酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

またも「問責」の愚

2012-08-30 05:14:14 | Weblog
 29日の参院本会議で野田首相に対する問責決議案が可決された。今年に入ってから閣僚の問責決議が可決されたのはこれで3件目。今や会期末の年中行事と化した感がある。いったい何のため、何を狙った問責なのか。

 ≪参院は29日夜の本会議で、新党「国民の生活が第一」など野党7会派が提出した野田佳彦首相の問責決議を、7会派や自民党の賛成多数で可決した。問責決議に法的拘束力はなく、首相は自民党が求める今国会での衆院解散には応じない方針。野党は参院での審議拒否に入り、9月8日の会期末を前に、国会は空転状態となった。政局の焦点は、9月の民主党代表選、自民党総裁選に移る。
 

 首相は9月21日の党代表選に出馬する意向を示唆、再選が有力視されている。ただ、原発再稼働や環太平洋連携協定(TPP)参加に反対する議員の間には「反野田」候補の擁立を模索する動きもある。
 与野党には、首相は再選されれば10月前半にも臨時国会を召集し同月中に解散を断行。11月に衆院選挙が行われるとの見方が広がりつつある。

 首相問責決議は、生活のほか、みんな、共産、社民、みどりの風、新党改革、新党大地・真民主が7日に提出した決議案を一部手直しして再提出。消費増税法を自民、公明両党と修正合意して成立させた首相を批判した上で、「国民への約束、国民の声に背く政治姿勢を取り続ける野田首相の政治責任は極めて重大である」と断じた。自民党は可決を優先して賛成したが、公明党は採決を前に退席。採決結果は賛成129票、反対91票だった≫=時事com=。


 戒告決議を含む閣僚への問責決議案は、1956年の鳩山一郎に対するものを皮切りに、これまでに45件が提出されている。法的拘束力がないため、当初は決議案を出すこと自体に意味があった。本会議に「お前はダメだ」の決議を上程し、溜飲を下げるというわけだ。

 ねじれ国会になってからおかしくなった。1998年には初めて額賀福志郎防衛相への問責決議が可決される。その10年後には福田首相、翌年には麻生首相が問責された。

 民主党政権になってからはもう、連発状態だ。仙谷、馬淵、一川、山岡、前田、田中直…。ペアで片付ける乱暴さである。問責を受けた閣僚は(首相を除く)、ほどなく辞職を余儀なくされている(福田、麻生にしても問責で威信をさらに低下させ、やがて辞任に至るのだが…)。法的意味を持たない問責で、閣僚の首を取り、首相を引きずりおろす愚をいつまで続けるのか。

 まして今回の首相問責の理由には「消費税増税」が挙げられている。増税法案を通すことに合意した自民党が、なぜこの問責に賛成するのか全く分からない。この党はもはや考える能力がないのかもしれない。

 新聞報道などによれば、自民党は総裁選一色らしい。有力候補に安倍晋三が挙がっている。首相の座を投げ出し、「首相1年交代」の先鞭をつけた張本人ではないか。よくまあ恥ずかしげもなく…。「美しい国」などと言う前に、美しい態度を見せてほしいものだ。

 
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領土問題と「大人の対応」

2012-08-25 04:57:28 | Weblog
 李明博大統領の竹島上陸と「天皇発言」が発端となった日韓の領土紛争が過熱している。24日には野田首相が異例の臨時記者会見を開き、「不退転の覚悟で臨む」と息巻いた。


 ≪野田佳彦首相は24日夕、官邸で臨時に記者会見し、島根県・竹島(韓国名・独島)と沖縄県・尖閣諸島は日本固有の領土と強調した上で、韓国や中国による領有権の主張に対し「毅然きぜんとした態度で冷静沈着に不退転の覚悟で臨む」と決意表明した。竹島の領有権問題は国際司法裁判所で決着させるべきだとの認識を重ねて示し、離島の警備を徹底するため海上警察権を強化する海上保安庁法改正案の今国会成立を訴えた。

 日本の領土に関して首相が会見するのは異例。韓国や中国との対立が続く中、日本の立場の正当性を国内外に訴える狙いがある。ただ韓国は早速「即時撤回を求める」(外交通商省報道官)と反論、中国も反発する可能性がある。

 首相は、韓国の李明博大統領による竹島上陸や香港の活動家の尖閣上陸事件を念頭に「わが国の主権に関わる事案が発生し遺憾の極みだ。看過できない」と指摘。(1)離島の安定的な保全管理(2)周辺海域の警備体制強化(3)日本の正当性の対外発信―を引き続き進めると説明した≫=中国新聞web=。

 野田は「互いに言い分がある」「大人の対応で」「まず話し合うことが大切」などとも述べた。これらのくだりはもっともだ。領土問題は互いに何らかの理屈がある。その理屈にどう折り合いをつけ、隣国として付き合うか。野田も李明博もそれくらいのことは承知しているに違いない。だが、ここに「政権欲」などが絡むと素直になれない。むしろ領土問題を煽ることで内政の失敗を隠蔽したい―などと考えるようになる。

 不景気が続き、格差は広がる一方だ。世の中の不満は鬱屈している。領土、天皇など「民族」の機微に触れる問題でたきつければ世論は沸騰する。どこかの知恵者がこんな入れ知恵をしても不思議はない。

 会見まで開いて「不退転の覚悟」を示した野田と日本政府は果たして「冷静沈着かつ大人の対応」だったのだろうか。親書を返しに来た駐日韓国大使館課長を門前払いしたあたりから、外務省は冷静さを欠いている。通してやって日本の道理を説いて聞かせ、そのうえで「親書を突き返すなどという非礼な行為はやめて、お帰りなさい」と帰すべきだった。相手の小官僚に屈辱を与えるなど、大人のやることではない。

 なぜ首相会見なのかもよく分からない。「内外に本気を示した」との見方があるが、かえって緊張を煽ったのではないか。

 双方のメディアが冷静さを欠いているのも気になる。なぜ相手がそう出るのかを分析するのがメディアの仕事のはずだが…。とりわけ韓国紙は産経をひっくり返したような書きっぷりである。

 ≪「野田佳彦日本首相が李明博(イ・ミョンバク)大統領あてに書簡を送ってきました。しかしこれを開ける前に、日本外務省はホームページに書簡の要旨を公開するという外交的な欠礼を犯しました」。

オークランド時間で17日夜。ニュージーランドを歴訪中だった金星煥(キム・ソンファン)外交通商部長官は宿舎でソウルからの緊急連絡を受けた。顔がゆがんだ。日本の欠礼があちこちに見えたからだ。

その数時間前の午後6時、東京の外務省庁舎。「ちょっと来てほしい」という通知を受けて訪ねた李京秀(イ・ギョンス)駐日韓国大使館政務公使に対し、杉山晋輔アジア大洋州局長がいきなり封筒を差し出した。李明博大統領の独島訪問に抗議する内容が入った野田首相の書簡だった。

30分間の面談が終わる前、外務省はホームページに書簡の要旨を載せた。日本側が事前公開した書簡の内容はこうだった。

「本17日(金曜日)、野田佳彦内閣総理大臣は、李明博大統領に対し、最近の同大統領の竹島上陸及び日韓関係に関する種々の発言について遺憾の意を伝えるとともに、近日中に、韓国政府に対し、竹島問題について、国際法にのっとり、冷静、公正かつ平和的に紛争を解決するための提案を行う旨伝え、また、日韓関係の大局に立って、日韓関係の未来のため、韓国側が慎重な対応をするよう求める旨の書簡を発出しました」。

本来、首脳間の手紙は内容を公開しないのが慣例だ。これだけでなく手紙にはもう一つの形式上の欠陥があった。首脳間でやり取りする書簡の内容を実務者が本部に報告する際に参考とする貼付複写本もなく、徹底的に密封されていたのだ≫=24日中央日報=。

 暴走する政治とメディア。遠い昔にもそんなことがあったという。
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松井祐樹を讃える

2012-08-21 06:00:06 | Weblog
 夏の甲子園の準々決勝、桐光学園―光星学院戦は見ごたえがあった。やはり、お目当ては桐光の2年生エース松井祐樹。「消えるスライダー」と右打者内角に食い込む速球を武器に、3試合で53個の三振を奪う怪腕ぶりだ。相手の光星は強打が自慢、ベスト8で当てるのが惜しい対決だった。結果はワンチャンスを生かした光星の勝ち。三季連続ベスト4以上とは恐れ入る。

 ≪第94回全国高校野球選手権第12日(20日、桐光学園0-3光星学院、甲子園)ドクターKが号泣した。準々決勝2試合を行い、桐光学園(神奈川)は松井裕樹投手(2年)が4試合連続2けたとなる15奪三振の力投を見せたが、光星学院(青森)に0-3の零封負けを喫した。それでも大会通算68奪三振は歴代3位。甲子園で強烈な印象を残した左腕は来年の全国制覇を誓った≫=サンスポcom=。

 19日から連投となった松井は、立ち上がりからかなり疲れていた。踏み出した右足の踏ん張りが利かないため、たたらを踏むように体が3塁側に流れるケースが目立ったのだ。それでもリリースポイントの確かさと腕の振りの良さで三振の山を築いた。大したものだ。疲れは全身に及んでいたようで、肩で息をし、口もパクパクさせていた。点を取られた7回は、不運でもあった。1死2、3塁で遊ゴロ。打球の前を走者が横ぎったため遊撃手が硬くなり、その分2塁への送球が乱れて併殺を取れなかったのが響いた。ゲームの綾とはこういうものだ。

 勝負が決まった後、松井の泣きっぷりがよかった。捕手ら上級生が慰めるものの、肩の震えは止まらない。悔しさをここまでむき出しにされると気持ちいい。ぜひ来年も甲子園で見てみたい。

 それにしても4試合で奪三振68は驚異的だ。1試合当たり17個。決勝まで6試合を戦えば100を超す可能性もあった。あの坂東英二が6試合83個、ハンカチ王子斎藤祐樹は7試合で78個、これに次ぐ記録をわずか4試合で打ち立ててしまった。腕の振りやボールの軌道の見えにくさは天性のものかもしれない。和田や杉内らと同タイプだろう。プロに行くのか大学か。来年は進路をめぐっても大騒ぎになる。
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森本防衛相の軽さ

2012-08-11 05:44:10 | Weblog
 韓国の李明博大統領が10日、島根県の竹島を訪問した。

 ≪韓国の李明博(イミョンバク)大統領は10日、日本政府の中止要請を無視し、領有権をめぐり日韓で対立が続く島根県・竹島への日帰り上陸を強行した。
韓国大統領の竹島上陸は初めて。日本政府はこれに強く抗議し、同日、武藤正敏・駐韓大使を一時帰国させた。北朝鮮の核開発問題など、日韓が共同対処すべき懸案が山積する中で、両国の深刻な外交対立は長期化が避けられない見通しだ≫=読売ONLINE=。

 日本の敗戦記念日、韓国の光復節(解放記念日)に当たる8月15日を前に、自らの求心力を高めるためというのが日本国内メディアの見方だ。森本敏防衛相が「韓国の内政上の判断で決めたこと。とやかく言うべきでない」と述べたのも同様の解釈からだろう。任期が残りわずかとなったうえ、実兄が立件されるなどでレームダックとなった大統領が「勇気ある行動」で日本への対抗意識をあおり、国民の支持をつなぎとめようとした行為であることはほぼ間違いあるまい。問題は国防の任に当たる人物が、評論家然として解説してみせる軽さである。

 ≪森本敏防衛相は10日の記者会見で、韓国の李明博大統領による竹島(島根県)訪問について「韓国が内政上の判断で決めた。他国の内政にとやかくコメントすることは控えるべきだ」と述べた。(中略) 森本氏は会見後、防衛省で記者団に「訪問は内政上の要請があったのだろうとの推測を述べた。竹島問題が韓国の内政問題だと言った覚えはない」と釈明。この後の参院外交防衛委員会の理事懇談会では「誤解を与えたのなら申し訳ない」と陳謝した≫=共同=。

 内政が行き詰まった際、国民の目を外に向けさせるため外交上の火種を掻きたてることはよくある。だからこそ、そうした行為には厳しく対処しなければならない。「とやかくコメントすべきでない」などと傍観者的立場を採れば、火は広がる一方である。火種をかき回す隙を与えない。これが防衛相の態度である。自衛官上がりのタレント教授の限界かもしれない。

 ところで、なぜ10日のタイミングでの強行上陸なのか。メディアが気づいていながら触れていない点がある。五輪日韓戦である。11日には男子サッカー、12日には女子バレーで日本と韓国が激突する。韓国内で打倒日本の機運が最高潮に達する時を狙ったのだ。サッカーは韓国がカウンター2発で快勝した。耐えて日本をやっつける図が見事に決まった。この勝利を一番喜んでいるのは李明博だろう。
 
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ボルト連覇!!

2012-08-06 10:02:24 | Weblog
 ロンドン五輪、注目の陸上男子100mはウサイン・ボルトが後半抜け出し圧勝した。

 ≪男子100メートルの決勝が行われ、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が9秒63の五輪新記録で、北京五輪に続く金メダルを獲得した。

 ボルトの最大のライバルだったヨハン・ブレーク(ジャマイカ)が2着でジャスティン・ガトリン(米国)が3着。

 ボルト自らが持つ9秒58の世界記録の更新にはならなかった。同種目での連覇は、1984年のロサンゼルス五輪、88年ソウル五輪のカール・ルイス(米国)以来、史上2人目≫=産経ニュース=。

 スタートでやや出遅れたものの中盤以降の速さはやはり別格、人類最速を改めて証明した。

 NHKの映像で見ていて、思わずアッと声を上げたシーンがあった。ピストルが打たれる直前、ボルトのレーン(またはその隣)の後方に瓶が転がったのだ。観客席から投げ入れてトラックまで届くはずがない。いったい誰が…。フライングを誘発するためにこうした行為に及んだとすれば許されない。

 事実関係を調査し、結果を明らかにしてほしい。開会式でのインド選手団への「潜入」事件といい、今大会の運営には危うさが付きまとう。大会組織委員会は英国の躍進に浮かれていてはいけない。
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乱調五輪?

2012-08-03 05:50:16 | Weblog
 ロンドン五輪開幕から1週間。日本のメディアは原発も国会も放り出して「メダル狂想曲」を響かせている。束の間の満足感と充実感、これも五輪効果か。

 ところで、五輪の開会式はいつからこんなに「壮大な叙事詩」になったのか。前々回のアテネはオリンピック発祥の地、次の北京は事大主義の本家。こうした国々が国威発揚物語を発信したいと考えるのは、まあ理解できる。しかし、洗練された(はずの)イギリスまでもが、延々2時間以上も同じようなドラマを演じるとなると興ざめだ。4時間にも及ぶ開会式では観客も疲れる。間近に競技を控えた選手はとても参加する気にはならないだろう。

 競技が始まってからも何か変だ。抗議による判定の変更、「無気力試合」の失格騒ぎ…。いずれも日本がかかわっているから余計に気になる。

 柔道男子66キロ級海老沼と韓国選手の旗判定が、日本コーチ陣と会場の大ブーイングを気にかけた?ジュリーの裁定でひっくり返った。こんなのってありか。体操団体決勝、内村のあん馬の特典変更にも首をかしげた。

 柔道はいうまでもなく日本発祥の競技であり国技ともいえる。柔道精神からすれば審判は絶対のはずだ。今回、応援席で血相を変えていた篠原のアテネの戦いが「いい例」だ。明らかな誤審による敗北だったが、篠原は「審判に誤審させるような自分が自分が弱いのだ」と言い放った。これが武道家の態度だろう。

 内村のあん馬の降り技は明らかに失敗だ。美しい体操を目指す日本が、あんな技を「成立している」などと抗議すること自体情けない。「泣き寝入りしない態度は素晴らしい」と称賛する向きもあるがどうだろう。失敗を「半分はできていた」などと強弁するのは落第生の泣き言と変わらない。

 バドミントンの無気力試合は組み合わせを決めた競技委員会に非がある。リーグ戦→決勝トーナメントと進む競技では、予選の戦い方は次の見据えたものとなる。なでしこジャパンの3戦目、引き分けを狙ったのも同じことだ。ランク1位のぺアをはじめ、有力選手を失格させた裁定には疑問も残る。日本にメダルが転がり込んできたと喜んでばかりはいられない。
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