酔眼独語 

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懲罰なら国連決議が必要だ

2013-08-30 10:24:42 | 国際政治
 化学兵器使用問題でシリア入りしていた国連の調査団が31日出国する。一方で英国議会はシリアへの武力攻撃を容認するとの決議を否決した。国連調査団の出国は米軍の出撃にたいする「go」サインであり、英議会の決議は「no」だ。はたしてオバマはどう出るのか。

 ≪国連の潘基文事務総長は29日、シリアの化学兵器使用疑惑をめぐり現地を査察している国連調査団について、31日午前にシリアを出国すると明らかにした。30日までは調査を継続するとしている。

事務総長は記者団に対し、シリア情勢について28日にオバマ米大統領と電話で話し合ったことを明らかにし、「彼ら(国連調査団)はあす30日まで調査活動を継続する。31日午前にシリアを出国し、私に報告することになる」と語った≫=29日・ロイター=。

 ≪シリアの化学兵器使用疑惑で、英国会(下院、定数650)は29日夜(日本時間30日朝)、シリアへの軍事攻撃を容認する動議について投票を行い反対285、賛成272の反対多数で動議を否決した。与党からも反対した議員が多数出た。キャメロン首相は「動議に従って行動する」と述べ、ただちに英国が軍事攻撃に参加するのは難しい情勢だ≫=毎日jp=。

 オバマは米公共放送PBSの番組で、「(化学兵器の)配備システムやロケットが使われていることを考慮すると、反体制派が今回の攻撃を実行できたとは考えられない」、アサド政権が化学兵器を使ったのは反体制派だと反論していることについては、「あらゆる証拠を調べた結果、あのような化学兵器を反体制派が持っているとは考えられない」と述べている。しかし、「あらゆる証拠」というだけで証拠の一つの提示していない。これでは説得力がない。

 同時にオバマは、攻撃はアサド政権の軍事力をそぐためではなく、非人道兵器を使えばこうなるという見せしめだ―とも述べる。見せしめ・懲罰なら、国際的な機関による認定が必要だろう。有志連合による懲罰では「リンチ」と変わらないからだ。

 英国がそっぽを向いたため、オバマは極めて苦しい立場だ。しかし、「攻撃」を明言している以上、あまり先送りもできまい。巡航ミサイルを叩き込むのは必至だろう。正義の実現や国際法違反への懲罰は時と場合によって発現の仕方が違う。下記の記事はそのへんの事情をよく表している。

 ≪米政府はアサド政権による化学兵器使用を断定。この日の会見でハーフ副報道官は国連安全保障理事会による武力行使容認決議なしに軍事介入することを念頭に、多数の市民を無差別に殺害したことが一般的に国際法違反に当たると強調した。

 これに対してロイターの記者は「米国が核兵器を使用し、広島、長崎で大量の市民を無差別に殺害したことは、あなたの言う同じ国際法への違反だったのか」と質問。ハーフ氏はコメントを避けた=産経ニュース・共同=≫。
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