酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

やはり三百代言か

2012-12-26 05:56:54 | 外交
 警官の不祥事が相次いでいると思ったら、今度は弁護士だ。いったいこの国の司法関係者の遵法意識はどうなっているのかと疑わざるを得ない。今回の弁護士のケースは、要するに詐欺である。こうした行為を働いた人物の名前も公表せず、「国選の指名停止」程度で済ませることにも合点がいかない。

 ≪逮捕された容疑者や起訴された被告に国費で弁護士を付ける国選弁護制度をめぐり、2006~09年に全国で少なくとも157人の弁護士が接見や公判の回数を水増しし、247件で報酬計約450万円を過大に請求していたことが、日本司法支援センター(法テラス)の調査でわかった。

 法テラスは、この157人に水増し分の返還を請求し、弁護士が破産手続き中などのケースを除き、計436万円を回収した。不正が特に多かった19人は3カ月~1年間、国選弁護人としての指名を停止した。

 08年に岡山弁護士会の弁護士による過大請求が発覚したことを受けて調査していた。06年10月~09年8月に計約3700人の弁護士が担当した約1万6千件のうち、約9千件を抽出して警察署の接見簿や裁判所の記録と照合。過大請求の主な原因は「不正確な記憶に基づいて申告した」「別事件の接見と混同した」などだったが、中には「強盗強姦(ごうかん)事件で1回しか接見していないのがまずいと思い、3回にした」という故意のケースもあった≫=朝日degidal=。

 調査は抽出であり、実際どれぐらいの不正が行われていたかは不明だが、157人・247件より多いのは間違いあるまい。接見の際の手続きは09年から厳格化され、警察と裁判所の「出席証明」を突き合わせて費用を支給する方式に改められた。それまでがいかにずさんだったかと証拠だろう。

 本仮屋ユイカが主演した弁護士ドラマ「そこをなんとか」で、主人公の改世楽子が「弁護士だって生活苦しいんです!」と叫んでいたのを思い出す。どんなに貧しくても悪事は働かない―これは弁護士としてというより、人間としての規範だ。それすら守れない人物は、バッジを外してもらうしかない。
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格好だけの安倍晋三では…

2012-12-17 09:07:49 | 外交
 第46回総選挙は予想通り自民党の圧勝に終わった。安倍「戦争準備内閣」が発足する。民主党政権が政権の体をなさず、よろめき倒れ掛かっている中で行われた選挙である。自民党が勝ったことに何の不思議もない。問題は戦後最低の投票率だ。政治に愛想を尽かし、「何も期待できない」層がますます増えているようにみえる。年末にも発足する「再生・安倍政権」に何ができるのだろう。

 

 ≪第46回衆院総選挙は16日投開票され、自民党が単独過半数(241議席)を大幅に上回る議席を獲得し、3年3カ月ぶりに公明党との連立で政権復帰を確実にした。両党は参院で否決された法案を再可決できる3分の2(320議席)を確保。自民党の安倍晋三総裁は来週前半の特別国会で第96代首相に選出される。民主党は公示前勢力を大幅に減らす惨敗で、野田佳彦首相は16日夜、党代表辞任を表明した。日本維新の会は第3党となる50議席以上を確保。日本未来の党は惨敗した。小選挙区の投票率は朝日新聞社の推計で59.3%。前回よりも10ポイントほど下回り、戦後最低の水準となった。

 全議席数確定:自民294、民主57、維新54、公明31、みんな18、未来9、共産8、社民2、大地1、国民1、無所属5≫=朝日degital=。


 安倍晋三はナルシストであり、見てくれを気にする男だ。小泉後継の際打ち出した「美しい日本」のスローガンは、いかにも安倍らしい。部屋中に散らばっている衣類や雑誌などを押し入れに押し込め、座布団のほこりをはたいて「はい、きれいになりました」と取り繕うマダムの振る舞いにも似ている。

 強い国、外交力を強調するが、その心は「日米同盟の強化」だという。今のアメリカが日本に期待しているのは中国封じ込めの前線基地機能だけである。日本を盾として中国をけん制する一方、左手では習近平と握手する。アメリカは実利の国だから、これぐらいは朝飯前だ。

 アジア外交は進展せず、アメリカにも足元を見られる。安倍外交の前途は多難だ。

 経済政策はゼロに等しい。なにせ、日銀券を刷りまくるしか能がないのだから。自公政権の復活で、インフレ期待が高まっている。巨額の借金にあえぐ大企業には朗報だろうが、多くの庶民はスタグフレーションに苦しむことになるのは必至だ。三重苦、四重苦に打ちひしがれる国民を安倍はこう激励するに違いない。「美しい心、強い心をもって難局を乗り越えましょう」。

 
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北との情報戦に完敗

2012-12-12 15:28:19 | 外交
 北朝鮮が「人工衛星」の発射を強行、打ち上げは成功したとみられる。

 ≪北朝鮮が12日午前、国際社会の反対を振り切って事実上の長距離弾道ミサイルの発射を強行した。核・ミサイル開発にかける強い意志を改めて示すとともに、4月の発射失敗で落ちた威信を早期に回復する狙いだ。国連安全保障理事会は制裁強化の議論に入る見通しだが、北朝鮮が対話姿勢を示すかどうかは不透明。短期的には一段と強硬に出てくる可能性もある。

国際社会での孤立覚悟でミサイル発射を強行したのは「核・ミサイル大国になる」という故金日成主席、故金正日総書記時代からの揺るがない国家戦略があるからだ。4月の発射失敗で、いずれは再発射する必要性に迫られていた。

 ただ、条件が悪い冬季に発射するなど強引な印象は否めない。技術的な欠陥が生じたとしながらも年内の発射にこだわったのは、金正恩(キム・ジョンウン)体制が事実上発足した今年中に「成果」を出し、威信の回復を狙ったとの見方が強い≫=日経web=。

 韓国のKBSが伝えるところによれば、3段式のロケットはそれぞれ北の予告通りの海上に落下、韓国政府も実験成功とみているという。

 4月の失敗からわずか8か月、気象条件などが悪化している中での成功はアメリカの心胆を寒からしめたに違いない。それよりなにより、8日ごろから発射延期説が流布され、11日には韓国政府筋が「ロケットは発射台から取り外された」と述べていたのに、その翌日、突然打ち上げられたことに驚く。「大幅に遅れる」との観測を流していた日米韓のメディアは、いずれも大誤報ということになる。

 共同などは衛星写真を並べて「前日まであったトレーラーなどが消えている」などと取り外しを強調している。韓国政府やメディアの目が節穴なのか、北の偽装が上手かったのか。

 ロケットが取り外されていなかったことは確実だ。液体燃料を抜き、取り外して修理したうえ、再度組み上げて燃料を注入、打ち上げとなるとどう考えても時間が足りない。

 8日に「発射時期を調整する問題を慎重に検討」と切り出し、10日には「1段目の制御エンジンに技術的欠陥が見つかった」と述べ、1週間打ち上げ期間を後ろに延ばすことを公表していた北朝鮮の一連の言動が三味線だったとも考えられる。

 これが実戦なら、初戦は日米韓の完敗である。近代戦は情報が大きくものをいう。北に振り回されているのが日本だけではないというのが情けない。韓国政府の北情報が当てにならないとなると、事態は深刻だ。
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星野仙一の狭量

2012-12-10 10:38:15 | Weblog
 メジャーか日本ハム入りかが注目されていた花巻東高の160キロ右腕大谷翔平の決断は日ハム入団だった。難しい選択だったと思うが、正解だろう。

 ≪米大リーグ挑戦表明後にプロ野球ドラフト会議で日本ハムから1位指名された岩手・花巻東高の大谷翔平投手(18)は9日、岩手県奥州市内で記者会見し、日本ハム入団を表明した。大谷投手は「本日、日本ハムに入団させていただくことを伝えさせていただいた。たくさんの方にご迷惑をおかけして申し訳なかったと思う。入団が決まったのでファイターズの一員として頑張っていければいい」と話した。

 大谷投手は最速160キロの剛腕で、高校通算56本塁打と投打に優れた素質を持つ。米球界の評価も高く、10月21日に「入学当初からの夢だった」として大リーグ挑戦を表明。同25日のドラフトで1位指名された際も、入団の可能性は「ゼロ」として、意志を貫く姿勢を示していた≫=毎日jp=。

 日本球界からのメジャー入りを快く思っていない張本勲をはじめ、多くの球界関係者が賛辞を贈る中で、「異彩」を放っているのが星野仙一である。


 ≪楽天・星野仙一監督(65)が9日、仙台市内で取材に応じて、現行のドラフト制度を痛烈に批判した。メジャー挑戦を表明していた岩手・花巻東高の大谷が、1位指名を受けた日本ハムに入団することが決定。「日本球界に行くんなら、ウチも指名しとった。彼の将来は本人が決めることだけど、ちょっと大きな問題になる。これをやったんであれば、ドラフトの意味がない」と怒りをあらわにした。

 想定外の事態に、物申さないわけにはいかなかった。当初、楽天も大谷の1位指名を予定していたが、本人の意思を尊重して指名を回避した経緯がある。「記者会見したんだから、ドラフト指名されずに米国にいくという格好だった。地元(東北地方)の選手だし、ウチが取らんといかん選手だった。前から(入団への)話ができていたとか、そう思いたくないし、そうではないと思うけど…」と複雑な心境を吐露した。

 さらに闘将の怒りの矛先は、ドラフト制度そのものに向いた。「完全ウエーバーでないといかん。今までも逆指名だったり、中途半端。規則がついていってない」と主張した。現行のルールでは日本ハムが指名したこと自体に問題はなく、たとえ完全ウエーバーにしても今回のケースは起こりうる。それでも「理事会とかオーナー会議で問題になるでしょ。コミッショナーがビシッと言わんとアカン」と制度改革の必要性を訴えかけていた≫=産経com=。

 星野は自分を含む球団の見通しの甘さを恥じるべきだ。「この球団以外に指名されても行く気はない」などの言動は以前からあった。昨年、巨人を熱望した菅野を日ハムが決然として指名したことは記憶に新しい。本当に採りたい逸材なら、メジャー志望であれ、巨人志向であれ断固として指名し、交渉に総力を挙げるのが球団の熱意というものではないか。

 18歳の若者が日ハムの誠意と説得によって翻意したからといって当り散らすなど、星野の了見はあまりにも狭い。スポーツ紙を中心とするメディアに「闘将」などとおだて上げられているうちに、ものが見えなくなったのだろう。

 「ドラフトを完全ウエーバーに」という星野の主張は理解できる。ドラフトの主眼は各球団の勢力均衡にあるからだ。だが、せっかくの正論も前段に感情むき出しの異物があっては台無しである。
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