酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

白鵬vs琴奨菊の怪しさ

2011-07-21 05:35:49 | Weblog
 放駒理事長はこの一番をどう見ただろうか。名古屋場所11日目結びで琴奨菊が白鵬を寄り切った相撲のことだ。横綱、大関でただ一人の日本人だった魁皇が引退会見したその日、後継者と目される琴奨菊が白鵬に快勝して大関取りにぐっと近づいた。これだけでも、かなり怪しい。 

 《大相撲名古屋場所11日目の20日、前人未到の8連覇を目指す白鵬は、大関取りを狙う琴奨菊の寄りに屈して初黒星。琴奨菊は9勝目を挙げた。日馬富士は琴欧洲との大関対決を制し、ただ一人全勝を守った。優勝争いは日馬富士を、1敗で白鵬、2敗で把瑠都、琴奨菊、平幕の豊真将が追う構図になった》=毎日jp=。

 右四つ得意の白鵬が相手十分の左四つに誘ったのはなぜか。どちらでも四つになれればいいと考えていたかもしれない。右差しにこだわって、おっつけられるよりはまし、ということだ。互いに下手を引き合う展開で、上手は取れない。こうなれば、手の長い白鵬の方が先に上手を引いてよさそうなものだが、そうはならなかった。白鵬の気持ちが引けていたということだ。彼自身、そう述べている。


 《大関昇進が懸かる琴奨菊に白鵬が完敗した。「(自分の)ファンには申し訳ないが、勝ってはいけない雰囲気があった」。魁皇の引退で横綱大関陣に日本人がいなくなったことで、集中できなかった心境を吐露した。これまで大関候補の壁になってきたが、「そういう時期じゃない」とも。琴奨菊には「(大関に)なるものはなるんだという気がします。力はあると思う」とエールを送った》=毎日jp=。

 こういうのを業界用語では「片八百長」というのではなかったか。厳密に言えば無気力相撲の一種である。

 NHK解説の舞ノ海が八百長のことを「人情相撲」とどこかの新聞に書いていたのを思い出す。

 金銭が絡む八百長は論外だが、相手のけがや番付を思いやる「人情相撲」は相撲がプロの興行である以上当然出てくる話だ。ところが、相撲協会は例の八百長問題で「八百長は証拠で確認された力士だけの話。ほかにはない」と言い切ってしまった。こんなことを言うから相撲取りが困惑するのだ。

 問題が明るみに出たときの白鵬のコメント「(八百長は)なかったというしかないじゃないですか」にその苦悩ぶりが現れている。きのうの琴奨菊との一番について、あとで聞かれても同じ答えをするはずだ。怪しい一番だが、あれはあれで納得できる一番でもある。
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不可解な「フライングなし」判定

2011-07-10 09:37:43 | Weblog
 先週のアジア陸上男子100メートル決勝は、不可解なフライング判定で後味の悪いレースとなってしまった。

 ほぼ一線で飛び出したと思ったが、2発目のピストルが鳴り、フライング。日本のエース江里口の6レーンにレッドタグが表示された。江里口失格と思いきや、審判団協議の結果「機械の誤作動」でやり直しとなった。

 《神戸市で開催中の陸上のアジア選手権で8日、男子百メートル決勝のスタートでフライングを判定する装置が誤作動するトラブルがあった。

 陸上ではスタートの反応時間が1000分の100秒未満の場合にフライングと判定される。大会組織委員会によると、江里口ら4選手が1000分の94秒から99秒と計測された。目視でフライングを確認できなかったスターターらがメーカー側に確認したところ、装置の異常が認められ、約10分後に再スタートとなった。

 当初は手続きの不備で最も反応時間の早かった江里口のみがフライングと指摘され、尾県貢・大会組織委員長は「江里口選手に与えた精神的なダメージは計り知れず、申し訳ない」と謝罪した。

 日本陸連は試験運用を含めて、この装置を導入して3年目だが、4選手が一度にフライングと判定された誤作動は初めてという。装置は選手がスターティングブロックを押す力が弱い場合などに反応時間が検出不能となるなど課題も指摘されている》=毎日jp=。


 毎日の記事は「機械的トラブル」のせいにしているが、本当にそうなのか。スターティングブロックとピストルを連動させたフライング判定装置は、いまや陸上競技の必須アイテムだ。大きな大会はすべてこの方式であり、各メーカーの装置の信頼度は高い。ところが、このレースでは審判が「目視ではフライングは確認できなかった」と異議を挟み、電子判定を覆してしまった。目視では確認できないから電子判定装置を導入したのではないのか。これでは話があべこべだ。

 江里口ではなく外国人選手だったらどうだったか、との疑問がわく。大会の目玉とも言える江里口をフライングで消し去ることを躊躇したのではないか。国際大会で4人失格という異常事態を避けたかったとも思える。

 こうした協議運営がまかり通れば、レースの公平性が損なわれる。機械の精度を向上させるのはもちろんだが、「俺は確認できなかった」などという<クレーム>は排除しなければならない。

 メディアはこのメーカーをよく取材して「装置のどこがどのように異常だったのか」を明らかにしてもらいたい。うやむやは許されない。

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「圧力」に屈したというよりも

2011-07-06 06:16:11 | Weblog
 松本龍復興相の暴言、辞任で大手からネットまでメディアはにぎやかだ。そもそも、こんな人物を内閣の最重要課題担当に据えたのが間違いなのだ。「全身全霊で復興に当たる」という菅の言葉がむなしい。もっとも、菅は「実力者」を当てたいと考えていたらしい。松本の後任もそうだ。仙石、安住らに声を掛けたが、ことごとく断られ平野に落ち着いたという。

 ところで、松本発言が「炎上」した経緯についてだ。ネット上では「テレビキー局は松本の<書いた社は終わり>発言に屈した」との見方が広がっている。自民党の議員で広報に一家言を持つ世耕弘成は次のように書く。

 《当日の夜、私が東京でチェックしている全国ネットのテレビニュースでは報道されていなかった。なので私は「宮城県知事と松本大臣の会談を取材していたのは東北放送だけなのだ」と思っていた。

 ところがネットの影響で翌7月4日(月)になり騒ぎが大きくなってくると、テレビ朝日、日本テレビ、NHKがそれぞれ知事と大臣の会談模様を流し始めた。各社は取材映像を持っていながら、事態発生から丸一日たってネット等で騒ぎが大きくなってから放送したことになる。ということは松本大臣の「今の最後の言葉はオフレコ。いいですね。皆さん。書いたらその社は終わりだから」という圧力に屈したということではないか
》=BLOGOS=。

 世耕ほどの人物がどうしてこんな言い方をするのか。メディアは権力=政府=民主党に弱いという印象を広めたいということだろう。本当のところは違うと分かっての発言と見た。

 なぜ、テレビは松本の岩手、宮城訪問を伝えなかったのか。「つまらない」と思ったからだ。問題の発言についての感度もゼロだ。オフレコに屈したなどという、レベルではない。新聞も朝日がやや大き目の囲みで報じたのが目立つ程度で、共同の一報にいたっては「両県知事にエール」と書いている始末だ。

 こういうメディアだから、いったん流れができてしまうと止まらない。何も考えていないメディアは、菅の暴走より恐ろしいぐらいである。 
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