酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

中西先生のお言葉

2019-04-15 10:27:56 | 話題
 新元号「令和」が公表されて以降、皇室報道がにわかに活気づき、連日「種もみをまいた」だの「旧正田邸跡地の公園を訪れただのとにぎやかである。のんきに浮かれている場合かよ、って言いたくもなるが、まあ初体験のことなので無理もないのか。

 ところで「令和」である。すっかり「いい元号」としての地位を得たようだが、ちょっとなあーの気分もある。たとえば、考案者とされる中西進先生の発言などには首をかしげたくなることが多い。中西氏はこんなふうに言っている。

 ≪新元号「令和」の考案者との見方が出ている中西進氏(89)が14日、館長を務める富山市の「高志の国文学館」で新元号に関する企画展の解説会を開き、「(令和の考案者は)私ではないのですよ」と述べた。「(元号を)つくるのは神や天」とも語った。

 中西氏は企画展の展示資料を説明した後、自ら元号に言及。「誰かが考えたとしても、粘土細工の粘土を出しただけ」と話し、考案者について明言を避けた≫=2019.4.14=産経com。

 粘土細工の粘土を出しただけ、という後段はその通りだ。「令和」は古典(万葉集)にあった漢字をくっつけただけともいえる。だが、「元号をつくるのは神や天」というのはどうだろう。どこのどういう神様がおつくりになったのか? 天とは何か? かつて森喜郎が「日本は神の国」とのたもうて失笑を買ったが、中西先生の言い方だとまさしくこの国は「神の国」と言うことになる。

 また、中西氏は「令和」が和を命じる―とも解されるとする批判について次のように述べる。

≪新元号「令和」の考案者との見方が浮上している中西進大阪女子大元学長(89)=日本古典=は12日、万葉集の講座を東京都内で開いた。令和の「令」は発音が美しいと評価し、「命令」の「令」との指摘は当たらないと説明した。自身が考案者かどうかについては「中西進という人が考案者と言われているが、ここにいるのは違う人間だ」と明言を避けた。

 令和の典拠である万葉集に先行する漢籍「文選」に類似の文章があるとの指摘には「並ぶべくもない。冷静に見ると、万葉集が出典というのはいいと思う」と解説した≫=2019.4.12 産経com=。

 「レイ」音が美しいかどうかは個人の好み、当方は「リョウ」と発音した方が言いやすく響きもいいと感じるが…。「命令の令との指摘は当たらない」という説明はおかしい。漢和辞典を引いてみると「いいつける」「おつげ」「いましめ」などの義が上位で「よい」ただしい」「めでたい」などは下位である。ここは「指摘は当たらない」などと言うのではなく、別の説明が必要だろう。もともと「令」の字はひざまづいて神意を聴く人の形を現した象形文字だ。神のお告げには「よい」ものもあるし「不吉なもの」もある。中西さんは89歳とその道の大先達ななおだから、もう少し謙虚に世間の声に耳を傾けてほしかった。



 
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変な記事!

2019-04-12 08:54:59 | メディア
 4月10日付け読売新聞の1面にこんな記事が載った。左肩3段、見出しはこうだ「40代の地方転職支援 政府系人材会社 半年間の「試用」 大学で学び」 

 ≪政府による地方創生の一環として、大都市で働く40代前後の中堅社員の地方転職を後押しする新制度が今秋から始まる。転職希望の社員は半年間、地方大学の客員研究員として学びながら、地方企業の仕事に従事してもらうのが特徴だ。半年の「慣らし期間」を設けることで、地方転職への不安を和らげる狙いがある≫。

 結構長い記事であれこれ書いているが、制度としては極めてマイナーな印象だ。今年度は信州大など2県の大学と大学から比較的近いところにある複数の企業が参加する予定だという。募集は今秋からだそうだが、実際には何人が参加するんだろう。

 この件について、ほかの新聞やメディアではほとんど報じていない。読売の独壇場である。というか、事業主体である日本人材機構(政府主導会社)の意を受けたアドバルーン記事、もしくは宣伝記事であろう。実現可能性や実効性が疑わしいものでも、政権が打ち出す方針はとりあえずヨイショする―これが今の読売の編集方針のようだ。日本を代表する新聞がこれでは困ったのもだが、貸しビル業、興行師などとならんで新聞発行も事業の柱の一つ。体制に寄り添って損はないとの計算なのだろう。

 中面や社会面にはいい記事もある読売なだけに、1面を何とかしてほしいとの思いが募る今日この頃である。

 
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「令和」ねえ…

2019-04-01 16:15:24 | 話題
 天皇退位に伴う改元について、政府は「令和」に決まったと発表した。当方が推した「永安」は残念ながら不採用(w)だった。

 ≪ 菅義偉官房長官は1日午前11時40分ごろ、首相官邸で記者会見し、新しい元号は「令和(れいわ)」と発表した。典拠は奈良時代に完成した日本に現存する最古の歌集「万葉集」。日本で記された国書に由来する元号は確認できる限り初めてとなる。元号を改める政令は即日公布され、皇太子さまが新天皇に即位する5月1日に施行される。

天皇退位に伴う改元は憲政史上初めて。1989年1月に始まった「平成」は、残り1カ月で幕を閉じる。

 万葉集にある歌の序文「初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして、気淑(きよ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす」(書き下し文)から二文字をとった。

 新元号は645年の「大化」から数えて、248番目。「大化」から「平成」までは、確認されている限り中国の儒教の経典「四書五経」など漢籍を典拠としており、安倍政権の支持基盤である保守派の間には国書由来の元号を期待する声があった。安倍晋三首相は記者会見して典拠を万葉集とした理由について「我が国の豊かな国民文化と長い伝統を象徴する国書だ」と説明した

≫=朝日com=。

 テレビなどのメディアでは触れていないが、発表が当初の11時30分より10分も遅れたのは不思議だ。官房長官会見は4月1日午前11時半、政府は3月中にそう公表していた。なぜ遅れたのか。NHKの特番で解説をしていた岩田明子は11時半が近づくにつれ「間もなくですね」などと言っていたが、3分遅れ、5分遅れても何の言及もなし。安倍御用達の岩田も手続きの詳細は知らされていなかったらしい。新元号を天皇や皇太子に伝えるための車が官邸を出たのは、発表時間とされた11時半、どうしてこんなことになったのか。今日の手続きは政府が新元号を公表したというだけで、法的意味はない。政令公布となれば御名御璽が必要だが、それも不要。そんなこんなで政府に気の緩みがあったのか? 何とも締まらない話だ。

 さて、肝心の「令和」。万葉集から採ったのがミソらしいが、あらかじめ選定者の数人には「漢籍ではなく国書から」と要請していた可能性が高い。漢学者や漢字学者はアリバイ的に呼ばれていたのではないか。それにしてもreiwaとは発音しにくい言葉を選んだものだ。舌や口に力を込めないときちんと発音できない。ま、慣れればそれなりになるんだろうが…。

 令は命と同様、神意にかかわる文字である。神の国、美しい日本にふさわしい、のかな?

 
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