酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

中国とロシアの危ない年末

2008-12-27 17:27:55 | Weblog
 「100年に一度」の大不況はこれまで好調な経済発展を続けてきた中国やロシアにも容赦なく襲い掛かっている。先進各国に比べ社会基盤が脆弱なだけに、社会的弱者はもろに影響を受ける。対応を誤れば、大暴動に発展しかねない。



 《18日付の中国紙「21世紀経済報道」は、広東省など沿海部の出稼ぎ労働者「農民工」のうち約780万人が失業し、来年1月下旬の春節(旧正月)を待たずに帰郷したと報じた。農業省の調査で、中国全土に約1億3000万人いるとされる農民工のうち、約6%が帰郷したことが分かったという。

 沿海部の輸出企業などでは世界的な景気悪化を受けて倒産が相次ぎ、農民工の失業が社会問題化。農民工の多くは四川省や河南省、湖南省など内陸部出身者で、例年は春節に合わせて帰郷する》=共同=


 上海では10月ごろから失業者が目立っていた。子連れの女性ホームレスが残飯をあさる光景も何度となく見かけた。万博を控える上海でさえこうなのだ。内陸部の農村の疲弊度はどれほどだろう。

 もっとも、いつも貧しい地域は貧しくなりようがないとも言える。問題なのは進出した工場が逃げ出したり、沿海部に出稼ぎに出かけた連中が帰ってきて不満をつのらせる、などのケースだろう。一度いい目を見てしまうと、貧困には耐えられないものだ。


 春節以降、景気がさらに悪化し寒波が厳しいようなら大規模な暴動があちこちで起きるかもしれない。中国政府が最も力を入れているのは、ずばり「飢えさせないこと」である。四川地震の際は現金と米を直接渡して不満を押さえ込んだ。全国的にばら撒く事態も想定しているのではないか。


 ロシアもひどいらしい。原油価格が暴落しているのが大きいのだろう。ウラジオストクでは輸入車に高率関税を掛けたことに抗議しする大規模なデモも起きている。ロシア国民は17年前のソ連崩壊の悪夢を思い出しているのではないか。

 《【モスクワ大木俊治】世界的な経済危機の影響でロシアの産業界が深刻な不況に陥っている。首都モスクワの建設業界や地方都市の基幹産業では、操業縮小に伴って大量の従業員が解雇・休職に追い込まれ、社会不安の拡大を懸念する声も出始めた。下落を続ける通貨ルーブルへの不信感も募り、国民は不安な年末を迎えている。

 ロシア各紙の報道によると、特に深刻な影響を受けているのは、需要の落ち込みで生産縮小に追い込まれた鉄鋼業や自動車産業だ。ウラル地方のマグニトゴルスクでは、基幹産業の鉄鋼コンビナートがこの3カ月で約3800人の従業員を解雇し、治安の悪化が懸念されている。また南部ボルガ川沿岸地方の自動車企業「カマズ」と「アフトバズ」は1月まで大半の生産ラインの稼働を停止することを決め、給与の不払いが問題化した90年代の混乱を想起させる事態になっている。

 ロシア政府の統計では、全国の失業者は11月だけで37万6000人増え、失業率は6.5%になった。また国民1人あたりの所得は11月、前年比で6.2%低下した》毎日web=


 ソ連崩壊のときは、医師や研究者、教師などインテリ層の困窮ぶりが目立っていた。それまで安定した生活をしていただけになおさらだ。でも、この人たちは文句はブーブーいうが、行動的ではない。いまは全体的に生活水準が上がっており、金が滞ればたちまち破綻する。中国同様の爆弾を抱えているといっていいだろう。


 プーチンは「巨大なオルガリヒ」になることを目指しているのだと解説してくれたロシアの学者がいる。権力より金、というわけだ。金を手っ取り早く貯め込むには、政治を握ることが一番だ。なるほど。
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