酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

鳩山の宇宙語と谷垣の限界

2009-10-27 05:08:47 | Weblog
 ようやく臨時国会が召集され、鳩山由紀夫首相が就任後初めての所信表明演説を行った。

 いやー、長い。小泉以降麻生までの4人と比べるとほぼ倍の50分強。チョーク工場や息子を自殺で亡くした婦人のエピソードを交えるなど、鳩山宇宙流全開だった。

 中身は「改革」「変革」「抜本見直し」のオンパレード。最後は「平成の無血維新」と締めくくった。

 吼えるだけだった小泉、復古調が空回りした安倍、戦う戦うと力んだ麻生らよりはましな演説に聞こえた。ただ、友愛を基調とする「人間に優しい政治」をどう実現していくかとなると、とたんに語尾がぼやける。「長期的視点に立って検討してまいります」といった具合に。

 何をどういう手順でやるか。危機的状況に対処する処方箋を明確にすべきであった。そのへんは論戦で、ということなのか。

 鳩山演説を評した自民党総裁の谷垣禎一のセンスは度し難い。演説内容について的確な批判が出てこなかったため、民主党議員の反応を皮肉ったのだろうが、言うに事欠いて「ヒトラーユーゲント」と口走ってしまった。補選に連敗したところに、蜜たっぷりの演説を聴かされて苛ついていたのかもしれないが、自身の余裕のなさを暴露してしまったというしかない。

 《自民党の谷垣禎一総裁は26日、臨時国会で行われた鳩山由紀夫首相の所信表明演説について、「ヒトラーの演説にヒトラー・ユーゲント(ナチスの青少年組織)が賛成しているような印象を受けた」と評した。演説への民主党議員の拍手や歓声が多かったことに関し、国会内で記者団に語った。具体的な理由の説明はなかったがナチスドイツに例えた発言だけに反発が出そうだ》=毎日jp=。

 「あんたが大将なんだから」と涙を流し、「みんなで頑張ろうぜ」と拳を突き上げた谷垣が、こんなお粗末な評しかできない。これでは自民党は廃れる一方だろう。明日の代表質問には総裁自らが登壇するという。気負いすぎるとろくなことにならない。今日は自転車でもこいで、体調を調えてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

菊池、楽天入りの予感?!

2009-10-26 05:46:59 | Weblog
 甲子園を沸かせた花巻東の菊池雄星が、29日のドラフト会議を前に「日本球界入り」を表明した。さまざまな雑音が聞こえる中、苦悩の決断だったと思う。こういう記者会見を開かなければならないこと自体に、日本球界とスポーツメディアのいびつさが現れているような気がする。

 《春夏の甲子園大会を沸かせた岩手・花巻東高の150キロ左腕、菊池雄星投手は25日、母校での記者会見で日本のプロ球団入りの希望を表明した。日米球界が繰り広げた獲得競争は収束し、29日に開かれるドラフト会議での抽選に、東北の怪腕の命運が託されることになった。

 早くから大リーグ挑戦を視野に入れていた菊池は、日米20球団との直接面談を終えても「さらに迷った」と胸中は揺れた。18歳がようやく下した決断は、高校生の逸材流出を恐れた日本球界を安堵(あんど)させた》=日経NET=。

 プロ、アマ球界総ぐるみの狂想曲が続いていたらしい。花巻東の監督は「メジャーに行けば、花巻東は日本全国を敵に回すかもしれない」ともらしていた。陰に陽に締め付けや警告があったということだ。

 高校球児の進路にはさまざまな人がかかわっている。契約金額の数パーセントが、ジュニア時代の監督・コーチやら、いまの高校に口を利いた人物やらに流れているとも聞く。大学の枠を巡ってもバトルがある。

 野球をやる環境で選べばメジャーだったかもしれない。でも、菊池とその取り巻きはより雑音の少ないほうを選択した。一つの見識だ。ただ、日本の球団に所属すれば9年間は海外移籍の資格を得られなくなる。保有球団がメジャー行きを認めればこの限りではないが、活躍すればするほど手放さないというのがこれまでの例だ。

 そんなことより、まずちゃんと体を治していい球を投げてほしい。ナマで見たのは国体だけだが、体のしなやかさが目についた。フォームもきれいだ。だから威圧感には乏しい。大昔、巨人にいた新浦をがっちりさせたような印象かな。

 今年のドラフトでは中京大中京の堂林にも注目している。長打力もさることながら、インコースに肘をたたんで対応するバッティングは既にプロの上級レベルだ。巨人の大田や日ハムの中田ら高校時代とはモノが違う。ポジションが問題だが、鍛えればどこでも守れそうだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

普天間飛行場移設

2009-10-24 09:29:54 | Weblog
 ゲイツ国防長官に続いてマレン統幕議長が日本を訪れ、「大統領訪日前に普天間の決着を図れ」と脅しをかけている。

 《来日した米軍制服組トップのマイク・マレン統合参謀本部議長は23日、都内の米大使館で記者会見し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題について、「日米合意の履行が遅れれば日本の防衛だけでなく、アジア太平洋地域の安定にも死活的影響が生じる」と強く警告、普天間移設の速やかな実現を要請した》=産経ニュース=。

 2006に日米は普天間飛行場をキャンプシュワブ沿岸部に移設することなどを柱とする在日米軍の再編計画に合意している。これが政府間の約束事であることはいうまでもない。しかし、相手国の政権が変われば、合意の修正もまたありうると考えるのが常識だ。

 ブッシュ政権がポーランドやチェコと約束したMD配備を、オバマは撤回した。副大統領のバイデンが、いま東欧各国で頭を下げて回っているのはそのためだ。東欧では自ら軍事政策を転換、極東では日本の見直しを許さないというのでは二重基準もいいところだ。

 マレンは「再編が動かないと日本の安全への支援に支障をきたす」と述べている。一体どのような支障が出るというのか。再編の主体である沖縄の米海兵隊は強襲攻撃部隊であり、遊撃部隊だ。米軍の世界戦略に従いさまざまな動きを見せる。日本防衛や東アジアの安定はその任務の一部に過ぎない。現にイラク戦争にも派遣されている。

 《二〇〇三年三月に開戦したイラク戦争で、沖縄を拠点とする米海兵隊の第三海兵遠征軍(ⅢMEF)が、これまでに約八千人をイラクに派遣していたことが十六日までに分かった。在沖米海兵隊報道部が沖縄タイムスに明らかにした。現在は約二千人が「イラクの自由作戦」に加わっているという。また在沖海兵隊員のイラクでの戦死者は、今年八月まで十九人に上っていることも分かった》=沖縄タイムス・08・9・17=

 八方ふさがりのオバマが、日本訪問でも土産を持ち帰れなかったとなると保守派から激しいブーイングを浴びるのは必至だ。だからゲイツ、マレンと立て続けにやってきて地ならしを図っているのだろう。

 普天間を県外ないし国外に移設するのは民主党の政権公約だ。ずるずる引き延ばせば宜野湾市民は危険と騒音にさらされたままになる。訓練、飛行時間の規制を強めて負担軽減を図ることが先決だ。

 かつてシュワ部沿岸施設について「15年後返還説」があった。最悪シュワブに移す場合でも、期限を切るのは絶対条件だ。さもないと永遠に沖縄は基地から解放されない。普天間はその試金石ともいえる。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バンクーバーは安藤と織田が…

2009-10-19 06:04:29 | Weblog
 バンクーバー五輪まであと4か月を切り、前哨戦も白熱してきた。フィギュアスケートのGPシリーズ開幕戦、期待の浅田真央は悔しい2位、男子の織田信成は逆転優勝と好対照のスタートとなった。

  《フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第1戦、フランス杯最終日は17日、パリで行われ、女子はショートプログラム(SP)で3位と大きく出遅れた浅田真央(中京大)がフリーも2位にとどまり、合計173・99点で2位に終わった。

 浅田はトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を含む連続ジャンプは成功させたが、その他のジャンプで転倒や回転不足のミスが相次いだ》=共同=

 《フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第1戦・フランス杯は最終日の17日、当地のベルシー多目的総合体育館で男女のフリーなど4種目が行われ、男子はショートプログラム(SP)2位の織田信成(関大)が自己ベスト更新の163.33点でフリー1位となり、計242.53点で逆転優勝した。GPシリーズ通算4勝目は高橋大輔(関大大学院)と並ぶ日本男子最多タイ》=毎日jp=

 浅田は失敗がなくてもキム・ヨナには勝てなかっただろう。いまはそれぐらい力に開きがある。本番までに形勢逆転持ち込めるかは、かなり厳しい。むしろ、安藤美姫に注目したい。スケールの大きさではキムや浅田をしのぐ。表現力もある。4年前の荒川静香のような存在になる余地は十分あると見たい。ランキング首位のコストナーは、日韓には及ばないだろう。

 男子は大混戦になりそうだ。ランクトップのべルネルは華やかさのある人気者だが、時々大失敗をやらかす。ライサチェック、チャン、高橋、小塚、織田、誰にでもチャンスはありそうだ。

 で、期待したのが織田。飲酒運転でペナルティーを受け、そこから復活したドラマ性がいい。高橋も故障上がりというストーリーは持っているが、これはむしろマイナス要素だ。アスリートにとって半年のブランクは痛い。

 まだシーズンは始まったばかり。いささか気の早い予想であり、大きな情勢変化もあるだろう。他の競技ともども注目して見ていきたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「広島・長崎五輪」という短慮

2009-10-12 08:30:34 | Weblog
 思い余って考え足らず。共同で五輪招致に乗り出すと表明した広島市と長崎市のことである。核廃絶国連決議、オバマのノーベル平和賞受賞に浮かれた便乗立候補とみなさざるを得ない。

 《広島市の秋葉忠利市長と長崎市の田上富久市長は11日記者会見し、2020年の夏季五輪招致に向け、近く共同で検討委員会を設置することを明らかにした。

 会見した両市長は、招致活動を通じ、被爆都市として核兵器廃絶や世界平和をアピールする意義を強調。両市を中心とする複数都市への招致を念頭に、周辺や福岡市などの自治体にも検討委への参加を求める方針を示した。

 招致の意義について秋葉市長は「(両市など内外の都市でつくる平和市長会議が目標にする)20年の核廃絶を目指す中、招致を並行して進めることは相乗効果をもたらす」と説明。田上市長も「多くの人に被爆都市を訪れ、(核兵器について)考えてもらえれば」と期待を示した》=日経NET=。

 両市長の意欲は分からないでもない。しかし、これが五輪の政治利用に当たることは明らかだ。頭を冷やして考え直してもらいたい。

 五輪は都市が開催するのが建前だが、実際は国家主導で行われてきた。その代表例がベルリンであり、北京五輪だ。国威発揚と国民の統合がその狙いだった。

 広島と長崎はこれらとは趣を異にする。しかしながら、「核廃絶」運動のてことして五輪を使おうという発想は、スポーツの思想とは無縁のものだ。

 五輪は「平和の祭典」と呼ばれている。スポーツを通して世界の青少年が友情と理解を深め合うことが平和への近道、と考えたクーベルタンの理想を表した言葉である。両市長の発想と同じように見えるが、アプローチは大きく違う。

 政治スローガンを大きく掲げることで、五輪が捻じ曲がってしまう恐れはないか。モスクワ五輪ボイコット騒動を思い起こしたい。核廃絶という「絶対的正義」を前面に押し立てた招致活動には異論を唱えにくい。これが怖い。

 五輪は五輪であって、政治的目標をアピールしたり、達成したりする場ではない。この当たり前のことに気付くべきだ。秋葉氏ともあろう人が、いまさら肥大化と商業主義化の弊害が目立つ五輪招致を言い出すとは理解しがたい。「オバマジョリティー」戦略も、度が過ぎるのではないか。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オバマのノーベル賞

2009-10-10 17:42:34 | Weblog
 ノーベル賞委員会は今年のノーベル平和賞受賞者にオバマ米大統領を選んだ。プラハ演説などで注目を集めていはいるものの、実績ゼロに等しい新米元首に贈られるのは極めて異例だという。

 《ノルウェーのノーベル賞委員会は9日、2009年のノーベル平和賞を「国際協調外交を推進した功績」で、米国のバラク・オバマ大統領(48)に授与すると発表した。

 特に、オバマ氏が核兵器の全廃に向け外交交渉を開始したことを評価した。

 現職米国大統領の受賞は1906年のセオドア・ルーズベルト、19年のウッドロー・ウィルソン以来で、90年ぶり。就任して1年にも満たない大統領が選ばれるのは異例で、同委のオバマ大統領への期待値の高さを示した》=読売ONLINE=

 既に各メディアが伝えているように、オバマの「核なき世界」構想を強力に支援しようというメッセージであることは間違いない。決断には敬意を表したい。

 だが、ノーベル賞委員会の平和賞に対する思い入れの強さがマイナスに作用する側面にも留意する必要がある。平和賞は政治的思惑がにじみすぎて物議を醸すことがしばしばあった。金大中やカーターなどはその例だ。

 今回のオバマ受賞決定がどんなリアクションを引き起こすのかに注目したい。とりわけアメリカ国内の動向は気になる。健康保険法案がうまくいかず、経済の建て直しも道半ば、アフガンは泥沼で、五輪には落選した。落ち目のオバマにノルウェーから援軍が来た格好だ。

 米国内の反応は冷ややかと毎日新聞は伝える。

 《だが、反戦・核軍縮の米最大規模の団体「ピース・アクション」の声明は、アフガン増派を検討するさなかの受賞を「皮肉なことだ」と指摘。「核兵器のない世界」についても、「平和賞に値する業績がない」とし、「平和を推進する力」を示すように求めた。

 共和党や保守層はより辛らつだ。黒人で共和党全国委員会のスティール委員長は声明を発表。「確かなことは、大統領は雇用創出、財政責任などで、米国民からいかなる賞も得られないことだ」と皮肉った。保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」はニュースメールで、「ノーベル賞は、米国の内政に横やりを入れ、政治論争の種をまいている」として、ノーベル賞委員会に批判の矛先を向けた》=毎日jp=

 アフガニスタンで戦争を続け、兵員の増派を検討している最中の米大統領に「平和賞」を贈るとはかなりの変化球だ。通常兵器による戦争には目をつぶり、核削減構想だけを評価しているということなのだろうか。

 アフガンへの増派をめぐっては現地司令官とホワイトハウスで意見の食い違いが見られる。せかす現地、逡巡するワシントンという構図だ。受賞によってアメリカのアフガン政策が変化するようなことがあれば、保守派から「弱腰大統領」批判が吹き上がるのは必至だろう。

 ひいきの引き倒しはよくあることだ。エールを送ったつもりが、かえって身内の反発を招くケースもある。ノーベル賞委員会の今回の決定がマイナスに作用しないことを祈るばかりだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

橋下徹クンの器量

2009-10-09 05:05:00 | Weblog
 大阪府知事の橋下徹が、また何か勘違いをしたらしい。府職員全員に送信したメールがケチを付けられて返信されたことに甚く立腹、直属の上司ともども処分に及んだ。

 《大阪府の橋下徹知事が全職員にあてて税金に対する意識の低さを嘆くメールを出したところ、ある職員が反論する返信をした。知事は「物言いが非常識だ」と激怒して8日、この職員と直属の上司を府の内規に基づく「厳重注意」にした。府庁内からは「知事の態度は度量が狭い」との声も聞かれる。

 発端は1日夜に知事が送信したメール。利水からの撤退によって府の損失が386億円に上った紀の川大堰(和歌山県)をめぐり、議会で原因を淡々と説明するだけだった府幹部について「何事もなかったかのよう。給料が保障される組織は恐ろしい」などと書いて全職員に送った。

 2日昼、職員の一人が「責任は(投資を)決断した人にある。こんな感覚の人が知事である方が恐ろしい」と返信。「愚痴はご自身のブログ等で行ってください。メールを読む時間×全職員の時間を無駄にしていることを自覚してください」とたしなめた》=朝日com=。

 反論が返ってくるだけありがたいと思わねば…。ほとんどの職員は知事の言うことなど歯牙にもかけていないのではないか。職員全員にメールを送るなどという行為も子どもじみている。

 4万5千人もいる職員を直接統治しようなどという発想が間違っているのではないか。組織には組織の動かし方がある。自分で呼び掛けておいて、反論されたらぶち切れて処分するなど、未熟すぎる。

 有能な弁護士? なのだから、きちんと論理でやり返せばいい。「貴重な意見をありがとう」ぐらいのことを言って当然だ。そもそも、何のためにこんなメールを全員に送ったのか。知事の心境を述べるだけなら、それこそブログにでも載せておけばいい。報道を読んだ限りでは業務用メールを送りつける内容とは思えない。

 橋下は、一見「改革派」のようだが、実際はかなり権力志向の強い人物ではないか。昨年の学力テスト結果公表騒ぎの際「テスト結果の開示・非開示によって、(市町村への)予算をつけるかどうか決めさせてもらう」と恫喝している。

 最近は民主党に擦り寄って分権派として振る舞っているが、府下の自治体に対しては殿様気取りだ。自治体には自治体の考え方がある。これが分権だろう。

 自分の思い通りにならないと怒るのは、子どもと同じだ。もう少し成長してほしい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鳩山献金の不可解

2009-10-08 06:10:36 | Weblog
 またぞろ、鳩山由紀夫の政治団体の虚偽献金をめぐる報道が増えてきた。衆院選が終わり、東京地検特捜部が動き出したことに力を得た格好だ。各紙とも独自ネタをつかみ、あれこれ書き立てている。

 《鳩山首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の偽装献金問題で、同会の会計担当の元公設第1秘書(解任)が鳩山首相側の内部調査に対し、寄付者を記載する必要がない政治資金収支報告書の5万円以下の献金についても、「鳩山首相の個人資産を充てた」と虚偽記入を認めていることがわかった。

 鳩山首相側は元秘書から聞き取った内容を東京地検特捜部に説明している。特捜部は、既に亡くなっていた人や実際には献金していない人を「寄付者」と偽った問題に加え、小口献金についても、政治資金規正法違反(虚偽記入)容疑で捜査するとみられる。

 同会の収支報告書によると、総額のみを記載すればいい年間5万円以下の小口献金の金額を示す「その他の寄付」欄には、2004~08年の5年間に計約1億8000万円が計上されている。これは同会への個人献金全体の6割を占める》=読売ONLINE=

 《鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の虚偽献金問題をめぐり、団体側が、架空名義とみられる「寄付者」延べ75人分について、総務省に税金控除を申請し、書類の交付を受けていたことがわかった。75人は、05~07年に交付を受けた寄付者の約3分の2にあたり、虚偽記載として政治資金収支報告書から削除されている。

 控除書類の申請状況は、総務省に対する朝日新聞の情報公開請求でわかった。

 鳩山首相はこれまで、虚偽の献金者を仕立てた理由について「公設秘書(解任)が個人献金数を多く見せかけるためだった」などと説明している。団体側が、水増しが不自然に見えないよう、架空の税金控除書類の申請という二重の工作をしていた疑いがある。収支報告書の修正後、総務省は交付済みの控除書類が悪用されないように首相側に「適切な対応」を求めたが、5日までに返還などの措置は取られていない。

 ただし、こうした控除書類は「寄付者」本人でなければ税金控除申請には使えないため、ただちに税金の不正減額が行われたとはいえない》=朝日com=

 例の「故人献金」をはじめ、鳩山事務所の政治献金処理はかなりでたらめだ。政治資金規正法違反に当たることは間違いない。この点は厳しく問われるべきだろう。

 だが、どうも腑に落ちない。規制法上の虚偽記載という「形式犯」なのか脱税などの実態を伴っているのかが見えてこないのだ。一国の首相について、書類の不備だけで騒ぎ立てるのは疑問がある。かつて田中角栄が外為法違反で捕まったときの真の狙いが賄賂受領であったように、ここを突破口に切り込んでいくということなら、理解できる。

 民主党政権と検察の関係は微妙だ。西松献金問題で鳩山や小沢は「国策捜査」と批判していた。その「国」は今度は自分たちだ。検察はここで手を緩めれば、政権交代で方針がぐらついたということになり、決定的にまずいと考えているのだろう。果たして落としどころをどこに見つけるのか。

 臨時国会では鳩山献金が一つの焦点になりそうだ。鳩山はなぜこんなわけの分からない書類になったのか、きっちり説明しなければならない。秘書が「献金の額を多く見せようと思って」では、ほとんどの国民は納得できまい。

 こんなことで国会の時間を費やすなど、「革命政権」に許されることではない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リオの当選、ブラジルの時代か

2009-10-03 09:02:04 | Weblog
 2016年夏季五輪の開催地はブラジルのリオデジャネイロと決まった。以前から述べているように、今回立候補した4都市に限ればリオが当選して当然である。これまで南米に聖火が燃え盛ったことがないのがその理由だ。IOC委員は意外と常識的なのか。そんな感想を持った招致劇だ。

 《【コペンハーゲン】2016年夏季五輪の開催地を決める国際オリンピック委員会(IOC)の総会は2日、当地で始まり、IOC委員による投票の結果、東京は落選した。開催地はリオデジャネイロ(ブラジル)とマドリード(スペイン)による決選投票の結果、リオデジャネイロに決まった。夏冬通じて南米大陸初の開催となり、8月5日から21日まで。東京は1964年以来52年ぶり2度目の開催はかなわなかった。

 投票は過半数を獲得する都市が出るまで最少得票の都市を除きながら続けられた。1回目は東京が22票の3位で通過し、有力視されたシカゴ(米国)が18票の最下位で落選する波乱。2回目で東京が最下位の20票で姿を消し、決選投票はリオが66票―32票でマドリードを破った》=中日Web=。

 下馬評が高かったシカゴが1回目の投票で姿を消したのはなぜだろう。アメリカは世界の嫌われ者になっている。そんな印象さえある。ブッシュの8年間で米国の信頼感はすっかり揺らいだ。政治経済両面で影響力を急速に低下させている。オバマはその回復を目指すより、米国の負担を減らす多極化を志向している。いまさらアメリカのご機嫌をとる必要はどの国にもないのだ。

 哀れなのはプレゼンテーションに出向いて演説まで行ったオバマである。当初、ミシェル夫人だけが参加すると伝えられたが、日程をやりくりしてコペンまで飛んだ。なぜか。

 70%前後の高い支持率でスタートしたオバマ政権はじりじりと人気を下げ続け、7月時点では50%まで低下、逆に不支持率は40%を超えている。不人気の原因は経済の先行きが見えないことと、健康保険制度への反発だ。アフガン戦略については保守派の批判が高い。こうした苦境を五輪シカゴ招致で吹き飛ばそうと考えたであろうことは、容易に想像できる。でも、残念でした。

 わが東京も惨敗。残念会見で石原がどんな嫌味を言うか注目していたが、意外とまともだった。「知事を辞めることはない」と強調して見せたあたりに苦しさがのぞく。民主党の牙城となった都議会は、新銀行東京問題をはじめとする石原都政の失政を厳しく突いてくるだろう。ご老体には気が重い日々になる。

 さてリオだ。ブラジルでは2014年にサッカー杯が開かれることも決まっている。日本流に言えば盆と正月が続けさまにやってくるようなものだ。もともと陽気な国柄、これからは毎日がカーニバル状態になりそうだ。

 ブラジルはいまやG20の一員でありBIRCSの一翼でもある。インドとブラジルは中国やロシアに比べて政治的リスクが小さく投資はしやすい環境だ。人口規模などでインド、中国には遠く及ばないとはいえ、今後ブラジルが世界経済に果たす役割は急速に拡大するのではないか。

 日本とブラジルの関係は良好だ。リオ五輪は日本にとっても悪い話ではない。シカゴやマドリードに決まるよりははるかにましだ。

 それにしても、JOCの場当たり的「五輪招致政策」にはあきれる。名古屋、大阪、東京と3連敗だがそれも仕方ない。「なぜ五輪をこの都市で」という理念が皆目見えないからだ。まっとうな立候補の理屈がないから1回負ければ、もう手を上げることができない。おそらく東京も同じ道を歩むだろう。

 20年五輪の招致運動がすぐ始まるが、国内からの立候補はないのではないか。次はアフリカがいい。エジプトと南アしか開催できそうにないが…。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする