酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

安倍晋三という選択

2012-09-27 06:09:24 | Weblog
 5年前、突如政権を投げ出した安倍晋三が自民党総裁に復活した。党員票では首位の石破茂に大きく後れを取ったものの、国会議員だけの決選投票で逆転を果たした。

 同じような口ぶりの5人が争った総裁選は、表面的な盛り上がりはともかく中身のない論戦に終始した。そもそも「論戦」そのものがなかったのだ。彼らが叫んだには「民主党ではだめだ」だけ。何をいまさら、である。

 消費税をどうするのか。原発は、TPPは、近隣外交の立て直しは…。誰一人として明確な方針は示せなかった。26日の東証は大きく値を下げた。「安倍首相では先が思いやられる」という評価だろう。

 「美しい国」を掲げて登場した安倍は、参院選の敗北でにっちもさっちもいかなくなり、「持病」を理由にわずか1年で政権を放り出した。美しい国の醜い首相と言わなければならない。一般の自民党員は安倍の力量や見識を見切っていた。石破の半分ほどしか得票できなかったのがその証拠である。

 ところが永田町の住人たちは違った。「後足で砂を懸けて出て行った奴は推せない」(額賀派)、「派閥の重鎮をないがしろにしている」(長老ら)など、石破を敬遠する声が高かったのだ。党員や国民の声より、「ムラの論理」というわけだ。投票結果が判明した後の小泉進次郎の弁「結局自民党は何も変わっていない」は正鵠を射ている。

 安倍はポーズの政治家だ。格好をつけるのが第1という意味である。「成長なくして財政再建なし」を5年前から叫んでいるが、成長への道筋を示したことがない。

 問題は誰が安倍の振り付け師になるのかだろう。結局は財務省主導とならざるを得ない。そこで噴き出す不満は、対中、対韓強硬路線や復古調論理で覆い隠す―こういう展開になるのではないか。

 もっとも、安倍総裁で戦う自民党が次の総選挙で勝つとは限らない。国民はこんないい格好しいのぼんぼんには飽き飽きしているのだ。

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「尖閣」の落としどころ

2012-09-20 14:57:31 | Weblog
 野田政権の無定見ぶりは、それこそ想像を絶する。

 ≪野田首相は19日夜のテレビ朝日の番組で、尖閣諸島国有化に対する反日デモなど中国の激しい反発について、「一定の摩擦が起こることは考えられた。ただ、この規模は想定を超えている」と述べた≫=読売ONLINE=。

 なんという言い草か。双方が対立する案件で、ある行動を起こせばリアクションが起きるのは当たり前である。行動の成果とリアクションを天秤にかけ、さらに先々まで見通して決断するのが政治であろう。野田首相のこの発言は、「考えなしにやってしまいました」と言っているのと同じだ。いったい誰がこんな振付を行っているのだろう。

 民主党政権が尖閣諸島の国有化方針を明確にしたのは7月7日。盧溝橋事件勃発の日である。野田首相と胡錦濤総書記が顔を合わせた二日後には国有化の登記を済ませた。柳条湖事件81周年の1週間前というタイミングである。

 領有権の当否は別にして、野田政権がやっていることは中国の古傷を掻きむしるやり方に見える。国内向けの「弱腰と見られたくない」などという論理で、火遊び外交を行うなど理解しがたい。

 かつて小平は「(尖閣問題は)10年でも100年でもわきに置いておきましょう」と述べた。油ガス田の開発など実務面では協調し、領有権そのものには触らない。これぐらいのことができなくて、何が外交か。

 国有化に当たって、政府はどれほどの瀬踏みをしたのだろう。米中の腹を探るなどということはやっていなかったのではないか。

 気になるのはアメリカの思惑だ。パネッタ国防長官は日本で「尖閣は日米安保の対象」と従来の見解を繰り返しているが、額面通りには受け取れない。

 沖縄駐留の米軍は輸送機の更新すらままならない隘路にある。しかし、尖閣がきな臭くなれば、この状況は一挙に覆る。やはり機動力のある海兵隊は欠かせない―の声が高まると予想されるからだ。

 中国の攻勢が本格化するのはこれからだ。中心となるのは経済制裁である(あからさまに政府が主導するかどうかは別にして)。既に自動車販売には陰りが見える。

 ≪日本車が韓国と中国で苦戦している。8月の販売台数は前年同月比で減少した。一部では韓日、日中間の領土問題をめぐる外交葛藤が反日感情につながったためという分析が出ている。

11日の中国自動車工業協会(CAAM)によると、8月の中国市場の日本車販売台数は前年同月比で2%減少した。今年上半期は平均10%増だったが、こうした増加傾向が変わったのだ。同じ期間、中国全体自動車販売台数は11%増え、韓国・ドイツ・米国自動車の販売は2けた増加率となった≫=韓国・中央日報=。

 領土問題は民族感情そのものであり、双方とも安易な妥協はできない。つまり落としどころがないのである。「毅然としたところを見せよう」などという甘い考えが残したツケは、あまりに大きい。
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草食系男子の暴走?

2012-09-06 06:25:28 | Weblog
 20代前半の男性によるおぞましい事件が続発している。女児を監禁したり、バッグに詰めたり…。

 ≪同じマンションに住む小学生の女児(7)を自宅の部屋に監禁したとして、愛知県警は3日、監禁の疑いで、名古屋市中川区の職業不詳水島誠容疑者(23)を現行犯逮捕した。自宅から水島容疑者の父親とみられる男性の遺体が見つかり、水島容疑者が「自分が殺した」と認めたことから、殺人の疑いでも事情を聴く。女児にけがはなかった。
 
 県警によると、遺体の首には絞められたようなあとがあり、頭にも傷があったという。
 水島容疑者は「女児を自分の部屋に連れてきた」と容疑を認めているという。
 
 逮捕容疑は3日午前8時ごろ、女児を自宅に連れ込み、午後7時半ごろまで監禁した疑い≫=共同=。


 ≪4日午後9時ごろ、広島市中区三川町の路上で、通行人から「タクシーの客の荷物に死体がある」と110番があった。広島中央署員が現場に駆け付け、タクシーのトランクに積まれた旅行かばんの中から小学6年の女児を発見した。女児は無事で、けがはなかった。車内にいた乗客の男に事情を聴いたところ、女児を連れ去ったことを認めたため、監禁の疑いで現行犯逮捕した。
 広島中央署の調べでは、男はいずれも自称で、東京都世田谷区の大学生小玉智裕容疑者(20)。西区己斐本町1丁目のJR西広島駅近くの路上で、同区の小学6年女児(12)を、持っていた旅行かばんに押し込み、監禁した疑い。女児とは面識はないという≫=中国新聞=。

 名古屋の事件で遺体で見つかったのは容疑者の父親で、調べに対して「監禁をとがめられると思って殺した」などと述べているという。広島の大学生は女児を詰めたバッグをタクシーの運転手に手渡す無神経ぶりだ。どちらも尋常ならざる行動だ。

 韓国では先月次のような事件が起きている。

 ≪全羅南道羅州で眠っている小学1年の女児に性的虐待した男が警察に捕まった。

31日の羅州警察署によると、警察はこの日午後1時20分、コ容疑者(25)を全羅南道順天で逮捕し、羅州に連行している。コ容疑者は犯行を自白したという。

コ容疑者は30日午前1時30分ごろ、女児の家の近くのインターネットカフェで女児の母(37)に会い、「子どもは元気か」と尋ねた後、先にインターネットカフェを出て行ったことが分かった≫=中央日報=。


 異常な性癖を持つ人はどこにでもいる。妄想を抱いたり空想で終わっている分には問題はないが、近年、それが実際の行動となって暴発するケースが増えているのではないかと気になる。妄想や空想を押さえつけすぎている、ないしは罪悪視しすぎていはしないか。いい子で、おとなしい―この種の事件の後、伝えられる容疑者像はほぼ似通っている。いずれも草食系を連想させる。

 しでかした行為は断じて許せないし、厳しく罰すべきだが、彼らもまた被害者に思える。人との付き合い方、異性への接し方などを何一つ学ばないまま、体だけ育ってしまったのだ。

 宮城県警は今年前半、26歳から43歳の母親6人を児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕している。自分の子供の裸画像を売っていた疑いだ。金になるなら何でもするという肉食系母親と、草食系男子。壊れかけた日本を象徴する悲惨な絵柄だ。
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