酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

海賊征伐は誰の仕事か

2008-12-25 21:02:50 | Weblog
 ソマリア沖の海域で暴れまわっている海賊の被害を食い止めるため、海上自衛隊を派遣する方向で話が進んでいるらしい。


 《河村官房長官は25日午前の記者会見で、アフリカ・ソマリア沖での海賊対策に関して、「現行法であれば(自衛隊法の)海上警備行動(の発令)だ」と述べ、海上警備行動による海上自衛隊の派遣の可否を検討していることを明らかにした。


 ただ、現行法に基づく艦船派遣には、防衛省や公明党を中心に慎重論も強く、最終的な判断は麻生首相に委ねられる》=読売web=


 11月半ばに既に派遣の方向性は打ち出されている。


 《自民、民主、公明各党などによる超党派の議員連盟「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」は20日午前の役員会で、アフリカ・ソマリア沖に海上自衛隊の艦艇を派遣し、海賊対策に当たらせるための特別措置法案を議員立法で策定する方針を決めた。来年の次期通常国会への提出を目指す。
 
 特措法案では、武器使用につながる海賊の取り締まりよりも、海賊による被害を未然に防ぐための対策に重点を置く方針。具体的には、護衛艦による日本関係船舶の護衛や、P3C哨戒機による海賊船の監視などを想定している。(2008/11/20-13:11)》=共同=


 自衛隊法に海上警備行動を発令するという発想より、新しい特別措置法をつくることに主眼が置かれていたようだ。特措法なら、海自の活動に1ページを加えることになる。こうして一皮ずつ剥けていくことが目的なのだろう。だが、今の国会情勢では、新法は簡単に通りそうもない。そこで、海上警備行動が急浮上しているというわけだ。



 《自衛隊法82条に基づく海警行動は、海上保安庁で対応不能な事態が発生した場合、自衛隊が海保に代わってわが国の人命・財産の保護や治安維持に必要な行動を取ることを認めている。政府は同法に基づき、ソマリア沖で日本籍船のほか、(1)日本企業が運航を管理している外国籍船(2)日本人が乗船している船舶-を海自艦艇で護送することが可能と判断。ただ、対象が2300隻以上にのぼるため、当面は日本籍船に限って護送を行う方針だ》=産経web・24日=


 海上保安庁で対応不能とはどういう状況か。

 海保と国交省は2004年から「海賊等対策会議」を設置して、情報収集や商社などとの連絡に当たっている。海自より海賊情報が少ないとは考えにくい。


 艦船の能力はどうか。世界最大の巡視船である「しきしま」をはじめ、護衛艦並みの5000㌧クラスのPLH(ヘリ搭載艦)なら海自艦と遜色はない。乗組員の練度は勝るとも劣るまい。北朝鮮工作船の撃沈など、実戦経験もある。大砲と魚雷はないが、35mm連装機関砲2門と20mm機関砲2門があれば、海賊相手なら十分だろう。


 鯨と潜水艦の見分けがつかない海自よりよっぽど頼りになりそうだ。


 でも、なぜ海保派遣という声が出ないのだろう。プルトニウム輸送などでは使っているのに…。海賊対策が政治的に語られすぎているからだ。ここは純粋に効率本位でいきたい。海軍を大遠征させて、練度を上げたい中国とは違う。大人国家日本の存在感を発揮するチャンスなのだ。
コメント
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