酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

朝日とJTB

2008-12-29 06:12:17 | Weblog
朝日新聞がJTBと包括的な業務提携を結ぶという。朝日旅行株の51%をJTBに譲り、JTBのカルチャー事業を引き取る。本業での頭打ちがはっきりしてきたので、なりふり構わぬ多角戦略に走るの図である。


《JTBは26日、朝日新聞社と旅行事業、カルチャー事業で提携すると発表した。2009年3月にJTBが朝日新聞社の旅行子会社を買収、10月には JTBのカルチャー教室事業を朝日子会社に譲渡する。購読者向けサービスを強化したい朝日新聞社と旅行事業を充実させたいJTBの思惑が一致した。
 
 朝日新聞社の旅行子会社「朝日旅行」の発行済み株式の51%をJTBが取得する。ホテル・航空券の共同仕入れや販売網の拡大などで相乗効果を見込む。朝 日新聞社は中高年向けバス旅行など購読者へのサービス拡充で新聞の販促にもつなげる。朝日旅行は売上高を08年度見込みの92億円から3年後に103億円 に引き上げる。
 
 また、JTB子会社のカルチャー教室事業を、朝日新聞子会社の朝日カルチャーセンターに譲渡したうえで、JTBは朝日カルチャーセンター株式の33.4%を取得する。旅行関連の講座拡充や検定制度の新設などを検討する》=日経web=

 なぜJTBが相手なのか。いうまでもなくJTBは日本交通公社から変形したした半独占的、国策型会社である。社員をこき使うことでも知られる。こんな会社と朝日が手を組む。そこには報道機関としての矜持や節度は見られない。

 JTBは春秋の観光シーズン前を中心に広告を大量出稿する有力クライアントである。メディアが最も気を付けなければならないのは、大広告主との距離感であろう。ここがぐらつけば記事の信頼度が傷つく。JTBは途上国で時々ヘマをやらかす。こうしたことが明るみに出る機会がますます減るのは間違いない。そういえば、トヨタへの切り込みも随分と甘い。

 まあ、本音は朝日旅行を引き取ってもらいたかったのかもしれない。読売旅行も同じようなものだと聞いているが、偉いさんの天下り先になっているだけで、営業益は上がっていないいう。JTBは「朝日」の冠を付けたパック旅行を売り出せる。悪い話ではないと考えたのだろう。

 最近のABC調査が伝える大手紙の部数減は深刻だ。毎日は10万単位で減っている。県によっては1000部をきっている所もある。朝日、読売も5万部前後の減少と見られる。実売数はもっとひどい状況だろう。

 朝日などは記者の志気の低下が目立つという。自前の記者が育たず、地方紙からかき集めてしのぐ有様だ。若手だけでなく幹部まで引っこ抜き始めた。断末魔ということか。紙面を軽視して準国策企業と提携するなど、朝日の自壊を早めるだけだろう。

コメント
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