酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

検察とNOVAと船場吉兆

2008-07-31 04:07:40 | Weblog
 外国人講師ら400人分の賃金1億円を払わず、労基法違反容疑で送検されていたNOVAの猿橋望元社長が不起訴処分となった。


 《地検の調べで、猿橋元社長は経営状態が悪化して資金繰りに行き詰まる中で、約20億円の私財を会社に投入したことが判明。「不払いになるまでは、それらを給与の支払いにもあてた」と供述した。このため、地検は「故意に支払わなかったとはいえない」として刑事責任を問うのは困難と判断した》=朝日。

 労基法24条が故意かどうかを問題にしているとは知らなかった。金策に走ろうが、個人の金を一部立て替えようが、被使用者に賃金を払わなければ賃金不払いになると思っていたのだが…。


 猿橋元社長は別に業務上横領容疑で立件されている。こちらの方が罰則が重いのでそれでOK、という判断なのだろうか。大阪地検は容疑者の事情を斟酌する、人情味ある役所なのですね。


 そういえば、あの腹話術女将の「船場吉兆」も略式起訴になるそうだ。


 あれだけ騒いだが、容疑は九州産牛を「但馬牛」などと偽った不正競争防止法違反だけ。

 《大阪地検は(湯木)元社長らが容疑を認め、廃業で社会的制裁も受けていることなどから、正式裁判を起こすほどの悪質さはないと判断したとみられる》=朝日。


 さすが大阪地検やなあ。田中森一元検事の顔が浮かんでくる。「何でもかんでも裁判して、厳罰を食らわせればいいというもんじゃない」と寛大な処分をして、つながりをつくる。これも信頼される検察の大事な仕事です。


 というわけで、社会的制裁というかマスメディアが、悪徳商法をたたきまくるのは「法の執行の一部」と認定されたようだ。これも困ったものだ。昨今のマスコミは、事の大小を判断できない。


 居酒屋タクシーも防衛利権の秋山某も同じレベルで扱っている。小悪と巨悪を峻別することこそ責務のはずだが…。


 確かに船場吉兆などは巨悪とはいえない。でもNOVAはどうだろう。駅前の一等地に教室を構えるのに、政治力や恐い人を使わなかったか。政治家とのつながりはどうか。中悪ランクが相当だろう。


 山口県内の食品偽装では、安倍晋三との関係が取りざたされる業者が問題になっている。こうしたところから食いついて暗部をえぐるのが検察の真骨頂だ。温情ばかりでなく、厳しい顔も見たいものだ。


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星野JAPAN危うし

2008-07-30 05:21:17 | Weblog
 北京五輪開幕まであと9日、日本選手団の結団式も終わり選手たちは北京や最終合宿地に旅立ち始めた。


 開幕して競技が行われ、最後、聖火が消えるまで何が起きるか分からない。無事に開会式までこぎつけるかどうかもいささかの不安がある。世界各地で頻発している爆弾テロが、「反北京五輪」の連帯行動のような気がして仕方がない。


 一騒動や二騒動は必至の北京五輪だ。中国政府の対応もさまざまな批判を浴びることになるだろう。それはそのときの話として…。金メダルの期待が高まる(を高める?)野球に新たな問題が浮上した。延長11回以降のタイブレーク制導入である。


 どのチームも同じ条件で戦うわけだから影響がなさそうに思うが、星野仙一監督はだいぶ頭に来ているようだ。上原の仕上がり具合や、田中の肩の調子など投手陣に不安を抱えているからだろう。無死一二塁をきちっと押さえられるのは誰か。仙さんの悩みの中心はそんなところだろう。


 9回で勝負をつければいいだけで、あまり気にしない方がいい。ブログ子が気になるのは、なぜ星野がカリカリしているかだ。



 10日、オランダで国際野球大会を視察していた時、柵にぶつかって右胸を強打し肋骨を骨折したという報道があった。全治3週間と診断された。どの新聞にも書いてないが、なぜ星野はよろけて、あばら骨を3本も折るような激突をしなければならなかったのか。


 心臓の持病が気に懸かる。「北京で金を取れたら死んでもいい」と常々語っている男である。指揮官の体に異常があるとしたら大問題だ。作戦にも微妙に影響することは避けられまい。田淵、山本両コーチに大きな期待はできない。星野不調が小生の杞憂ならいいのだが。


 戦力的にも厳しいものがある。川上より岩隈、上原より久保田ではなかったか。成瀬や涌井の調子もいまいちだ。これから一週間でどこまで仕上がるか。打線では中軸を期待されている新井がどこまで回復するかがポインドだ。


 韓国のイソンヨプがぎりぎりで巨人の3番に復帰、いきなり本塁打を放った。この男を調子付かせるとまずい。アマ野球選手権の結果を見た限りでは、アメリカのレベルはかなり高い。2、3Aはパワーだけなら日本を上回る。キューバも調子を上げているという。


 金、金といっていると金縛りにあってしまう。これが怖い。悲愴感は捨てて、思い切りのいいパフォーマンスを発揮してほしい。
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米メディアのオバマびいき

2008-07-29 05:03:24 | Weblog
 日本の政局は、経済の危機的状況にもかかわらず惰眠をむさぼっているようだ。閣僚の首のすげ替えぐらいで何とかなると考えているとしたら、福田首相の危機感の乏しさは救い難い。

 
 というわけで?、アメリカ大統領選である。メディアは相変わらずオバマ一色に見える。この国のメディアは政治的中立など必ずしも求められていない。そこが面白くもあり、不安な点でもある。


 日本の新聞はこの状況を、半ばおずおずと伝える。読売などはできるだけ両者の記事を載せるように気を配っているようにも見える(扱いはだいぶ違うが…)。


 米メディアが総じてオバマびいきであるとは、日本メディアの一致した見解だ。「共同」は次のように報じる。

  
 《米大統領選の行方を追う主要メディアが、共和党指名候補となるマケイン上院議員よりも民主党のオバマ上院議員に大きな関心を寄せ、共和党側から「偏向している」との不満が高まっている。一方で注目の高さはオバマ氏にとって、もろ刃の剣でもある。

 主要テレビ番組の内容を調査しているアンドルー・ティンダル氏によると、両党指名候補の確定後1カ月間に、3大ネットワークのニュースがオバマ氏に計114分を割いたのに対し、マケイン氏は半分以下の計48分にすぎなかった。

 オバマ氏の欧州・中東歴訪には、主要テレビのメーンキャスターがそろって同行し、新聞各社もこぞってベテラン記者を派遣。一方、3月にマケイン氏が欧州・中東を訪問した際の同行記者はわずかで、メディアの“オバマびいき”が如実に表れている(共同)》


 しかし、こうした厚遇がポイントに結びついているかというと、そうでもなさそうだ。というか、そうではないと書くことでバランスを取る。ここが我がジャーナリズムの真骨頂だ。米メディアもそれで逃げているのかもしれない。以下は「毎日」である。


 《実際にはその効果はまだ表れていない。24日の米紙ウォールストリート・ジャーナル調査では、支持率はオバマ氏が47%でマケイン氏(41%)をリードしているが、「最高司令官の適格者」はマケイン氏53%に対しオバマ氏25%、「リスクを伴う候補」はマケイン氏35%に対しオバマ氏は55%で、オバマ氏は弱点を克服できていない。各種世論調査では支持率もオバマ氏のリードは5ポイント前後と小差でマケイン氏が急追している=毎日 28日 東京朝刊》


 メディアの後押しは世論調査に反映していない。だから問題ない、と読める。しかし、NYタイムスがマケインの論文掲載を拒否したのは明らかに行きすぎだ。拒否の理由は必ずしも明確ではないが「不完全な論文だから駄目だ」と言っているようだ。これはおかしい。マケイン自身が執筆したかどうかは別にして、マケインの署名記事の出来が悪くて何が悪いのか。書かれた内容も当然国民の判断材料になる。この機会を奪ったのではないか。


 《【ワシントン及川正也】米大統領選で共和党の候補指名が確定しているマケイン上院議員の陣営は21日、イラク問題に関する論文掲載を米紙ニューヨーク・タイムズに要請したが、拒否されたと明らかにした。同紙が掲載したオバマ上院議員のイラク論文への反論。大統領選を巡っては米メディアの注目度が高いオバマ氏に比べ、マケイン氏の扱いが冷淡だとの指摘があり、報道の公平性を巡る論争に拍車がかかる可能性もある。

 同紙は14日付のオピニオン面に、大統領就任後、16カ月以内の米軍撤退などを公約するオバマ氏の寄稿を掲載。これに対しマケイン氏が反論の論文掲載を要求した。

 米メディアによると「米軍撤退は極めて危険だ」と、オバマ氏の主張を批判する内容。同紙は18日、「提出された原稿のままでは受け付けられない」と掲載を拒否し、逆に米軍の撤退期限や勝利の定義などを明確にした新たな原稿を求める電子メールを、マケイン陣営に送付したという=毎日 23日 東京夕刊》


 「マケインの主張が明確でない」と突っ返したというのだが、事前検閲ではないか。事実をゆがめて相手候補の中傷や誹謗を繰り返す記事なら掲載拒否は許されよう。だが、内容不十分というのでは、日本の感覚では納得できない。タイムスの指摘を受け入れて書き直せば、「より立派な」原稿に仕上がり、マケインの評価が上がることになりかねない。


 アメリカのメディアも変調をきたしている。救いがあるとすれば、テレビ、新聞とも一線記者にベテランが多いことだ。子どもたちが騒いでいる日本とは大いに異なる。それだけ海千山千の記者が多いということでもあるのだが…。
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父親刺殺は寝ボケが原因?

2008-07-27 05:43:25 | Weblog
 20日に起きた川口市の中3女子による父親刺殺事件の捜査が迷走している。発生から1週間たつのに、動機らしい動機がつかめていない。

 父親と仲が悪かったとの報道もあったが、決定的なものではない。当夜も別段変わった点はなかったとされる。

 期末試験の成績が悪く、追試を受けることを親に内緒にしていた。追試は無断欠席した。学校からの問い合わせには、少女が弟のふりをして対応した疑いがある。追試を受ける羽目になり、かつこれを無断欠席した。これが親にばれたらどうしよう。焦る気持ちは分かる。でも、それが殺人の動機になるのか。

 気になる記事を共同?が伝えている。

 《専門家の中には寝ぼけ症状の一種「覚せい障害」と指摘する声もある。
 「お父さんが家族を殺す夢を見たので包丁で刺した。その後のことは覚えていない。

 
 長女のこの供述に注目するのは睡眠障害に詳しい熊本大発生医学研究センターの粂和彦准教授。「怖い夢を現実と勘違いし、混乱したまま刺してしまった。確定的な殺意などないのでは」との見解だ。


 埼玉県警少年課捜査幹部は「長女の夢に関する供述には嘘があるかもしれない」と懐疑的だ。》


 なかなか面白い分析だと思う。しかし、こうした指摘があることを伝えているメディアはほかに見当たらない。


 夢に関する報道は事件後まもなく登場している。


 毎日新聞は21日付けで次のように報じた。


 《母親は「(寝るまでは)長女に特に変わった様子はなかった」と証言。長女も「母親が寝た後も、父親とは特にトラブルはなかった」と供述している。一方で長女は事件直後、駆け付けた武南署員に「お父さんが家族を殺す夢を見た」などと、混乱した様子で話したという。》


 事件直後の混乱した頭で、とっさに出てきた一言が「お父さんが家族を殺す夢を見た」である。メディアがこれに注目しないのは不自然だ。


 寝ぼけていて=覚せい障害で=父親を刺したとなると、責任能力はないことになる。当然、殺人罪や傷害致死罪は問えない。この事件に絡んでは怪奇アニメなどの影響も伝えられている。このあたりが焦点になると、立件や公判の維持が難しくなる。今後、同種の事件が起きたときの捜査にも影響を及ぼす。


 こうした警察サイドの事情に配慮して、「夢問題」が棚上げにされているような気がする。ネットでこの事件を検索しても、25日配信の件の記事が引っかからない。共同?が引っ込めてしまった可能性もある。


 続発する「動機不可解」な事件で、寝ぼけ症状はなかったのかどうか。統合失調症などとも絡み、大きな問題になるかもしれない。
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福田がチャべスと握手する!?

2008-07-25 22:00:50 | Weblog
 
 共同通信が20日、気になるニュースを伝えている。政府が、反米急先鋒のベネズエラと組んで原油開発を行うというのだ。


《政府は二十日、従来の原油と異なるタール状原油の開発で、有力産油国のベネズエラと連携する方針を固めた。独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と国営ベネズエラ石油が、オリノコ川流域の油田探査協力の覚書を八月にも締結する方向で調整している。
 
 日本政府が注目するのは、「非在来型」と呼ばれる原油。通常の原油は地下に液状でたまっているが、砂や岩に染み込んでいたり、タール状で存在したりする。開発コストは一バレル当たり四十-六十ドル程度と通常の原油に比べ数倍かかるが、最近の原油価格高騰で採算が合うようになり、事業化が徐々に進んでいる。

 ベネズエラを東西に横切るオリノコ川流域には、粘性の高い超重質油の「オリノコタール」が約二千四百億バレル眠っているとされる。通常の原油で世界最大のサウジアラビアに匹敵する埋蔵量だ。
 経済産業省幹部らが八月にもベネズエラを訪問し、最終交渉する。JOGMECは探査協力から始め、技術支援などを通じて、将来の油田権益獲得につなげる》


 大手紙はこの件について何も報じていない。共同加盟社ではないため配信はない。経産省のディープスロートは、共同にだけ耳打ちしたのだろうか。共同加盟社の日経と産経も無視しているのはなぜなのか。


 この記事自体がかなり怪しい。福田政権がチャベスと本気で手を組むとは思えない。アメリカの怒りが怖いからだ。

 反米チャベス政権が、オリノコ川流域の超重質油開発事業を国有化したのは2007年5月のことだ。米エクソンや英BPなどメジャー7社が手掛けていたのを強引に取り上げたのである。


「アメリカ帝国主義との戦い」をスローガンに掲げるチャベス政権と「ブッシュ大統領の忠犬」日本が共同事業を行う。画期的といえば画期的である。原油の中東依存度が90%以上にもなるわが国が、調達先を広げることは資源安保にもつながる。


 日本が独自に資源確保に動くのを最も警戒しているのがアメリカである。かつて、田中角栄がイギリスやフランスとの間で原油や核燃料の調達話を進めようとして、「アメリカの虎の尾を踏んだ」と評されたことがある。ロッキード事件での失脚は、そのためだとさえ言われる。その日本が、よりによってチャベスと提携!。アメリカが許すはずがない。


 世界有数の埋蔵量との触れ込みで始まったイラン・アザデガン油田開発事業は一体どうなったのか。アメリカの対イラン政策に阻まれ、日本の権益はほぼゼロになってしまったではないか。ベネズエラはアメリカの鼻先である。先行きは見えていると考えるのが常識だろう。


 ベネズエラの超重質油の埋蔵量は約2400億バレル、確認済みの通常原油埋蔵量790億バレルと合わせれば、サウジを抜いて世界最大の原油埋蔵量を持つことになる。


 福田政権が本気でオリノコ川開発をやる気ならたいした度胸だ。勢いに乗じてロシアやカナダとの資源開発ももっと加速してもらいたい。イランやイラクでの油田開発事業も再開したらいい。でも、そんなことがあり得るのか。


 この話を共同にリークした経産省の官僚はどういう立場なのか。計画を潰しにかかったのか、観測気球か、独自の資源外交をあおる気か。いずれにしてもきな臭い。


 続報を期待したい。
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「いきなり殺人」の謎

2008-07-24 05:03:06 | Weblog
 22日、八王子の書店で33歳の男性が刃物をで人を刺した。アルバイトの女子学生が亡くなり、客一人が怪我をした。
 

 19日には、川口市の住宅で、寝ていた父親が15歳の長女に胸などを刺され死亡した。

 八王子の事件は怪我で会社を休んでいた男が、「むしゃくしゃする。誰でもいいから人を殺そうと思った」のが犯行の動機とされる。33歳にもなって、むしゃくしゃしたぐらいで、無差別に人を殺すことを思い立つ。この思考回路がどうしても理解できない。

 「識者」は次のように言う。

 《自分一人で生きていける力をつけさせるという教育のあり方が、失われたことに起因する=大谷昭宏(元読売大阪社会部記者) 

 容疑者が社会からの疎外感を募らせた末、その打開を狙い犯罪に走るという構図だ。欧米では個人と社会のつながりを意識させる「市民性教育」が始まっており、日本でも同様のシステムを教育に取り込む必要がある=小宮信夫・立正大教授》
               =いずれも毎日新聞 2008年7月23日 東京夕刊


 当たらずといえども遠からず、と言えばほめすぎか。二人の識者が指摘する点はその通りなのだろう。でも、何も言っていないに等しい。自分ひとりで生きていける教育や個人と社会のつながりを意識させる「市民教育」を取り戻すには何をしなければならないのか。このポイントが欠けている。


 一人で生きていける教育の結果が、他者への無関心を助長した側面はないのだろうか。派遣などの非正規労働が横行し、会社と個人のつながりが断ち切られた。社会構造全体にメスを入れる必要がありそうだ。


 川口の事件はもっとわけが分からない。少女は、人気ゲームもとにした「ひぐらしのなく頃に」のコミック版を読んでいて、突然父親を刺した、と述べているらしい。この漫画には少女が突然豹変し、凶器で人を襲う殺人の場面があるという。


 3月にJR岡山駅で起きた突き落とし事件の容疑者の少年もこの漫画を持っていたとされる。少女が父親を斧で襲う事件は昨年にも起きている。


 「ゲーム脳」の問題を指摘する意見が増えている。映像が脳にどのような刺激与え、行動に作用しているのか。このあたりの解明が不可欠だろう。心理学・社会学的アプローチと同様、脳科学の問題としても掘り下げなくてはならない。


 昭和50年代から急激に切り替わった食の環境が、脳に器質的な変化をもたらしていないか、などの点も気になる。ひょっとすると、人間自体が変わりつつあるのかもしれない。一切の予断を拝して、総合的な研究が深まることを期待したい。
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「優秀な弁護士を多く」となぜ言えぬ

2008-07-23 04:47:27 | Weblog
 日弁連がまたまた、変なことを言い出した。 

 《司法試験合格者を2010年までに年間3千人に増やす政府計画をめぐり、日本弁護士連合会(宮崎誠会長)が「数値目標にとらわれることなく慎重に審議し、当面の増員のペースダウンを求める」として、計画を推進する立場から方向転換する方針を固めた。近く法務省に提言する。


 日弁連は来週にも理事会を開き、提言を正式に決める予定。法務省はこの提言などをふまえて、近く省としての方向性をまとめる見通しで、司法制度改革の根本が大きく変わる可能性もある。改革に携わってきた弁護士や法曹関係者には増員計画の見直しに対し批判的な意見も多く、今後、議論を呼びそうだ》=朝日・電子版


 弁護士の質の確保が難しく、事務所で後進を育てる余裕もない。のだそうだ。法務省が次々と打ち出す「司法改革」に安易に乗っかっているからこうなる。公判前整理をはじめとする裁判拙速化にきちんと対応できない弁護士会とは何なのか。


 いま弁護士が忙しがっているのは、やたら公判間隔が短くなっているせいではないか。連日開廷でまともな弁護ができるほど優秀な人がいるとは思えない。とにかく裁判期間を短縮したい裁判長に唯々諾々と従っていて被告の防御ができるのか。


 裁判自体が高度に専門化している。医療事件などはその最たるものだ。科学技術系の民事事件にも対処し切れていない。


 弁護士を大増員して、専門化を図るべきだ。民事で金を稼ぎ、仕方なく刑事もこなす。こんな弁護士が増えていないだろうか。


 弁護士は宣伝活動が規制されている。こんなものは取っ払って、自分の売りをアピールできるようにすべきだろう。弁護士社会にも一定の競争原理を働かせる必要がある。手練手管を駆使した、口八丁手八丁の弁護士ばかりになる、などと心配することはない。弁護士は相談業務が重要だ。依頼人の訴えに真摯に耳を傾ける弁護士が支持されないわけがない。

 裁判員制度が始まれば、弁護士の重要度は格段に増す。「被告の第一印象を悪くしないように、服装にも配慮」などと真剣に論議しているのが裁判員制度だ。どんな裁判になるかおおよその見当は付く。


 しかも、3日裁判でこなしてしまおうというのだ。これに抗するには弁護士が本気でかかるしかない。年3000人の増員ぐらいでは追いつかないだろう。質の問題を心配するなら、法科大学院に乗り込んでいって鍛えればいい。司法試験に受かった後のケアにも意を尽くさねばならない。


 増員見直しが、既得権を維持しようという発想なら論外だ。日本の司法危機に立ち向かうにはどうするか。この観点で考えれば、弁護士はいくらいても多すぎることはない。


 いまの日本で日本で、法の正義は実行されているのか。正義の体現者は警察や検察に限らない。個人が正義を貫くことをサポートするのが弁護士だ。その重さをとくと考えてほしい。 
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高校野球報道はメディアの夏休み対策か?

2008-07-22 03:55:17 | Weblog
全国高校野球選手権大会=甲子園=出場を懸けた地方大会がたけなわである。かつては高校野球の報道は主催新聞(夏は朝日、春は毎日)と他社では紙面の割き方が違っていた。ところが、巨人人気の長期低落傾向に危機感を抱いた読売が、高校野球を大々的に報じるようになってから事態は一変した。


朝日も毎日も読売も、地方大会の段階からスポーツ面で大きく取り上げている。地方紙はもともと地方大会が「主戦場」である。これにNHKや民放まで絡む。かくしてこの国の夏は高校野球一色となり、新聞にはスポーツ面が5面も6面もできる。かてて加えて、今年は北京五輪がある。一体どんな騒ぎになるのやら…。


なぜ、日本のメディアはこれほど甲子園、高校野球に入れ込むのか。「国民の高い支持がある」「純真な球児たちのドラマは、殺伐とした社会のオアシスだ」。公式見解風にいえばこんなところか。だが、高校野球の胡散臭さなどメディアは百も承知である。高野連とべったりなのは特定の新聞社の特定個人だけだろう。旧態依然足るこの組織の変革を訴える報道など、不祥事が発覚したときぐらいで、その追及も極めて甘い。


 甲子園報道に集中するのは、大新聞とNHKの労務対策=夏休み対策ではないか。


 メディアにも夏休みは当然あるだろう。7、8月に消化するのが理想的だ。だが、人員配置はぎりぎりで、何か仕掛けをしないとうまく休暇が回らない。そこで考え付いたのが高校野球をしゃぶり尽くすことだ。


 支局や通信部の若い記者を地方大会ににぶち込む。あれこれ書かせれば、県版の三分の二ぐらいは埋まる。甲子園が始まったら始まったで「郷土の代表」を大きく取り上げればいい。NHKは甲子園に全国の若手アナをかき集める。技術者やカメラもしかりだ。あとは終日ゲームを垂れ流せばいい。これによって、昼の番組を作っていた連中などは長い長い夏休みを堪能できることになる。


 野球に何の興味もなく、ルールさえ知らない新人たちが伝える高校野球とは何か。よく考えほしいものだ。


 メディアの中にもこの異様な現象に疑問を感じている人はいるに違いない。しかし、それが表に出ることはまずない。エコだの地球環境だのと言うのなら、高校野球中継をやめたらどうか。「甲子園の○×戦の熱狂で、電力使用量が史上最高を記録しました」。こんなニュースは聞きたくない。新聞社も紙代が高騰する折、スポーツ面を増やして喜んでいる場合か。


 世界経済は破綻の瀬戸際にある。でも日米の指導者は相変わらずの能天気を決め込んでいる。子どもの棒ふりごっこにかまけて、危機の本質から眼をそらさせるような報道を続けてはならない。
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職員採用の透明化はあり得るか

2008-07-20 05:05:27 | Weblog
 大分県の教員採用汚職事件に端を発した、公務員の採用や人事をめぐる不透明さが世間の怒りを買っている。金で子どもを押し込んだり、自分のポストを買ったりするのは論外だ。

 大分ほどひどくなくても、付け届けや事前の「あいさつ」は半ば常識化している。某県では臨時の教員になるに際しても、しかるべき人3~4人に手土産つきであいさつするよう「指導」されていると聞く。

 県議や国会議員秘書に合否の事前連絡をするのは業務だった。20数県で同じようなことをしていたのだから、そう考えざるを得ない。合否連絡を依頼した議員連中が、受験者の親などから金品を受け取っていた疑いがある。

 「せがれさん、受かったそうですよ。私も頑張った甲斐があります」「本当にありがとうございました。これはほんの些少ですが…」。こんな会話が交わされていないだろうか。

 議員については、誰が何人の事前連絡を受けていたかについて、過去5年ぐらいさかのぼって公表すべきだ。県や教委がやらないなら、メディアが独自で調べるしかない。徹底的に暴き出してもらいたい。

 一連の不祥事を受けて、採用試験の透明化策が論議されている。採点をインナーから外の機関に移す、答案用紙の持ち帰り、模範解答の提示、受験者への得点開示~などである。

 一歩前進だが、これは一次試験についてだけのことだ。数次の面接や論文などの審査はどうなるのか。実際に採否が決まるのは最終面接だろう。ここをどう透明化するのか。面接の採点基準を数値化するのは難しい。時々によって求めるものが変わることもあり得る。

 公務員とは若干違うが、入社試験の面接に何度か立ち会った経験がある。一次試験の点数は知らされていない。5、6人の面接担当者が採点するのだが、相互の採点は分からない(終わった後で○○はいいね、などと話し合うからバレバレだが)。
最後の役員面接を経て最終合格者が決まるわけだが、人事に聞くと一次試験の得点とはかなり違っている。

 教員や公務員も得点順に採用するというわけにはいかないだろう。一次の得点を開示し、模範解答も示すとなると、最後の方の面接で振り落とされた高得点者が「なんで私が落ちるのか」と疑問を持つことは必至だ。

 面接官に民間人を入れている県もある。教員、技官、事務官、警察官、それぞれに要求される資質は違う。民間とも違うだろう。面接基準は、試験を実施する主体の論理にも左右される。大分と埼玉では、教員に求める資質が異なる、などということもあるだろう。だが、面接を改革・透明化しないことには、不信は払拭されない。厄介なものを抱え込んだものだ。
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騒ぎ過ぎだぞ 14歳のバスジャック

2008-07-19 18:08:34 | Weblog
 15日に愛知県内で発生した14歳の少年によるバスジャック事件の続報がいまだに続いている。

 《バスジャック:幸運と機転でスピード決着

 「おれにも14歳の子どもがいる」。愛知県の東名高速道路で起きた高速バス乗っ取り事件で、県警の捜査員はそう言って山口県宇部市の中学2年の少年(14)を説得した。通報から少年の身柄確保まで約1時間。少年は県警の調べに「最初から乗客を傷つけるつもりはなかった」と供述しているというが、長引けばどんな事態に展開したか分からない難事件は、幾つかの幸運と乗客や捜査員の機転でスピード決着した》=19日 毎日夕刊


 《少年は調べに対し「金銭トラブルで両親にしかられた。母親が西鉄バスジャック事件のことを話していたのを思い出し、嫌がらせしようと思った」と供述しているという。犯行のヒントにしたという西鉄バスジャック事件は、少年が小学校入学前年の00年に発生。佐賀県佐賀市の当時17歳の少年が高速バスを乗っ取り、乗客5人が死傷した事件で、その少年は「(親に)見放された」などと供述していた。少年もJR東海バスの中で「親から見捨てられた」と話していた》=19日 日刊スポーツ

 NHKも「東京に行くつもりで新幹線に乗ったが、名古屋止まりの最終便だったので名古屋で降りた」などと19日朝のニュースで報じていた。

 これほど大きく報道するニュースなのだろうか。14歳の「子ども」が刃物を突きつけて路線バスを乗っ取る。外形的にはショッキングな事件だ。ただそれだけではないか。

 この少年は、運転士や乗客に危害を加えるつもりはなかったと思われる。百均で買った果物ナイフでは威力も知れている。彼は自分でも言っているように「大きな騒ぎを起こして、親を困らせたい」、この一心で犯行に及んだのだろう。

 毎日新聞は「長引けばどんな展開になるか分からない難事件が、乗客や捜査員の機転などでスピード解決した」と書いている。長引いた場合、どんな展開が予測されるのか。私には全く理解できない。もともと、「やる気がない」犯行ではないか。バスジャックに成功し、機動隊に取り囲まれ、テレビ中継車が来た時点で行動計画は完了していたのである。


 彼は母親から聞いた8年前の西鉄バス・バスジャック事件をまねたという。西鉄事件の17歳の少年は、精神病院に入れた親を深くうらんでいた。凶器には刃渡り40センチもの牛刀を用意していた。今回の少年とは、本気度が違う。

 あえて言えば、この程度の事件をメディアが大々的に取り上げることが模倣犯予備軍を育てているような気がする。確かに、「親を困らせたい」から、いきなりバスジャックに及ぶ思考回路については、「なぜ」の疑問が沸く。でも、昔から親に怒られた腹いせに、よその家に火をつけたりする子どもはいた。それと同様の事件だという気がする。

 この少年は、煙草を吸ったり、10万円の借金を友達に申し込んだりしているように、年よりもだいぶませているようだ。昔で言う「問題児である」。学校が「ノーマークだった」などというのは、生徒の行動を把握していない証明でしかない。

 ちょっと困った生徒が起こした、道具立てだけ大きい事件。こう見るのが正解だろう。だが、次に起きる事件もこのように推移するかといえば、そんなことはあるまい。事件を「学んだ」子どもたちは、より刺激的で過激に模倣する恐れがある。折から夏休み。暑苦しい夏はご免こうむりたい。

 
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