酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

毎日は共同加盟でどうなる

2009-11-26 21:39:57 | Weblog
 かねて噂になっていた毎日新聞の共同通信加盟が正式に発表された。

 《毎日新聞社と共同通信社、共同通信社加盟社は26日、記者会見を行い、記事配信などをめぐって包括提携することを明らかにした。包括提携の大きな柱は毎日新聞社が(1)各県を拠点とする共同加盟社の一部から地方版記事配信の協力を受ける(2)共同通信社に加盟する--など。官公庁や企業の発表記事などを中心に、両者から記事配信を受けることにより、本社の記者は独自の視点で取材を進め、強みとしてきた調査報道や解説記事をより充実させる。

 会見したのは、朝比奈豊・毎日新聞社社長、石川聡・共同通信社社長、同社理事会長の多田昭重・西日本新聞社会長の3人。新聞社が通信社に加盟して配信記事を活用するだけでなく、共同通信社加盟の新聞社と記事配信などで協力関係を作るのは画期的。3者はメディア再構築へ向け、緊密に協力することになる。本社は全国紙として支局ネットワークと地域面の枠組みを堅持しながら、独自の取材を展開する環境を整える。

 また、3者によるキャンペーンの展開やシンポジウムの開催、各社の論説委員による対談、また同じテーマでの合同企画など、これまでにない試みや協力を進めることも明らかにした》=毎日jp=。

 実売部数が200万部台と推定される毎日新聞は、もはや全国紙の体をなしていない。県によっては1000部などというところもあるからだ。こうした地方でも支局を維持し、人を貼り付けているのは全国紙としてのプライドを捨てられないからだ。

 でも、これも限界にきたということだ。共同加盟は苦渋の選択である。ところが、《新聞社が通信社に加盟して配信記事を活用するだけでなく、共同通信社加盟の新聞社と記事配信などで協力関係を作るのは画期的》などと書かねばならない。一体どこが画期的なのか。この期に及んで「見栄」を張っても仕方あるまいに…。

 双方の経営面に寄与することは間違いない。

 まず、毎日側。国内の弱小支局は廃止ないし縮小されることになろう。東北、北陸、山陰、四国、九州などが対象となる。《支局ネットワークと地域面の枠組みを堅持》は「当面」の語句を補足して読むべきだ。支局は残ったとしても、今の陣容ではない。通信部並みの支局も出てくるだろう。海外の特派員も大幅に減らされる。証券など市況関係、スポーツ記録、その他定型的な紙面の合理化もできる。人員を含めてかなりにリストラになる。

 共同はどうか。加盟社の経営難から負担金の減額が続いているらしい。毎日の加盟によって、これまでに減った以上の金が入ってくる。負担金は部数比例方式だというから、数十億単位が見込まれる。

 経営にメリットがあるからといって、万々歳ということにはならない。何よりメディアとしての機能向上が図れないどころか、かえっていびつになりそうだからだ。

 毎日が「毎日新聞」の題字を維持し、全国紙として振る舞う限り、地方紙への記事配信はきわめて難しい。その逆はなおさらである。一部とはいえ同じ記事が載っている新聞が、同じ地域で並立すると考えているとしたら甘い。

 毎日が目指すべきは東京・大阪地方紙に特化することだ。これなら地方紙とのバッティングもない。東京新聞はいやな顔をするだろうが、現状と同じと思えば我慢できよう。

 それにしても《官公庁や企業の発表記事などを中心に、両者から記事配信を受けることにより、本社の記者は独自の視点で取材を進め、強みとしてきた調査報道や解説記事をより充実させる》とは泣かせるせりふだ。そうなることを祈りたいが、ベクトルは逆だろう。独自の視点を持った連中の脱出が加速するのではないか。「共同傘下の毎日に未来はない」と見切りをつけて…。

 
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アンリのハンドを考える

2009-11-25 06:06:38 | Weblog
 2010年サッカーW杯に出場する32チームが決まったが、フランスvsアイルランド戦でのアンリの「ハンド」が大騒動を巻き起こしている。試合からもう1週間がたつが、騒ぎは大きくなる一方のようだ。

 一報はこんなスタートである。

 《延長戦の末、フランスに屈したアイルランド。終了の笛が鳴ると、選手はピッチの上に力尽きるように横たわった。
 アウェーで持ち前の粘りを存分に発揮した。前半32分に、ワンツーで左サイドを抜けたダフの折り返しを、キーン主将が右足で合わせ、先制点。2戦合計で試合を振り出しに戻した。しかし、延長前半に悪夢の場面。フランスの決勝点の直前に、アンリのハンドがあったが、主審の笛は鳴らなかった。
 イタリア人のトラパットーニ監督は、「落胆すると同時に悲しい。PK決着になる試合だった」。だが、健闘したものの、2試合を通じてゴール前の決定力不足は明らかだった。不運ではあったが、そこが最後の差を分けた》=18日時事=。

 競技場内でけりをつけるべき事柄に、政治が口を出してくるとこうなる。アイルランド首相のカウエンは翌19日、「フェアプレーはスポーツの基本」としたうえで政府として再試合を求めると息巻いた。押され気味のサルコジは「私は審判の役割を求められても…」と防戦しきりだったという(共同)。

 ビデオを見ると、アンリのハンドは疑いようがない。故意に「左手でトラップ」したようにも見える。でも、一人の審判もこのシーンを見ていなかった。

 スポーツとはそういうものではないか。審判が認定しなければ「あった事実」も「ない」のだ。審判の目を盗んでファールをするのはどんな競技でも当たり前になっている。問題はその悪質さや危険性である。

 ハンドは良くある反則だ。しかし、手に当てた選手が自分からハンドを申告したケースなど目撃したことがない。大抵は手を上に上げるか横に広げて振り、「当たってないよ」とアピールしている。

 フランスのテレビ局のアンケートでは81%が「フランスはW杯に出場する資格がない」と答えているという(ロケットニュース)。かつてW杯を制したとき、「国家も歌えない連中が」と評したお国柄である。もし、これがアンリではなく生粋のフランス人の行為だったらどうだったか。

 神の手があれば、仏の手もある。それがサッカー。誤審も楽しむぐらいの度量がなくてはつまらない。
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金賢姫

2009-11-21 20:53:23 | Weblog
 19日のNHKは「金賢姫」単独インタビューを大々的に報じていた。なかなか興味深い内容だったので、あらためて確認しようとネットで検索したが、アップされていない。どうして…。

 映像の金は、47歳にしては若く見えた。相変わらず芝居がうまく、何が本心かは分からなかった。横田さんをはじめとする拉致被害者は、金の証言に期待する向きが多いようだが、そうだろうか。

 筋金入りの工作員で、115人が殺された大韓航空機爆破事件の実行犯であることはあまりにも有名だ。韓国の裁判でで死刑が確定したものの、政治的な理由で刑を免除されている。常に政治の動きに翻弄されて(合わせて)生きてきた女である。こういう人物の「証言」には頼りたくない。

 今年3月の飯塚耕一郎との面会シーンを思い出す。北朝鮮で知り合いだった田口八重子さんの息子とはいえ、あの抱擁は不自然だった。金は演じる女なのだと感じた。彼女に関する情報は乏しく、現在のポジションは不明だ。韓国の公安当局がコントロールしているのだろうが、NHKと接触させた意図が分からない。

 「日本に行って横田さんらにすべてを話したい」という金証言について、中井公安委員長がいいことを言っている。「大事なのは現在がどうかということだ」。金の来日には肯定的な見解を述べていたが、話す内容に期待しないという態度は正しいのではないか。

 金の再登場は死刑制度を考える上でも参考になる。死人に口なしの意味を深く考えたい。

 
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緊迫国会と小・鳩の資金疑惑

2009-11-20 05:05:38 | Weblog
 19日付けの毎日と共同加盟地方紙に小沢一郎に絡むカネの疑惑が報じられた。特に毎日の「秘書給与の寄付強要」問題は深刻な内容で、小沢はともかく、当該の青木愛は進退を問われるところまで行きそうだ。

  《民主党の青木愛衆院議員(東京12区)の複数の公設秘書経験者が「小沢一郎幹事長の秘書から、秘書給与の一部を青木氏の政治団体へ寄付するよう強要された」と毎日新聞の取材に証言した。国会議員秘書給与法は、公設秘書への寄付の勧誘や要求を禁じている。

 証言した1人は、青木氏が参院議員だった08年4月から公設秘書に採用された。この元公設秘書によると、採用決定後、小沢氏の政策秘書から、国から支給される秘書給与の一部を青木氏の政治団体に寄付するよう求められた。小沢氏の政策秘書は、青木氏の事務所運営を実質的に取り仕切っていたという。

 求めに従い、元公設秘書は青木氏が代表だった「民主党参議院比例区第58総支部」に同月から10万円を寄付した。だが、次の月から小沢氏の政策秘書や青木氏に断らず寄付額を6万円に減額。小沢氏の政策秘書とトラブルになり、4カ月後に青木氏の事務所を辞めたという。元公設秘書は「正直言って『強制』です。献金する気はなかったが(秘書就任の)話がまとまった後に『実は』という話になって。それをけったら『辞めてくれ』ですから」と話した》=毎日jp=。

 《民主党の小沢一郎幹事長側に、重機械土木大手「水谷建設」(三重県桑名市)の関係者が「2004~05年、計1億円の現金を渡した」と東京地検特捜部の調べに供述していることが18日、分かった。この関係者を含む複数が共同通信の取材に対し認めた。

 小沢氏関連政治団体の04、05年の政治資金収支報告書には、該当する寄付などの記載は見当たらず、供述通りなら、献金の不記載などを禁じた政治資金規正法に抵触する可能性が浮上。裏献金の疑いもあり、特捜部は慎重に捜査している》=共同=。

 臨時国会は中小企業金融円滑化法案がきょう未明、衆院本会議で強行可決され、一気に緊迫してきた。

 時事によれば、《民主党が強気の戦略へとかじを切ったのは、国会運営の実権を握る小沢一郎幹事長が先週の段階で、「会期末までにきちっと法律を仕上げるのがあなたたちの務めだ」と国対幹部に指示したためだ。山岡賢次国対委員長は当初、徹底審議を求める野党に配慮して会期延長も視野に入れていたが、方針転換を余儀なくされた》のだという。

 小沢が採決を急がせた背景に何があったのだろう。自身やその周辺の「金権疑惑」で新たな展開がありそうだと読んだのではないか。「鳩山の故人献金問題と合わせて国会で追及されるのはたまらん」。そう考えたとしても不思議ではない。

 それでは、これらの疑惑捜査でも新たな進展があるのだろうか。そうはならないというのが第一感だ。自分らではできないからこそ、メディアにリークして埃を立てたがっているのではないか。じたばた騒げば、ぼろも出やすい。

 検察はしばらくは政権の安定度と捜査の進め方を天秤にかけることになる。予算や取調べ可視化もにらみながら、政権との間合いを計っていると思われる。

 民主党が強行採決したと憤る向きもあるが、しょせん小沢や鳩山は自民党崩れでしかない。政治や国会はまだ何も変わっていないということだ。

 

 
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小沢一郎の無駄口

2009-11-17 05:42:47 | Weblog
 記者会見は好きではないという民主党の小沢一郎幹事長だが、大組織のトップに会って話を合わせるのは得意のようだ。かつて、連合の山岸と意気投合したのは有名だ。いまは日医や農協などとの腹合わせに余念がない。宗教界もその例外ではないらしく、このほど高野山詣で。以下の発言で仏教を持ち上げた。

 《民主党の小沢一郎幹事長は10日、和歌山県高野町で全日本仏教会の松長有慶会長と会談後、記者団に宗教観を披露した。この中で小沢氏はキリスト教に対し「排他的で独善的な宗教だ。キリスト教を背景とした欧米社会は行き詰まっている」との見解を表明。イスラム教については「キリスト教よりましだが、イスラム教も排他的だ」と述べた。

 国政に影響力を持つ与党の実力者による批判発言だけに、波紋を広げる可能性がある。

 一方、仏教に関しては「現代社会は日本人の心を忘れたり見失っている。仏教は人間としての生きざまや心の持ちようを原点から教えてくれる」と称賛した》=共同=。

 全仏は全国の寺の9割を組織するといわれる既成仏教の大元締め。とはいっても実際に信者を組織しているのではないため、集票力は極めて限定的だろう。こんなところでも、媚を売るのが小沢流か。要は「とにかく味方を増やせ」である。

 とはいえ、この発言は最悪だ。一国のリーダーとしては失格である。もっとも小沢は首相などにはなる気はあるまい。「党の幹事長ならこの程度の発言は許される」という読みもあるだろう。それにしても、センスがない。

 仏教の素晴らしさを説く分には、害にならない。だが、キリスト教やイスラム教を「排他的」とけなすのは世界観が狭すぎる。そういう小沢の政治手法や言動は、包容力とはほど遠い。天に唾するとはこのことだ。

 案の定、キリスト教団体などから抗議がきた。小沢先生答えていわく。

 《 民主党の小沢一郎幹事長が16日の記者会見で、仏教観と文明観を改めて披露した。

 10日に和歌山県の高野山金剛峯寺を訪れた際に、キリスト教を「排他的」「独善的」と指摘。これに対し、「日本キリスト教連合会」が「キリスト教に対する一面的理解に基づく、それこそ『排他的』で『独善的』な発言」と抗議文を送っている。

 これを受けて小沢氏は16日、「(仏教の世界観では)生きながら仏にもなれるし、死ねば皆、仏様。ほかの宗教で、みんな神様になれるところがあるか。根本的な宗教哲学と人生観の違いを述べた」と説明。さらに、エベレストに挑んだ登山家の「そこに山があるから」という発言を引用し「西洋文明は自然も人間のために存在する考え方。(エベレストの)地元では霊峰としてあがめられて、征服しようという考え方はアジア人にはほとんどない」と語り、西洋思想は人間中心だが、東洋思想は人間が自然の一部だと強調。最後は「僕も君も、死にゃ仏になれるんだ、だから」と締めくくった》=朝日com=。

 「改めて文明観披露」。朝日の見出しは嫌味たっぷりだ。本当に小沢は「死にゃ仏になれる」などと思っているのだろうか。「いわんや悪人おや」。なるほどね。
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茂木健一郎の頭の中

2009-11-11 05:34:57 | Weblog
 脳科学者の頭の中に「納税」の2文字はなかったということだ。テレビでも人気の茂木健一郎が、3年以上にわたってまったく所得を申告していなかった事実が、読売新聞のスクープで明らかになった。

《脳科学者の茂木健一郎氏(47)が東京国税局の税務調査を受け、2008年までの3年間で約4億円の所得の申告漏れを指摘されていたことがわかった。

 3年間に著書の印税や講演料、テレビの出演料などの収入があったが、一切申告していなかった。無申告加算税を含む所得税の追徴税額は1億数千万円に上るという。茂木氏は期限後申告に応じて、既に無申告分の納税を済ませ、近く無申告加算税分も納付するとしている。

 茂木氏の説明などによると、茂木氏は06~08年、「ソニーコンピュータサイエンス研究所」(東京)のシニアリサーチャー(上席研究員)としての年間約1000万円の給与所得のほか、著書の印税やテレビの出演料、企業や大学などの講演会の講演料など4億円近い雑所得があった。

 茂木氏は、給与所得と雑所得を合算して納税額を確定させ、居住地の税務署に確定申告する必要があったが、06年から08年まで全く申告を行わず、源泉徴収分を除いた所得税1億数千万円を納税していなかった。銀行には数億円の預金があったという》=読売ONLINE=。

 茂木は読売の読書欄「空想書店」の11月店長である。8日「『生の哲学』こそ脳を育む」のタイトルで先生はこうおっしゃる。
 「脳は、生きる上で直面するさまざまな状況に適応するため進化してきた。パズルやドリルは適応の手助けにはなっても、決め手にはならない。多様な課題こそが、脳を育むのである」

 お説ごもっともだが、「忙しくて税の申告もできなかった」という弁解と読み比べると笑える。茂木先生の脳は「多様な課題」に対応しきれなかったことになる。

 「申告する暇がなかった」「知り合いの税理士もいないし、税理士に頼む暇もなかった」。
いやー、見事な天然ぼけぶりですね。「預金のトータルな残高は知っているが、年収は把握していない」の発言と合わせると、浮世離れが際だつ。世事に疎いことが斬新な発想やピュアな感覚につながったとも思える。

 学者馬鹿の一類型と言えなくもない。こういう人がいてもいいが、発言は専門分野に限定した方がいいだろう。下手な人生訓を垂れると、跳ねっ返りにまみれることになる。ちなみに、先生は8日付けの最後をこう締めくくる。

「脳や人生を割り切って、効率だけを追及する昨今の世相。現代の日本人は「生の哲学」を見失っているように見えてならない」

「哲学」より先に「一人の社会人」としての常識を身につけてほしい。「仕事の流儀」にしても同じことである。
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松井MVP、 でも放出?

2009-11-06 06:02:55 | Weblog
 松井秀喜がワールドシリーズMVPに輝いた。6試合で3本塁打8打点。ヤンキースの優勝を決めた第6戦はチーム7得点中6点をたたき出す大活躍だったから、誰もが納得の受賞だろう。

 《米大リーグのワールドシリーズで4日(日本時間5日)、13打数8安打8打点3本塁打と活躍した松井秀が、ワールドシリーズのMVPに決まった。松井秀は第6戦でも1本塁打6打点と大活躍し、ヤンキースを9年ぶりの優勝に導いた。MVPは日本人初。

 松井秀は5番指名打者で4試合ぶりに先発したこの試合、第1打席で2ランを放つと、第2、第3打席連続で2点タイムりーと6打点の大活躍を見せた》=毎日jp=。

 安打記録の更新を続けるイチローとはタイプが違うが、松井も天才だ。共通するのはひたむきな努力。求道者的な雰囲気も似ている。

 マリナーズである意味超然として打席に入れるイチローと「ヤンキース・アズ・no1」という国粋主義的重圧を受け続ける松井とでは、受けるプレッシャーがかなり違う。それがどれほどのものかは、今年のWBCでイチローが神経性胃潰瘍になったことでもよく分かる。

 松井は大一番に強いタイプかもしれない。同時に好不調の波も大きい。形で打つ打者だからだろう。王もそうだった。両膝に爆弾を抱える松井は、体調にも大きく左右されるはずだ。

 8月から9月の半ばまでは絶好調。その後やや調子を落とし、ポストシーズンで再点火した。今年は4年契約の最後の年であり、アピールする思いもあったのは間違いない。

 で、松井の今後の動向である。

 《【ニューヨーク共同】米大リーグ、ヤンキースのブライアン・キャッシュマン・ゼネラルマネジャー(GM)は4日、今季で4年契約が終わる松井秀喜外野手について「素晴らしい働きをしてくれた」としながらも、契約については「まだ何も決まっていない。球団にとって最良の決断をしたい」と話すにとどめ、再契約の意向は明言しなかった》。

 共同の別記事はUSAトゥデーに載ったGMのこんな言葉を紹介している。「彼は日本で最後のシーズンに優勝した。今回も我々とともに頂点に立てて本当によかった」。放出を示唆した言葉と受け止めていいのではないか。

 満身創痍ともいえる松井は、ここ2、3年がピークだろう。あの状態では守るのは難しいかもしれない。仮に守れたとしても、ひざの負担を考えれば4勤1休ぐらいがいいところだ。「ヤンキースは指名打者専門の強打者を必要としない」。MLBのHPに載った辛口のコメントだという。

 ワールドシリーズMVPという、これ以上ない勲章を手に入れた。次は本塁打を打つことだけに絞って挑戦してもいいのではないか。DHがあるア・リーグの他球団に移籍するのも悪くない。マリナーズはどうだ。

 巨人~ヤンキースと常勝軍団を歩いてきた松井は「勝つこと」がモチベーションになっている。所属球団にはこだわりもあるだろう。紅白ソックス、タイガース、エンゼルス、ツインズまでが許容範囲か。ピンストライプにこだわれば、引退の文字がぼんやり浮かんでくる。

 45本で本塁打王。狙えばできないことはないと思ったりするのだが…。 

 
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