酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「小学生化」する社会

2012-05-24 15:55:50 | Weblog
 大阪市の「入れ墨調査」にびっくりしていたら、今度は福岡市が「市の職員は自宅以外で酒を飲むな」と言い出した。飲酒に絡む職員の不祥事が続発しているからだという。

 ≪酒に酔った福岡市職員の不祥事が相次いでいることを受け、福岡市の高島宗一郎市長は21日、臨時幹部会議を開き、職員に対する1カ月間の自宅外禁酒を通知した。飲酒を規制する法的根拠がないため要請にとどめたが、外出先などでの飲酒が発覚すれば「厳しい対応で臨む」(高島市長)としている。市教育委員会も1カ月の自宅外禁酒を通知し、全国でも異例の市職員全員の「禁酒令」がスタートした。

 高島市長は幹部会議で「禁酒が(不祥事再発防止の)根本的な対策でないことは承知している。ただ、意識改革にはショック療法も必要。多くの飲食店にご迷惑を掛けるが、市が生まれ変わる期間と思い、協力いただきたい」と述べた≫=22日西日本新聞=。

 酒を飲んで不始末をしでかすような職員は、そもそも資質に問題があるのだ。採用とその後の教育、仕事のやり方から見直すべきだろう。そこを放置しておいて「飲むな」などと言ったところで、何の意味もない。第一、一律に外での飲酒を禁ずるなど(要請とのことだが、破れば厳罰では禁令と同じだ)憲法や法律を無視している。これでは痴呆自治体である。

 こんな暴挙を「重い決断」などと評価するメディアがあるのだから、さらに驚きである。

 ≪福岡市「禁酒令」 襟正すための重い決断だ  全職員に「禁酒令」とは、思い切った措置である。

  福岡市は今回の通知では飲酒が見つかっても処分はせず指導にとどめるが、飲酒運転などをした場合には懲戒処分の厳罰化を検討している。
 ただ、本質は処分の軽重とは別のところにあると考えるべきだろう。
 公務員に対しての信頼、信用の問題である。
 市民から信頼されなければならないという自覚と責任が求められているのだ。どの職業にも通じる社会規範でもある。
 人ごとではない。福岡市の事例を他山の石としなければならない≫=23日新潟日報=。

 新潟日報は有力地方紙であり、古くは越山会報道、近年は原発報道などで一定の評価も受けている。その新聞が「禁酒令」を容認しているのである。おそらくこの会社も「飲酒に絡む不祥事」を抱えているのだろう。しかし、メディアの一角が個人の嗜好禁止令を認めた意味は軽視すべきではない。世の中の気分にシンクロするのが昨今のメディアだからである。

 橋下も福岡市長も、新潟日報も規律第一に傾いている。そのような役所、会社、社会がいかに息苦しいかなどと言うことには無関心である。地元・西日本新聞の社説が

 ≪ただし、怒りに任せたかのように「全体責任」といわんばかりに全職員のプライベートにまで口を挟むのは、いかがなものか。社会的常識があるはずの公務員組織としては、稚拙で恥ずかしい≫と述べているのが、わずかな救いである。
 
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入れ墨公務員

2012-05-17 20:02:30 | Weblog
 大阪市の橋下市長の発案になる「職員の入れ墨調査」が波紋を広げている。そもそも、こんな調査をやること自体おかしい。でも、橋下クンは、そんなことはお構いなしだ。光市母子殺人事件の弁護団に対して、「懲戒要請をしましょう」と呼びかけた例で分かるように、人権などに興味は御仁とみられる。これで弁護士をしていたとは恐れ入る。

 で、調査の結果、110人が体に倶利伽羅紋々を入れていたという。

 ≪大阪市は16日、市教委を除く全職員(約3万3500人)に入れ墨20件の有無を尋ねた調査で、「入れ墨をしている」と回答した職員が計110人に上るとの中間報告を発表した。顔など人目に触れる部分に入れ墨のある職員は98人いた。市の服務規律刷新プロジェクトチームは同日午後、職員の配置転換などの対応策を検討する。

 今年2月、市の児童福祉施設の職員が児童に入れ墨を見せていたことが発覚。橋下徹市長の指示で今月1〜10日、調査を実施した。腕や顔、足など人目に触れる部分は入れ墨の大きさや部位を人体図に記入し、記名で回答を義務付けた。それ以外の部分は任意で回答を求めていた。

 110人の所属別の内訳は、環境局73人▽交通局15人▽建設局7人▽ゆとりとみどり振興局3人▽契約管財局2人▽港湾局2人▽西区役所2人−−など。市は職員倫理規則で入れ墨20件を禁止するなどルール化も検討する。

 一方、市教委は教育委員から「個別の部位まで特定させるのは行き過ぎだ」などと調査手法に否定的な意見が多く、調査をしていない≫=毎日jp=。

 日本中でこんな調査をした例はないから、この数が多いのかどうかは不明だ。だが、へぇー、という気になるのも確かである。

 しかし、その昔をたどれば、「男子大小となくみな鯨面文身す」=魏志倭人伝=のように、入れ墨は普通に行われていたことだ。今はまた、ファッションとしてのタトゥーもある。橋下としては、入れ墨=やくざ、と規定して処分したいのだろうが、入れ墨をしているだけで配転というのは無理筋だ。名古屋の河村市長の言い分がまともに聞こえるからおかしい。

 ≪名古屋市の河村たかし市長は17日の記者会見で、大阪市が職員の入れ墨の有無を確認する調査を行ったことに関連し「やる気があることの方が大事だ」と述べた。市職員の入れ墨については問題にしない考えを示したものだ。
 市長は「職員になってから入れ墨を入れるのは公務員としての倫理観があるので遠慮してほしい」とした上で「改心した人で入れ墨が入っている人は採用してはいけないのか」と強調した≫=時事com=。

 次期衆院選で政界再編の核と期待されている? 橋下だが、考えていることが小さすぎる。やはりこの人にはテレビのバラエティー番組あたりがお似合いだ。
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これで廃部だって?!

2012-05-08 20:19:18 | Weblog
 この時期恒例の?大学生集団飲酒に伴う事故のニュースである。国立小樽商大のアメリカンフットボール部の学内での飲み会で、男女9人が急性アルコール中毒で病院に担ぎ込まれたという。

 ≪【小樽】7日夜、小樽市緑3の小樽商科大(山本真樹夫学長)で、アメリカンフットボール部の学生が集団で酒を飲み、1~4年生の男女9人が急性アルコール中毒とみられる症状で市内の病院に搬送された。同大によると1年生の男子学生(19)が心肺停止状態となり入院、別の1年生の男子学生(19)も一時意識不明となったが、その後、意識が戻り、他の7人とともに命に別条はないという。同大が経緯を調査しているほか、小樽署も飲酒の状況などを調べている≫

 ≪小樽商大の山本真樹夫学長は8日午前、同大で記者会見を開き、「9人が次々と(病院に)運ばれたのは異常な事態。校内での飲酒でこのような状況になり、(学生の)家族に本当に申し訳ない」と謝罪した。

 山本学長らによると現在、同部の学生から事情を聴いており、飲酒した量や上級生から飲酒の強要があったかなどについては、まだ分からないという。今後の対応としては「キャンパス内の飲酒を禁止するとともに、アメフト部も廃部にしたいと考えている」と述べた。
≫=北海道新聞8日夕刊。


 こうした飲酒は「学生のパワハラ」として20年ぐらい前から問題視されている。確かに飲めない人に「おらー、一気にいかんかい!」などと強要するのはよろしくない。だが、飲まされる方も大学生である。上手に断るとか、飲んだふりをするとか、知恵を働かせてしかるべきだ。また、周りの学生らも様子を見ればどんな具合かは分かるはずだ。その辺の見極めができないところが、一番の問題だろう。

 それにしても、である。「キャンパス内の飲酒を禁止するとともに、廃部も考えたい」との大学側のコメントは何だ。学内を飲み屋にしろとは言わないが、研究室やクラブハウスでちょっと飲むくらいは当たり前ではないか。キャンパス内でビールも飲めない大学なんて…。

 小樽商大のアメフト部は、北日本では強豪として知られる。2010年の大学選手権では早稲田から13点を奪った。昨年も選手権に出場している。そこに驕りがあったのか。それにしても、これで廃部はあり得ない。近年、応援団やスポーツ関係部の不祥事による廃部、廃団が相次いでいる。教育的措置というより、世間に向けて「厳しく処分しました」と言いたいだけのように見える。泉下の小林多喜二や伊藤整もあきれているのではないかい。
コメント (1)
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