酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「有識者懇談会」って何するの?

2019-03-06 16:47:54 | 話題
 天皇の代替わりに伴い元号も改められるが、その新元号案について意見を述べる「有識者懇談会」のメンバーが固まったらしい。ips細胞の山中教授、作家の林真理子、NHKのキャスターを務めたこともある宮崎緑千葉商大教授ら9人が選ばれ、既に本人には打診済みという。前回は8人で女性は一人だけ。今回は女性を二人にした関係で一人増員となる模様だ。それにしても、なぜこのメンバーなのかはさっぱりわからない。


 ≪政府は新元号の原案に対する意見を聞く有識者懇談会のメンバーとして、ノーベル医学生理学賞受賞者の山中伸弥京都大教授(56)を起用する方向で検討に入った。前回一人だった女性からは直木賞作家の林真理子さん(64)、宮崎緑千葉商科大教授(61)の二人を選ぶ見通しだ。各界から幅広く人選し、法曹界から寺田逸郎前最高裁長官(71)、経済界から榊原定征前経団連会長(75)が入るとみられる。関係者が四日、明らかにした。

 政府は既に候補者本人へ起用を打診し、新元号選定の流れや懇談会の役割について説明しているもようだ。本人の意向などを慎重に確認した上で、今月中に元号選定手続きに関する検討会議を開き、正式決定する。

 教育界からは鎌田薫前早稲田大総長(71)、マスコミ界から日本新聞協会会長の白石興二郎読売新聞グループ本社会長(72)、上田良一NHK会長(69)、民放連会長の大久保好男日本テレビ社長(68)の三人が参加する見込みだ。

 有識者懇談会は、政府の元号選定手続きに規定された選考過程の一つで、「平成」に改元した一九八九年一月にも開かれた。当時のメンバー八人の内訳は、マスコミ界三人、教育界二人、学識経験者(文化勲章受章者)二人、女性評論家一人で構成されていた≫=中日web=。

 そもそも「有識者懇」って何をする組織なのか。3月4日付けの「NHK政治マガジン」に前回有識者懇メンバーだった西原春夫元早大総長の「改元30年へて新証言」なる記事が載っている。あれこれ語っているが、秘密厳守ということでメモなどは残していないという。メンバーが誰かも天皇が亡くなって懇談会が招集され、顔を合わせるまで知らなかったそうだ。それに引き替え、今回はかなりオープンな印象だ。「メンバー固まる」を各メディアが伝えていることから推して、「関係者」によるリークとみて間違いあるまい。人気取りが得意の安倍政権のこと、「意外とくだけたメンバーで面白そうじゃん」-みたいな反応を期待しているのではないか。

 先の西原は懇談会の役割について≪(記者)懇談会は、元号を選ぶ、という会議だったのか。(西原)そうです。決定して下さいという会議。事務局からそういうことで、この中で、1つを決めてほしいと、こういう感じだった。ですから、懇談会でまさに決める。その後どういう手続きなのかは、おそらく説明があったかもしれませんけども。とにかくこの懇談会で1つにして、1つを決定してほしいという要請がありました≫=NHK政治マガジン=。

 西原は決定機関と受け取っているようだが、多分違う。わずか2項の元号法には「1 元号は、政令で定める。 2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。」とあるだけ。実際の元号選びの手順は次のようになる。以下2月8日持ち回り閣議による。

 「元号法(昭和54年法律第43号)に定める元号の選定については、次の要領によるものとする。
 
1 候補名の考案
 (1) 内閣総理大臣は、高い識見を有する者を選び、これらの者に次の元号
 とするのにふさわしい候補名(以下「候補名」という。)の考案を委嘱する。
 
 (2) 候補名の考案を委嘱される者(以下「考案者」という。)の数は、若干 名とする。

 (3) 内閣総理大臣は、各考案者に対し、おおよそ2ないし5の候補名の提出を求めるものとする。

 (4) 考案者は、候補名の提出に当たり、各候補名の意味、典拠等の説明を付するものとする。

 2 候補名の整理
 (1) 内閣官房長官は、考案者から提出された候補名について、検討し、及び整理し、その結果を内閣総理大臣に報告する。

 (2)略

 ここまでは歴史学者や国漢学者らの仕事で、誰がメンバーかは明らかにされていない。西原の証言によると懇談会に提出された三案のうち「平成」が最初に記されていて、メンバーらは「これが第一候補なんだな」と受け止めたという。有識者とはいえ、古典籍などについては素人同然、響きや字面についての発言が多かったという。もっともなことだ。

 考案者グループ?からの案の提出を受けて有識者懇の出番となる。

 3 原案の選定等
 (1) 内閣総理大臣の指示により、内閣官房長官は、内閣法制局長官の意見を聴いて、新元号の原案として数個の案を選定する。

 (2) 内閣官房長官は、各界の有識者の参集を得て、元号に関する懇談会(以下、「懇談会」という。)を開催し、新元号の原案につき意見を求め、その結果を内閣総理大臣に報告するものとする。懇談会のメンバーは若干名とし、内閣官房長官が選考する。

 (3) 内閣総理大臣は、新元号の原案について衆議院及び参議院の議長及び副議長である者に連絡し、意見を伺う。

 (4) 全閣僚会議において、新元号の原案について協議する。

 4 新元号の決定
 閣議において、改元の政令を決定する

 要するに有識者懇は順位を付けて(黙示的と思われる)出された案について意見を述べるだけ。なんとなくその場の雰囲気でまとまるということのようだ。それにしても、である。今回のメンバーはあまりにも???だ。山中先生はどういう知見に基づいて意見を述べるのか。権威が大好きな林真理子は「もっと華やかでセンスがいいのはないの?」などとおっしゃるのだろうか。榊原は…。せっかく立派な方々を選んだのだから、後日、議論の様子を公開してはいかがか。

 当ブログは昨年9月、次の元号について「安永」を推したが、これは過去使われたことがあるので、安と永をひっくり返して「永安」。ええ案だなあ(w)

コメント (1)
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