酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

裁けるのは神だけか

2010-04-28 06:15:30 | Weblog
 司法、とりわけ罪と罰の関係を考えさせられる出来事が相次いでいる。27日には政治資金規正法違反容疑で告発され、不起訴となっていた小沢一郎に対して、東京検察第5審査会が「起訴すべし」との結論を出した。

 《小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪で告発され、不起訴処分となった小沢氏について、東京第5検察審査会は27日、「小沢氏の供述は不合理で信用できず、共謀共同正犯が成立する」として、起訴すべきだとする「起訴相当」を議決した。今後、東京地検特捜部が再捜査し、改めて処分を決める。
 再び不起訴とされても、2回目の審査で、11人の審査員中8人以上が起訴すべきだと判断すれば、小沢氏は裁判所が指定する弁護士によって強制的に起訴されることになる》=時事com=。

 検察審査会が「起訴相当」を議決しただけにもかかわらず、号外まで発行した新聞社がある。一体何を考えているんだか。《共同》によれば、検察幹部は「我々は80%有罪でも、20%無罪と思えば起訴しない」との感想をもらしたという。これも笑わせてくれる。

 捜査着手の際は小沢から「国策捜査」とののしられ、反目しあっていた両者が、起訴議決に肩をたたいて慰め合うの図である。

 また不起訴→再度の起訴議決→強制起訴となる公算が高い。でも公判では無罪だろう。職業裁判官が裁くのだから…。

 しかし、起訴されたという事実は思い。政治家にとって疑惑を持たれれば致命傷になりかねない。検察審査会の制度変更が「汚れた政治」の抑止力になるとしたら、これも想定外だろう。

 同じ日、最高裁は18年前の母子放火殺人で死刑判決を受けていた被告の上告審で「高裁判決は事実誤認の疑いがある」と地裁に差し戻す判決を言い渡した。

 大阪地裁では身障者用郵便を悪用した事件で元厚労省局長の共犯とされた被告に「共犯部分は無罪」の判決があった。元局長の公判では出てくる証人が次々と「検察の調書は作文」と調書の任意性を否定している。「検察のシナリオに沿って事件が作られることがある」という批判が白日の下にさらされた。

 さらに同じ日、殺人など最高刑が死刑に該当する犯罪の時効を撤廃する刑訴法改正案が成立、即日施行された。これも異様な対応だ。

 犯罪といっても多種多様? であり、杓子定規で計るようなわけにはいかない。罪と罰の関係もしかりである。「罪なき者、まず石をなげうて」と西洋の神様がおっしゃったとか。

 神なき国・日本では普通の市民に罪の意識などない。だから犯罪者の糾弾に居丈高になれるのだろう。一億総検察官、総裁判官という行き方が、この国に似合っているとは思えないのだが…。
 
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毎日の「金正銀」写真の真偽は?!

2010-04-23 06:14:57 | Weblog
 毎日新聞が20日付け1面トップで報じた特ダネ「金正日と後継者金正銀の2ショット」は誤報だったらしい。近年の毎日は、ときどきとんでもない誤報や虚報を飛ばすので、さもありなんという感じだが、この写真の人物が正銀でなかったとすれば、誤報史に新たな1ページが書き加わることになる。

 《毎日新聞が20日、北朝鮮の金正日総書記の後継者とされているキム・ジョンウン(金正雲。現在は金ジョンウン、金正銀などと表記)氏のものとして報道した写真はキム・ジョンウン氏ではなく、咸北金策製鉄連合企業所の技術者であると韓国中央日報のインターネット版が伝えた。

 北朝鮮中央通信は 3月4日に金正日総書記が金策製鉄訪問した写真を公開した。毎日新聞がキム・ジョンウン氏として報じた人物は、ほかの閣僚たちのような服装や髪型ではなく、金総書記の話を聞く態度もほかの官僚たちと異なるため関心を集めていた。しかし、20代半ばと推測されるキム・ジョンウン氏とは年齢的にも異なるため、韓国の情報当局者はキム・ジョンウン氏ではないと断定しているという。

  キム・ジョンウン氏の写真に関しては2009年6月にもテレビ朝日が韓国の一般人をキキム・ジョンウン氏として報道したこともあり、「日本メディアによる2度目の誤報」と韓国メディアも大きく取り上げている》=searchina=。

 20日から連続して開かれている共同通信と加盟社の会議でも共同編集幹部から「どうも本人とは違うようだ」との説明があったらしい。

 共同は日本のメディアとして唯一ピョンヤンに支局を置いているが、これが全くの役立たず。当局の言い分を垂れ流す装置になってしまっていて、加盟社からは「何のための支局か」と突き上げを食らっている。そんな共同にしてみれば「毎日の誤報」は救われた思いかもしれない。

 通常ならこのクラスの大誤報があれば、他紙やテレビが報じるものだが、今回は音なし。「裏が取れない」ということか。それにしても、「韓国メディアは誤報と指摘している」ぐらいのことは伝えるべきだ。どうも日本のメディアは北朝鮮や韓国の動向になると腰が引けていまっていけない。
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ダブル選挙という無節操

2010-04-19 04:55:33 | Weblog
 鳩山内閣の支持率下落が止まらない。先日の「時事」では23%台、今日の「朝日」は25%といずれも30%ラインを切る危険水域に入ったことを示した。朝日と同じ日程で実施した「毎日」は33%、これも続落だ。

 《朝日新聞社が17、18の両日実施した全国世論調査(電話)によると、鳩山内閣の支持率は25%で前回調査(3月13、14日)の32%から下落し、昨年9月の政権発足以来初めて3割を切った。不支持率は61%(前回47%)に急増した。民主支持率23%(同27%)、参院選比例区の投票先の民主24%(同30%)も低下が止まらず、政権離れ、民主離れが進んでいる》=朝日com=。

 大手メディアは一斉に鳩山降しに走り始めたようだ。月に一度ずつ世論調査を行って「また支持率が低下した」と煽りたてる。自公政権、いやもっと遥か前からの癖だから、これは言い立てても仕方がない。

 それよりも、ここにきて「衆参ダブル選挙」がささやかれているのが気になる。

 《仙谷国家戦略相は16日、TBS番組の収録で、鳩山首相が夏の参院選前に退陣した場合、「ダブル(選挙)を問う可能性があるというか、論理的にはそうなる」と述べ、衆参同日選の可能性に言及した。

 戦略相の発言は、鳩山首相が参院選前に辞任した場合は、衆院を解散して国民に信を問うべきだとの考えを示したものだ。民主党は、自民党が衆院選を伴わずに首相交代を繰り返してきたことを批判してきた経緯があるためだ。

 国家戦略相は、衆院解散にあたっては財政再建を選挙戦の争点にすべきだとの考えを表明した。同時に「1年ごとに首相が代わるのは甚だ具合が悪い。政党政治に対する不信感と絶望感が国民に生まれてくる」と述べ、当面は鳩山首相の続投を支持する考えを強調した》=読売online=。

 5月末までに普天間の決着ができなければ鳩山退陣~はすでに規定路線になりつつある。仙石や菅らの頭の中には「鳩山と小沢をまとめて降ろそう」という考えがありそうだ。

 実際5月末決着が実現しなかった場合、鳩山は総辞職しなければならないのだろうか。こんな首相は早くやめるに限るとは思うが、普天間で引責辞任すべきではない。

 普天間はむしろ米国の問題であって、オバマから「ちゃんとやり通せるのか」などと恫喝されるいわれはない。ここを譲ると、米軍基地問題の解決は永遠に不可能になる。

 でも、鳩山は引きずり降ろされるかもしれない。そうなったら新しい首相を立てればいいだけの話だ。ダブルなど選挙にかまけている余裕はない。ダブル選挙とは、政権交代の可能性があるということだ。今の自民党なら目をつぶっていても勝てると民主党は思っているかもしれない。支持率10%台の政党が、政策もなく互いの欠点を言い募るような選挙から何が生まれるのか。

 民主党は政権交代の重みをしっかり受け止めねばならない。
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鳩山はバカなのか

2010-04-14 06:07:06 | Weblog
 こういう行動を普通は非常識という。核保安サミットの夕食会席上でオバマに普天間飛行場移設問題での協力を「要請」したわが鳩山由紀夫首相のことだ。

 《訪米中の鳩山由紀夫首相は12日夜(日本時間13日午前)、核安全保障サミットの夕食会でオバマ米大統領と隣席に着いて約10分間非公式に会談した。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題に関し、5月末までに決着させると強調すると同時に「沖縄の負担軽減」に理解を求めた。首相は、移設先の具体的地名は挙げなかったと記者団に述べた。

 首相は「沖縄の負担を軽減することは、日米同盟を持続的に発展させるために必要だ」と強調。移設先をめぐり岡田克也外相とルース駐日米大使とで進めている交渉に関し「大統領にも協力願いたい」と要請した。

 今回、日本側が要請した公式な首脳会談を米側が断った経緯に加え、非公式会談もわずか10分間で踏み込んだ内容にならなかったことから、5月決着への道はさらに険しいものとなった。

 首相は会談で「日米同盟が大事で、その中で普天間問題についても努力をしている」と説明。オバマ大統領の発言について、首相は記者団に対し「恐縮だが、大統領がどういう話をしたかは言うべきでない」と紹介を避けた》=共同=。

 米国の大統領に「5月末決着」を約束した以上、鳩山の退路は完全に絶たれた。ところが、「大統領はどう答えたか」との記者団の質問に答える鳩山の顔には笑みが浮かんでいた。出てきた言葉は「私の口から申し上げるわけには参りません」だ。いい反応はなかったのだろう。ホワイトハウスが出した「会談」のコメントにも普天間はなかった。

 サミットの夕食会という儀礼的な席で、「細かな」懸案を持ち出すなど愚の骨頂だ。おそらくオバマは普天間の詳細など知りもしない。

 鳩山がいまオバマに申し入れるべきは、日米安保の再々定義であり日米同盟深化の道筋を話し合うことである。普天間をはじめとする在日米軍基地を巡る諸問題の解はそこからしか導き出せない。

 大本の論議をほうっておいて、実務者がするようなことに首相が熱中する。これではアホというしかない。それともこれが宇宙流なのか。
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裁判員裁判の罪

2010-04-13 05:27:16 | Weblog
 大分県の警察署が強姦致傷事件について、裁判員裁判の対象とならないよう「致傷」を外して送検していたという。被害女性に配慮したためとされるが、こんな恣意的立件が行われては法の下の平等が揺らいでしまう。

 《大分市内で20代女性が性的暴行を受けけがをした事件で、大分県警大分南署が容疑者の男を、強姦(ごうかん)致傷容疑でなく、強姦容疑で逮捕・送検していたことが分かった。強姦致傷で立件すれば裁判員裁判の対象となるため、被害女性が不安を訴えていたという。被害者のプライバシー保護の立場から、同署はあえて強姦致傷での立件を見送った。

 同署は6日、同県杵築市、無職、半沢周二被告(37)=強制わいせつ罪で公判中=を強姦容疑で逮捕し、8日送検した。容疑は昨年9月4日、大分市内の路上を歩いていた同市内のアルバイトの20代女性の体を押さえつけ「騒ぐと殺すぞ」などと脅し、乱暴したとされる。女性は軽傷を負ったという。

 同署は強姦致傷容疑での立件を視野に捜査していたが、被害女性が「裁判員裁判になると、誰が裁判員になるか分からない。声や顔が分からないようにしてくれても不安がある」などと訴えた。

 被害女性は、告訴自体にも難色を示したが、同署の説得で先月、強姦容疑で告訴。裁判員裁判でなければ、最高刑が無期懲役で、強姦より重い強姦致傷容疑による立件を望んでいたという》=毎日JP=。

 強姦は親告罪だ。公判が始まってからこの被害女性が告訴を取り下げれば公訴棄却となる。弁護士が廷外で和解を働きかけることも想定される。事件そのものがうやむやになる可能性さえあるのに、なぜ警察は罪一等を減じるようなまねをしたのか。

 警察だけの判断か、大分地検の指示ないし指導なのか。両者が連絡を取り合っての処分なのだろうが、理解しかねる。

 性犯罪の処断は裁判員裁判にふさわしくないとの指摘は実施前からあった。被害女性がセカンドレイプにさらされる。弁護士が女性裁判員を忌避する可能性が高い~などが主な理由だ。

 上記に類する懸念は、他の事件についても当てはまるのではないか。当ブログは現行の裁判員裁判には反対の立場だ。もし導入するなら行政絡みや汚職など「権力犯罪」こそがふさわしい。
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自民党の勘違い

2010-04-06 05:44:11 | Weblog
 鳩山邦夫が抜け、与謝野馨が飛び足した自民党、その後も園田、鴻池らがぼろぼろと続くことになりそうだ。

 まさに泥舟状態だが、今ごろ本年度予算の仕分けを始めたというからおかしい。

 《自民党は5日、与党時代に開いていた「無駄撲滅プロジェクトチーム」(座長・河野太郎衆院議員)を再開し、先に成立した2010年度予算の政策・事業の「逆仕分け」に着手した。

 初日は「子ども手当の創設」「高速道路無料化の社会実験」「農家への戸別所得補償制度」などの鳩山政権の主要政策について、いずれも「不要」だと結論づけた。

 事業仕分けは、政府の行政刷新会議が昨年秋に実施して脚光を浴びたが、自民党は「我々は与党時代から先に無駄撲滅チームで事業仕分けを進めており、こちらが本家だ」(幹部)と反発。チームを再始動させ、参院選を前に政府・民主党の政策を厳しく精査、批判することにした。

 会合では、河野氏や小野寺五典衆院議員ら中堅・若手議員が、厚生労働、国土交通省などの担当者からヒアリングを実施。子ども手当については「目的も成果の検証方法も明確でない」(河野氏)などの批判が出た。次回会合は6日》=読売ONLINE=。

 何の策もなく予算を“素通り”させておいて、これはない。予算委員会で追及したとか、組み換え動議も出したなどと弁解がましいことをいうようなら話にならない。それは万年野党、共産党あたりが言うことだ。

 もともと自民党は利権集団といっていい。利権というタガがなくなれば、瓦解するしかない。あらためて政策を立て直し、新生自民党として再出発する。それしかない。

 与謝野と平沼の“新党”には何も期待できない。水と油ほど政策や世界観が違う両者が、どんな理念を打ち出せるのか。まあ、木に竹を継いだようなものになることはまちがいない。
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