酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「甘利辞任」はあっぱれか?!

2016-01-29 09:37:01 | 政治
 甘利明経済再生担当相が金銭授受疑惑の責任を取って辞任した。会見前のメディアの観測では口利き疑惑を否定、職にとどまる-が大勢だっただけに、驚きをもって受け止められたようだ。昨日のNHKの中継では「辞任」のニュース速報が流れるのが遅れた。事前に準備していなかったせいだろう。それだけ唐突感のある辞任劇だけに「潔い」などとの受け止めもあるが、実態はどうなのだろう。むしろ「逃げきれない」と観念したからこその辞職ではないか。これからどんどんボロが出てきそうな予感がする。

 《甘利経済再生担当大臣は、事務所が建設会社から現金を提供されたなどと報じられたことを受けて記者会見し、建設会社の関係者からの政治献金を受け取っていたことを認めました。そのうえで、「閣僚としての責務、および政治家としての矜持(きょうじ)に鑑み、本日ここに閣僚の職を辞することにした」と述べ、今後の国会審議への影響などを考慮し、閣僚を辞任する意向を明らかにしました。

甘利経済再生担当大臣は、みずからの事務所が千葉県の建設会社から現金を提供されたなどと、先週、報じられたことを受けて、みずからが関わったとされている点について説明するため、午後5時から内閣府で記者会見しました。
冒頭、甘利大臣は、「私を巡る今回の週刊誌報道の件で、国民の皆さまにご心配をおかけしていることにつきまして、深くおわびを申し上げる」と述べました。
そして、甘利大臣は、「閣僚のポストは重いが、政治家としてのけじめをつけること、自分を律することはもっと重い。政治家は結果責任であり、国民の信頼の上にある。何ら国民に恥じることをしていないとしても、私の監督下にある事務所が招いた国民の政治不信を『秘書のせいだ』と責任転嫁することはできない。それは私の政治家としての美学、生きざまに反する」と述べました》=NHK news Web=。

 甘利氏の説明で首をかしげるのは、菓子折りから50万円が出てきたことに対して「適正に処理しておいて」と秘書に命ずる感覚だ。菓子折りや土産物の包みに大金が紛れ込んでいるのは日常茶飯事と見える(甘利氏など〝大物政治家〟にとって50万円は大金とは言えまいが…)。「越後屋、お主も悪よのう」の頃と何も変わっていないように見える。

 自民党内などには「罠を仕掛けられた」との見方もある。餌を探して首を長くしているから罠に落ちるのだ。おとり捜査にはまっても、こんな言い訳をするんだろうか。今回も「秘書が」「事務所が」といういつものパターンの釈明が繰り返された。「私自身はやましいところはないが…」-政治家・甘利の矜持、美学を強調して辞意を口にした甘利氏だが、本当のところは隠し録りされた録音テープの存在などで観念したと推察される。

 件の建設会社はURから2億3000万円の保証金を受け取っていたと伝えられる。甘利氏あるいは秘書・事務所の口利き効果があったのかどうか。徹底的な解明が待たれる。
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大相撲の誤審が止まらない

2016-01-15 09:53:13 | スポーツ
 前回、大相撲初日の白鵬-勢戦の物言いについて書いたが、その後もきわどい一番での「誤審」が止まらない。一体相撲界はどうなっているのか。

 四日目、琴奨菊と安美錦の一番。一気に押して出た琴奨菊、安美錦の引き技に足が流れ、右足の甲が砂についた。安美錦が土俵から飛び出すのとほぼ同時である。軍配は琴奨菊に上がったがNHK中継は「きわどいですね」を繰り返し、物言いが付くのが当然という口ぶりだった。しかし、物言いもつかず軍配通りの決着、場内にため息が漏れた。

 続く五日目、隠岐の海-豊ノ島戦。もろ差しを果たした豊ノ島が一気に寄って出たが、土俵際で隠岐の海の突き落としを食う。隠岐の海の右足は俵の上、豊ノ島の右手が砂につくのが一瞬早かったように見えた。勝ったと思った隠岐の海は、そんきょして勝ち名乗りを受けようとしたが、軍配は相手に上がっていた。物言いも付かない。NHKテレビは「足は俵に乗っていますよね」と勝負判定に「物言い」をつけてみせた。

 初日から連日の満員御礼に水を差す事態である。審判長の井筒は「隠岐の海も残って、一緒ぐらいに見えたけれど、豊ノ島が攻めている分、分がある。物言いがつく一番じゃない」と説明(毎日新聞)してるが、世間一般には通るまい。

 井筒が言うように、相撲には流れや勢いがある。一瞬一瞬を切り取ってみたものと、土俵下から生の目で見たものとでは違うだろう。だが、ビデオ判定を持ち込み、ビデオ室に「物言い権」を認めているのはなぜか。人の目に限界があることを協会自身がよく承知しているからではないか。

 誤審もどきの二番とも攻め込んだ方に軍配が上がり、審判もそれを追認した。「相撲に勝った」方に肩入れしたい気持ちは理解できる。だが、ルールはルールだ。「攻めている分、分がある」などと言われても、どっちが早く落ちたんだ?の疑問に答えることにはならない。

 井筒の言い分を通すなら、勝負判定の基準を再度明確化すべきだ。「きわどい一番についてはどちらが攻勢を取っていたかを重視して判定する」。味気ない相撲が多くなりそうだが…。
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白鵬-勢戦 勝負審判のお粗末

2016-01-11 10:16:09 | スポーツ
 遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

 正月は駅伝、サッカー、ラグビーなど各種スポーツが花盛り。年々エンターテインメント化し、中継アナのうるささばかりが目立つ。その最たるものが箱根駅伝。スポーツ中継なのかヒューマンドキュメントなのか、全く分からない構成になってしまっている。去年失速した選手を取り上げ、母親がどうだこうだとやかましい。こんなのがまかり通っているから、増田明美あたりが勘違いして選手のプライバシーをばらしまくることになる。

 鏡開きのお神酒で勢いがついたせいか、タイトルとずれてしまった。相撲の話だった。

 天覧相撲となった大相撲初日、きわどい取り組みが多く満員御礼の館内を沸かせた。結構なことだ。しかし、見過ごせない事態もある。白鵬-勢戦の物言いがそれだ。

 東土俵際に追い詰められた白鵬、絶対絶命のところで体を入れ替え勢いをはたきこむ。伊之助の軍配は白鵬に上がった。当然物言いがつくかと思ったら、何もなし。行事が懸賞を白鵬に手渡し、勝ち名乗りを上げる寸前になって物言い。なんという間の悪さだ。

 なぜこんなタイミングで物言いがつくのか。土俵周りに陣取る勝負審判ではなく、ビデオ室から物言いがついたようなのだ。《ビデオ室の要求を受けた井筒審判長(元関脇逆鉾)が、確認のための物言いをつけたが、軍配は白鵬で変わらなかった》=日刊スポーツ。

 これは驚いた。大相撲で物言いを付けられるのは五人の勝負審判と控え力士だけだと思っていたら、ビデオ室も「ちょっと待った」と言えるとは…。この変な物言いについてメディアは不問に付しているようだが、鈍すぎる。テレビで見ていても白鵬の足が残っていたかどうかはまるで分からない微妙な一番、サッと物言いがついて当然だ。なぜそうしなかったのか。裁いた伊之助は先場所二番を差し違える失態を演じ、三日間の謹慎処分を受けている。ここでまた差し違えということになれば、進退問題は避けられない。木村庄之助不在の中で伊之助まで欠く事態は避けたい-そんな心理が働いていなかったかどうか。

 勝負審判は土俵を仕切る要だ。きちんと職責を果たしてもらいたい。
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