球団のスカウトさんに私からお尋ねしたところ、

『一言でいえば、中途半端。NPBの球団からみればプロではなく、社会人や大学のチームと変わらない。しかしアマチュア選手から見ればプロ。』

『しかし、独立リーグ所属の選手たちの生活は楽ではない。給与水準自体が決して恵まれていないし、その給与が支給されるのは一年のうち数ヶ月。オフシーズンになると、選手たちはアルバイトをしたり、支援者の厚意に助けられたりして食いつないでいる。』

『ただ、興味深い試みもある。独立リーグのシーズン・オフに合わせて声をかけて、プロのキャンプでの打撃投手やブルペン捕手のアルバイトに来てもらった。給与は支払われるし、宿舎と三食付き。アルバイトに来た選手たちは、「ここは天国ですよ」と話していた。』

『そして面白いのは、プロ選手たちがアルバイトの選手たちを本当に良く面倒をみることだ。合宿所での生活ばかりでなく、技術面のアドバイスも積極的に与えていた。アルバイト選手たちの真剣で純粋な取組みに接して、プロ選手たちも、ドラフト指名を受けた頃の初心を思い出すのかもしれない。』

『アルバイトの中にドラフトにかかるような選手がいるかどうかと訊かれれば疑問符だが、打撃投手として球団職員に採用しようかという動きはある。40歳過ぎまでの十数年間を好きな野球に関わりながら安定した生活を送ることができることになるのだから、手を上げる選手も出てくるのではないか』

ちなみにBCリーグは、群馬ダイヤモンドペガサス、新潟アルビレックスBC,信濃グランセローズ、富山サンダーバーズ、石川ミリオンスターズ、福井ミラクルエレファンツの六球団で構成されており、放送局、新聞社、スーパーなどの地元有力企業などがスポンサーとなって球団運営を支援しています。

早稲田からは、清水勝仁くん(専大北上-早大)が信濃グランセローズに所属して内野手としてプレーしています。長野在住のロッキーさんからの情報によれば、彼は主将を任されるとのこと。
なお、信濃には、監督で今久留主成幸さん(PL学園‐明治大‐大洋・西武)、プレーイングコーチに辻竜太郎さん(松商学園‐明治大‐ヤマハ‐オリックス・楽天)の六大学出身者もいます。

また、群馬ダイヤモンドペガサスには、犬塚康太朗選手(遊撃手。立教新座-立教大学)が今春加入します。


アマチュア球界を見渡すと、未曾有の経済危機で、自動車や電機などが苦境にたっており、これまで日本のアマチュア野球を支えてきた多くの社会人野球チームの存続が危ぶまれています。
一般従業員の方々ですら雇用に不安を感じる現下の状況で、野球部員は午前中のみ仕事して午後からは練習、あるいは出張扱いで長期間の強化合宿という従来の社会人野球のスタイルは、もはや社員からも株主からも理解を得ることが難しいのではないかと私は思います。

したがって、これからの野球を考えるとき、独立リーグの充実が不可欠でしょう。
定時まで働いた後の平日の夜、あるいは週末だけプレーできるクラブチームのような参加形態も、検討すべきだと思います。


ただ、このカテゴリーの野球は、基本的にとても地味な世界です。
集客力がなく、お金もありません。

メディアについても、高校もしくは大学からスンナリとプロ入りする全国区のスター選手以外には関心を示しませんから、地味な競技団体を腰を据えて支援する気持ちがあるとは到底思えません。


日本の野球界は、重大な岐路にたっています。

永年の功労者を遇する名誉職のポストと、実際に球界を運営する権限のある実務ポストを明確に分離して、速やかに新しい時代をにらんだ改革を実行していただきたいと、野球ファンの一人として思います。



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