酔眼独語 

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リニア新幹線は必要か

2008-12-28 05:28:40 | Weblog
 JR東海が進めている「リニア新幹線」計画が徐々に動き始めた。金子国交相が24日、着工の前提となる需要予測、建設費などの4項目について調査するようJR東海に指示したのだ。


 《JR東海のリニア中央新幹線計画について、国土交通省は24日、輸送力、技術の開発状況、建設費、変電設備の4項目に関する調査を同社に指示した。すでに報告済みの地形・地質調査に続くもの。国交省は地元自治体の同意も求めており、JR東海は同日、自治体との協議を始めた。

 JR東海は沿線の1都5県の同意をとりつけたうえで、ルートも盛り込んだ報告書を1年程度で提出する意向だ。ただ、同社が南アルプスを貫く直線ルートを提示するのに対し、長野県は中央部も走る迂回(うかい)ルートを希望しており、協議は難航が予想される》=朝日web=



 JR東海は25日から長野県など沿線自治体訪問に精を出している。ドン・葛西敬之会長は、プレスセンターで講演してPRにこれ務めている。ここで葛西が述べている内容は、なかなか興味深い。

 《JR東海の葛西敬之会長は26日、日本記者クラブで講演し、東京-名古屋間のリニア中央新幹線計画で沿線の神奈川、山梨、長野、岐阜各県に1駅ずつ設ける「1県1駅」を自民党などが求めていることについて「常識的と言っていい」と述べ、容認する考えを明らかにした。24日に国土交通省から指示された建設費など4項目の調査については、2009年度中に回答したいとの意向を示した。

 リニアの高速性を重視するJR東海はこれまで、中間駅を極力少なくしたいとの考えだった。葛西会長は「リニアが通過するだけでは地元の了解は得られない」と語った》=中日web=


 東海が志向しているのは、南アルプス貫通の直線ルートである。トンネルが多い上に停車駅は少ない。長野県などは露骨に反発している。葛西の発言はこれをなだめようというものだ。名古屋--東京間をノンストップで結ぶ列車と各駅(各県)停車の2系統で運転する。鉄道屋としては「常識的」な発想だという。


 この話は眉に唾をつけて聞いたほうが良さそうである。なにせ17年も先の話だ。葛西の本音は「いまはまず着工を確定させること」だろう。後は何とでもなると考えているのではないか。社長らに地元交渉を任せ、ご自分は「大所高所」から「常識」的な発言をする。見事な役割り分担だ。


 でも、一体誰がリニア新幹線なんて要望しているの。5兆円も掛けてそんなものを造るなら、現在の新幹線車両改善など安全性と快適性の向上に金を使うべきだ。名古屋--東京間を先行運行するのは中京圏が元気がいいから、という理由だけだ。これからの名古屋は沈む一方かもしれない。直通列車など意味がない。


 時速580キロで突っ走るなんて、バブル的発想そのものだ。日本が世界に先駆けて開発したリニアだが、もたついている間に追い抜かれてしまった。商業運転では中国に先んじられた(上海トランスピッド=時速430キロ)。


 「世界最速の長距離リニア」で日本の技術力を示そう。JR東海(葛西)の意気込みの裏側にあるのはそんなものではないか。

 東海は黒字になるように生まれた会社だ。そんなに儲かっているのなら、貨物や三島会社にてこ入れしてはどうか。各社とも決算上は利益を計上しているが、経営安定基金からの繰り入れでしのいでいる状況だ。今後ももジリ貧は変わらないだろう。施設更新もままならず、保線はずさんになっている。大事故が心配される。


 日本列島のゆがみを加速するリニア計画など不要である。リニアは成田--羽田、成田--東京などアクセス輸送に特化すればいい。
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