酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

日本は感動、世界は退屈?

2010-06-30 21:11:08 | Weblog
 いかにも日本人好みの幕切れだった。
 W杯サッカー決勝トーナメントに進んだ日本は、パラグアイと対戦、延長でも決着がつかずPK戦にもつれこんだが、駒野が外して負けた。

 大会前のチーム状態を考えれば、大健闘といっていい。でも、岡田が言っていた「世界を驚かせる」ことができたかといえばノーである。

 この国のメディアの手のひら返し的な称賛とは裏腹に、海外の評価は芳しくない。ブラジルのネットメディアは「決勝トーナメントで一番退屈なゲーム」と酷評し、ロシアの通信社はチェスカに在籍する本田についてだけ「良かった」と伝える。

 欧州のメディアは「双方とも臆病」とする評価が多かったという。

 この試合をどう見るかはスポーツ観や文化論、人類学的考察に属する。スポーツを楽しいもの、ファンタジスティックなものと捉えれば、つまらない一戦にも映る。

 柔よく剛を制するというように、スポーツにも「道」を求める日本的感覚からすれば、耐えに耐える姿は琴線に触れた。初代貴乃花や甲子園で地方の高校に声援が集まるのと根は同じだろう。

 それにしてもこの試合の視聴率が50%をはるかに上回ったという報道には驚かされた。いつから日本はこんなにサッカー好きになったのか。

 他に心躍らせる出来事がない。これも悲しい現実だ。

 岡田は内心忸怩たるものがあるに違いない。W杯での戦いぶりは目指したサッカーとはまるで違っていたからだ。スピード、技術、パワー、どれをとても世界とは差がある。大会前の4連敗でこの現実に気付いたから、弱者の戦略に戻ることができた。不本意だったろうが、勝てば官軍だ。

 世界を驚かすサッカーから、勝つサッカーに切り替えた結果は、「オーライ」といってもいい。だが次の展望は見えない。守ってカウンターのJリーグの戦いぶりから変えていかないと、いつまでたっても善戦どまりだろう。

 

 
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英独戦の大誤審!

2010-06-28 06:24:43 | Weblog
 サッカーW杯、因縁の?ドイツvsイングランドの一戦は、4-1でドイツが快勝した。大方の予想通りだったが、後味は悪い。

 2-0から2-1と迫った前半40分前、イングランドの同点シュートが決まったが、審判はゴールと認定せず試合はそのまま流されたからだ。

 《サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会は27日、決勝トーナメント1回戦のドイツ―イングランドで、W杯史上に残りそうな「疑惑のノーゴール」が生まれた。

 イングランドは0―2から前半37分に1点を返した直後、MFランパードがシュートを放った。これがバーに当たって落ち、跳ね返って再びバーに当たった後にドイツのGKノイアーが捕球した。

 判定はノーゴール。ガッツポーズをしていたカペロ監督は、「信じられない」とばかりに絶叫。ビデオの映像では1度目にバーに当たってグラウンドで跳ねた時、完全にゴールラインを越えていた。

 試合は4―1でドイツが快勝。イングランドと西ドイツが戦った1966年大会決勝の延長前半、同じようにバーに当たって跳ねたシュートはゴールと判定され、イングランドが優勝したが、今なお物議を醸している。44年の時を経て、逆のケースが生まれた格好だ》=朝日com=。

 ドイツがスピードでだいぶ上回っており、2-2で折り返していても結果は同じだったかもしれない。しかし、負けているのと追いついたのでは、イングランドの気持ちの入り方や試合運びは違ったものになっていただろう。

 とはいえ、疑惑の判定や誤審を含めてスポーツは存在する。勝つもの、強いものとは、そうした運もひきつけたチームなのだ。

 さて、あしたの日本-パラグアイ戦。チーム得点王のカバニャスがメキシコシティーで銃撃されるという悲劇を乗り越えて戦っているパラグアイに天は味方しそうだが…。

 






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嗚呼、不毛の参院選?!

2010-06-24 05:40:18 | Weblog
 第22回参院選が今日公示される。121の定員に450人近くが立候補する激戦となりそうだが、実態は争点らしい争点のない人気取り合戦だ。こんな選挙を何度繰り返しても「力強い政権」などできっこない。

 22日付けの「日経」連載に面白いコメントが載っている。菅内閣の番頭である仙谷が菅を評した言葉だ。

 《仙谷は2月、知人にこんな菅評を語った。「私利私欲でいえば確かに菅は私欲の塊だ。代表になりたい、首相になりたい、目立ちたい。だが、私利は全くない。そこを評価してくれ」》。

 国会に出てくる連中は概ね菅のような「私欲の塊」だ。仙谷とて例外ではあるまい。政治家の究極の目的は「天下を取る」ことにある。取ってからどうするかについて、オリジナルな考えを持っている人物など、当世見当たらない。

 話が脱線した。参院選である。

 これほど争点の乏しい国政選挙も珍しい。焦点はといえば、与党が過半数を制することができるかどうか、だという。いつの選挙でも大体そんなものだろう。

 本当の山場は選挙後に訪れるのではないか。ガラガラポンの政界再編劇である。鍵を握るのはもちろん小沢一郎だ。菅はこの参院選で60近くの議席を得ることが延命の条件となろう。このケースでも、9月の代表選ですんなり再選となるかどうかは微妙だ。

 谷垣は去ってゆく。跡目は…。いっそ小泉進次郎か。というわけで自民党は解党への歩みを速めることになろう。

 2大政党が消費税率上げで歩調をそろえ、財務省は大喜びしているに違いない。

 政界が再編騒動でガタガタになった隙を突いて、官僚統治が復権する。こんなシナリオの幕開けが今回の参院選だとすれば何ともはやである。そうならないための1票を、さてどう使おう。
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いかにもフランス的?

2010-06-22 06:08:31 | Weblog
 W杯サッカーA組で苦戦を続けるフランスチームに内紛が勃発、大騒ぎになっているという。

 《サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会に出場するフランス代表のエースFWアネルカが起用方法でドメネク監督に暴言を吐き、チームから追放された問題で、選手らは20日、この措置に反発し練習をボイコットする抗議を行った。

1次リーグA組のフランスは22日に南アとの最終戦を控えており、チームの内紛が士気を損ねるとの懸念も出ている。フィジカルコーチと選手が口論したり、練習ボイコットに怒ったチームディレクターが仏サッカー連盟を辞めると言い放つ混乱も生まれている。

練習ボイコットについてはドメネク監督が選手からの声明文を記者団の前で読み上げ、全選手がアネルカ追放に反対し、サッカー連盟は選手に事前に相談することなくメディアの報道内容のみに依拠し今回の決定を下したと批判した。しかし、最終戦については団結して戦うとの決意も示した》=CNN.jp=。

 ここまで2試合で得点ゼロ、1分1敗。自力での1次リーグ突破が消えたことをいぶかしく思っていたが、こんなチーム状態では当然か。

 フランス代表は欧州予選もプレーオフの末、やっと勝ちあがった。それもアンリの「神の手」に救われての話だ。これで運を使い果たしたと見るべきだろう。もっと言えば、4年前のW杯決勝でジダンが挑発に負けて頭突きをかました時点で、フランスの栄光は終わっていたのだ。

 選手が練習をボイコットし、公然と監督批判を繰り広げる。これぞフランスって感じだ。サルコジはスポーツ相の帰国を延期させて事態収拾を図りたい、などと言っているようだが、大臣が出て収まる話でもあるまい。

 それにしても今大会、欧州の強豪と言われるチームに偏重が目立つ。1次リーグをなめているのではないだろうが…。

 
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岡田ジャパンの毀誉褒貶

2010-06-16 04:40:15 | Weblog
 W杯初戦、日本は何とかカメルーンに勝った。遅ればせながら、おめでとう。

 それにしても、岡田ジャパンに対する評価の乱高下は極端だ。直前までは4連敗のふがいなさを嘆き、システム変更を泥縄だと酷評していたメディアは、「岡田采配的中」の手のひら返しである。

 《シュート力とキープ力を併せ持つ本田のワントップ起用は、まさに勝負手。ほとんど経験がなかったポジションを大舞台で任せた。

 本田だけではない。阿部を中盤の底に陣取らせ、相手の攻撃をつぶさせる。両サイドには、突破力のある大久保と松井を置き、ドリブルで相手の守りを乱す。そしてGKには、反応の鋭い川島。ゲーム主将を長谷部に委ねたことを含め、そのどれもが、5月末からのスイス合宿が始まりだった。このため、不動のレギュラーと見られていたMF中村俊(横浜M)や、GK楢崎(名古屋)らは、ベンチを温めることになった。

 W杯イヤーを迎えてから、岡田ジャパンは苦しみ抜いた。監督自身の「進退伺」騒動もあった。W杯登録メンバー入りを控えた選手たちの腰の引けた姿勢もあり、アジアの戦いでは押し通せた前線から厳しくボールに寄せていく戦術が、W杯レベルのチームには通用しなかったことが主な原因だった。

 そこで岡田監督はすっぱりと切り替えた。細かくパスを回して人数をかけて攻め込む形は見られなくなった。必要とあれば美学を捨てられるのが、この指揮官の強さだ。

 急きょ手を着けた「突貫工事」。試合前日の記者会見で「間に合ったのか?」と問われた岡田監督は、充実した表情で答えていた。「チームは非常にいい状態で、手応えを感じている」。1―0の逃げ切りは前日に予想した通り。選手たちは最後まで集中力を失わず、組織として動き、監督の期待に応えた。歴史的な1勝だ》=15日読売=。

 勝てば官軍だね。

 サッカーは偶然が支配する要素の多い競技だから、いろんなことが起こる。強くて速くてタフで、ゲームを支配しきっていたチームが勝つとは限らない。そこが面白い。

 でも、岡田が「世界を驚かせる覚悟がある」と言っていたのは、カメルーン戦のような勝ちを重ねることなのだろうか。

 66年前に北朝鮮がイタリアを破るなどして8強入りしたとき、確かに世界は驚き「赤い稲妻」の称号を送った。アフリカ勢の圧倒的な速さとしなやかさも驚異の的となった。

 侍ジャパンは耐えしのいで世界を驚かせるつもりなのか。この戦法はいかにも日本人のメンタリティーに訴える。相撲で言えば先代の貴乃花。「がまん重ねた90番」なんてフレーズもありました。

 中村と遠藤を起点にした素早いパス回しと速さで相手を撹乱すること。これが岡田の狙いだったはずだ。直前の強化試合でそれが通用しないと分かった。端的に言えばこの2年半何をやってきたのか、ということになる。

 「必要とあれば美学を捨てられるのが、この指揮官の強さ」か。

 美学は哲学でもある。それを欠いたサッカーでは世界は驚かない。
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中国大使に伊藤忠の丹羽氏

2010-06-08 05:53:47 | Weblog
 中国大使に伊藤忠相談役・丹羽宇一郎の起用が有力となっているらしい。日経が日曜日付けでスクープ、各紙が8日付けで後追いしていることから見て、その線で話が進んでいることは間違いない。

 《政府は7日、駐中国大使に伊藤忠商事の丹羽宇一郎相談役(71)を起用する方向で調整に入った。実現すれば1972年の国交正常化以来、初めて民間からの起用となる。菅直人首相が鳩山政権から検討事項として引き継いだ「政治主導」人事の一環。

 丹羽氏は名古屋市出身。伊藤忠商事の社長、会長を経て今年4月から相談役。安倍、福田両政権で政府の経済財政諮問会議の民間議員を務めたほか、今年3月まで地方分権改革のエンジン役を担う「地方分権改革推進委員会」の委員長を務めた。長年ビジネスを通じて中国との結びつきが深いことで知られ、毎年中国を訪れているほか、北京市や江蘇省の顧問会議メンバーなどを務めている。

 中国との間では、鳩山由紀夫前首相が5月31日、来日した温家宝首相と東シナ海ガス田開発の条約締結交渉に入ることで一致。一方、中国海軍ヘリが海上自衛隊護衛艦に至近距離まで接近するなど、中国の海軍力増強が懸念される事態も起きている。課題が山積しているだけに、外務省内には「民間出身で乗り切れるか」との慎重論も出ている》=毎日jp=。

 朝日や共同も同じトーンで、「手腕は未知数」などの言葉が並ぶ。毎日の記事でも、ポイントは末尾にある。『外務省内には「民間出身で乗り切れるか」との慎重論も出ている』。

 外務省にとっては耐え難い屈辱だろう。何とかしてこれを潰したいと考えているに違いない。この人事を断行できるかどうかは、菅新政権の政治主導を占う試金石になりそうだ。

 外国に駐在する大使は、国際機関などを除いては(猪口女史や北岡センセイら)職業外交官が独占してきたといっていい。彼らは定年がないに等しく、いつまででも各国を回り続ける。大半の大使は仕事などはなく、もっぱら儀礼をこなすだけだ。

 遊び回っているだけなら罪は軽い方だ。中には時の政府の意向とは異なる「外務省外交」に精を出す輩もいる。駐米大使はほとんどがこの口で、日本の外交官なのか国務省の役人なのか分からないほどである。

 藤崎現駐米大使が「普天間の件でクリントンに呼びつけられた」と嘘のリークを行い、この問題に関する米国の怒りの大きさを演出して見せたのはその好例である。

 日米安保60年の今年、民主党政権下でどのような見直しや深化が見られるかが焦点だが、藤崎はノーテンキに「在日米軍同窓会」なるものを立ち上げてご満悦らしい。

 《“世界最強”の同窓会が発足ー。

 在日米軍経験者らによる同窓会発足式が28日、リチャード・マイヤーズ(元空軍大将)、ピーター・ペース(元海兵隊大将)両元統合参謀本部議長らが出席して、ワシントン市内で行われた。

 この日はたまたま、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題に関し、日米両政府が共同声明を発表した翌日となった。鳩山政権による移設問題のこじれで日米関係がぎくしゃくする中、「日本をこよなく愛する」(ペース氏)という米退役軍人らが両国の友好親善のため立ち上がった。

 発足式典であいさつしたマイヤーズ氏は、「世界で1、2位の経済大国である日米両国が北東アジア、太平洋地域で責任ある役割を果たすことが地域の平和と安定につながる」と同盟の重要性を強調し、同窓会を両国の友好発展につなげていきたいと語った。

 藤崎一郎駐米大使は祝辞で、「日米同盟は書面だけでなく両国の人と人のつながりで成り立っており、こうした関係を大事にしていきたい」と述べた。

 同窓会は、今年が日米安全保障条約改定署名から50年に当たるのを記念し、在ワシントン日本大使館の後援で立ち上げた》=産経ニュース=。

 官庁の中の官庁ともいえる外務省改革に手をつけることができるかどうか。下手に触ると田中真紀子や鈴木宗男の二の舞も考えられる。官邸vs外務省は注目の一戦だ。
 
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組閣前から支持率だって

2010-06-07 05:37:40 | Weblog
 まだ首相に就任したわけでもなく、組閣も行っていない「菅直人」が民主党政権の人気をV字拡幅させたという。

《共同通信社が4日夕から5日にかけて実施した全国緊急電話世論調査で、新首相に選出された民主党の菅直人代表に「期待する」と答えた人は57・6%に上った。直接の比較はできないが、5月末の前回調査の鳩山内閣支持率19・1%から大幅に改善し「首相交代効果」がくっきりと表れた。「期待しない」は37・2%だった》

 《民主党の菅直人代表が首相に指名されたのを受け、毎日新聞は4、5日、緊急世論調査を実施した。菅首相に「期待する」との回答は63%で、「期待しない」の37%を大きく上回った。鳩山由紀夫前首相が辞任する前の前回調査(5月29、30日)で17%に落ち込んだ民主党の政党支持率は28%まで回復。鳩山氏と道連れの形で同党の小沢一郎前幹事長が辞任したことを「評価する」との回答は81%に達した。菅首相が「脱小沢」路線を鮮明にしたことが民主党に対する期待感を回復させたことがうかがわれる》

 《NNNが4~6日に行った緊急世論調査によると、菅新首相の支持率は62.4%で、鳩山内閣発足時の内閣支持率(67.7%)に迫る数字となった。約20%にまで落ち込んでいた鳩山内閣の支持率から一気にV字回復した結果となった。

 支持する理由は「ほかに代わる人がいないから」が最も多く、「指導力に期待が持てる」「人柄が信頼できる」などの理由が続いている。

 また、政党支持率も民主党が35.7%と、先月に逆転された自民党(22.1%)を再び逆転し、13.6ポイントも差を付けた。一方、「支持政党なし」は22.4%となっている》=日テレ系=

 このほか、朝日も6日付けで「菅新首相に期待 59%」と打っている。

 まあ、早い話がこれは人気投票。メディアも野党と声をそろえて「表紙を変えるだけでは駄目だ」と主張していたはずなのに、変わった表紙に大騒ぎしている。恥ずかしくないのだろうか。

 当ブログは鳩山を辞めさせて、仙谷が枝野で言ってきた。その二人が菅政権の両輪を担うことになる。前政権よりは少しましだろう。でも、防衛官僚の言いなりになっている北沢や、日米金縛りから抜けられない岡田をそのままにしておくのでは、大きな期待はできない。原口や前原、千葉、中井も失格組だ。

 8日の組閣は転進組の補充にとどまり、小規模になるといわれている。代わり映えがしないため、9、10日あたり行われる緊急世論調査では、新首相指名時点を下回ることも予想される。
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信を失ったのは誰か

2010-06-03 05:45:55 | Weblog
 2日、鳩山首相が辞意を表明した。メディアは「唐突」「突然」などと表現しているが、1日の当ブログに書いたように極めて自然な流れだ。鳩山政権の功罪については、当否取り混ぜて各紙に書き尽くされた感がある。ここでは、決してメディアが触れることのない「もう1つの敗者」について考えてみたい。

 歴史的な政権交代から8カ月。内閣支持率は当初の70%超からつるべ落としで下降し、いまや10%に低迷している。国民の信を失った政権は代えるしかない。ここまではメディアの論調と同じである。だが、信を失っているのはメディアも同様だ。ここに気付かないと、「復権」など夢のまた夢だ。

 2日の朝刊と本日のそれを読み比べてみれば、先見性と洞察力のなさは一目瞭然である。31日、1日と連日、鳩山・小沢会談が開かれた。テーマは「首相の進退」だった。公然と進退が語られるようになった政権の余命はいくばくもない。これは多少政治をウオッチしているものにとっては常識ではないか。

 ところが、メディアは会談の中身を全く察知できなかった。においや気配を感じて、取材源に当たる動作ができないのだ。1日夕のグッドポーズを見抜けなかったことを「鳩山流のしたたかな演出」などと言っているようでは問題にならない。

 ほめ殺しは今日のメディアの常套手段である。期待値を極限にまで高めておいて、結果が伴わないと「裏切り」と切り捨てる。政治もサッカーも五輪も、すべてが同じ手法だ。政治と同様、人気取りや話題性にしがみついてしまっている。

 政治のレベルはその国民意識と比例するという。メディアのレベルはどうだろう。小泉進次郎を持ち上げ、事業仕分けでは蓮舫にスポットを当てる。「人気者を扱っていれば、大きな外れはない」というさもしい根性が丸見えである。

 次期代表選をめぐっては「小沢との距離感が問われる」と言いながら既に菅直人に擦り寄る気配が濃厚だ。「小沢の動向が焦点」などと書いている時点で、小沢支配を容認していることに気付いていない。

 無冠の帝王と呼ばれるメディアが「無冠の低能」になりつつある。しかも、メディア自身はそのことに無自覚だ。新聞が読まれなくなるのも道理であろう。

 当ブログは枝野と仙谷を次期代表に「指名」しておいた。可能性は0.1%程度かな。
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鳩山は週内に退陣?

2010-06-01 06:09:21 | Weblog
 「いい人」に首相は務まらないということだ。四方八方気兼ねして、最後はそれで首が回らなくなる。いまの鳩山首相はまさにそれに当たる。

 福島切り以降、急激に鳩山辞任論が浮上している。もはや持ちこたえるのは難しいだろう。しかし、鳩山自身は「まだいける」と高をくくっている節がある。31日夜の鳩山、小沢、輿石3者会談の内幕話が読売に出ている。

 《このままでは国会運営が厳しい。郵政改革法案も廃案になりうる(輿石)。そんなに厳しいですか(鳩山)。前にも言ったではないか(輿石)》。

 キーマンの小沢は既に見放したのではないか。ただ、鳩山を下げると、次は自分の進退問題になる。そこの見極めようとあれこれ思案しているのだろう。たた、首相の進退について「これから決める」と語ったのは重大だ。「進退」を決する局面にあるということを認めた発言だからだ。

 《社民党の連立離脱を受けて、鳩山首相の進退論が広がる民主党は31日夜、役員会で対応の小沢幹事長への一任を了承し、6月1日にも鳩山・小沢両氏らであらためて協議を行うことになった。
役員会に先立ち、鳩山首相と会談した小沢幹事長、輿石参院会長らは、選挙を控えた参議院を中心に党内の現状が厳しいと鳩山首相に伝えた。
31日午後6時すぎ、鳩山首相は「力を合わせてがんばろうと」、「(首相の続投について確認した?)それは当然であります」と述べた。
民主党の高嶋筆頭副幹事長は、「(続投と)総理がそんなこと言っておられたんですか? あの(小沢)幹事長は、そういうことは『これから決めることだ』と」と語った》=FNN=。

 テレビに映った小沢の表情が異様に厳しかったのが印象的だ。福島罷免後の各紙世論調査では、最も高い毎日でも20%、後は軒並み10%に落ち込み、危険水域に入った。最速なら今週中にも鳩山辞任に向かう。小沢が同道すべきなのは言うまでもない。

 後任は枝野を推す。仙谷でもいい。思い切って小宮山洋子、さすがにそれはないか。いずれにしても垢がついていなくて、芯のあるやつが望ましい。
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