酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「天皇」ってほんと難しい

2016-09-25 16:23:32 | テレビ
 さる8月、天皇が国民に向けたビデオメッセージで「生前退位」の意向をにじませる考えを表明したことを受け、ようやく政府が動き出した。「有識者会議」を設置して「静かに議論」するのだという。どんなお方が-と顔ぶれを見てがっかりというか、げんなりというか…。憲法や天皇制を専門にした識者はゼロ、いつかどこかで見たような人々で固めた〝お友達会議〟というのがふさわしい。

《政府は23日午前、天皇陛下の「生前退位」を検討する有識者会議のメンバーに経団連の今井敬名誉会長や東大の御厨貴名誉教授ら6人を起用すると発表した。会議の設置は同日付で、10月中旬にも初会合を開く。政府は今の天皇に限り退位を認める特例法での対応を軸に、早ければ来年の通常国会での法整備を目指しており、有識者会議で議論を本格化させる。

 会議の名称は「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」で、安倍晋三首相が開催する。メンバーはほかに上智大大学院の小幡純子教授、慶応義塾の清家篤塾長、千葉商科大の宮崎緑教授、東大の山内昌之名誉教授。会議では憲法や皇室制度に精通した外部の専門家からも意見を聴き、提言を取りまとめる。事務局は内閣官房皇室典範改正準備室が担う。

 菅義偉官房長官は23日の閣議後の記者会見で「今上陛下がご高齢であることを踏まえ、公務の負担軽減などについて予断を持つことなく静かに議論したい」と強調。有識者会議については「憲法上、天皇の地位は国民の総意に基づくとされていることを踏まえ、高い識見を有する方々に国民の幅広い意見を反映した提言を取りまとめてもらう」と語った。

 提言時期については「いたずらに対応を先延ばしするものではない。はじめにスケジュールありきではなく会議の議論の中で考えてもらう」と述べるにとどめた。有識者会議の議論の方向性がまとまった段階で、与野党を交えて議論する必要があるとの認識も示した。

 首相は26日の臨時国会召集日に実施する所信表明演説で、有識者会議で議論を深める考えを示す見通し。生前退位を巡る議論については18日に羽田空港で記者団に「期限ありきではなく、静かにまずは様々な方々からお話を伺いたい」と述べた》=24日・日経Web=。

 だいたい、会議の名称からして逃げ腰だ。「公務の負担軽減等に関する…」-生前退位を前面に据えなくてどうする。「陛下のお言葉を受けて、生前退位の検討~立法化となると憲法に抵触する恐れがある」と考えてのことだろうが、こんなことでまともな議論ができるわけがない。

 この会議にはもっと大胆な議論を求めたい。例えば憲法第一条の「国民の総意」とは何かといったことについてである。憲法改正に熱心な安倍首相のことである。第一条からきちんと考えてみようではないか。

 とはいえ、宮崎緑さんらがそのような本質的な問題について侃々諤々やりあうということはないだろう。結局、官邸と宮内庁の合作による答申に終わるのがおちだ。
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パラリンピック考

2016-09-21 09:23:04 | スポーツ
 リオパラリンピックが閉幕しました。NHKが頑張って中継してくれたおかげで、様々な種目を堪能できました。目の見えないスイマーの豪快な飛び込み、浮遊感がすごい走り幅跳び…。オリンピックとはまた違った魅力がたっぷりでした。

 今大会、金メダル10個を目指した日本は、メダル総数こそ前回を上回ったものの金はゼロ。各メディアは「強化に遅れ」「指導者不足が顕著」などと警鐘を鳴らしています。

 《18日に閉幕したリオデジャネイロ・パラリンピックで日本勢は金メダルがゼロに終わった。前回ロンドン大会を上回る24個のメダルを獲得したが、「金ゼロ」は夏季大会では初めて。障害者スポーツ界で何が起きているのか。
 競泳男子の木村敬一(26)が目に涙をにじませた。金メダルが期待されていた14日の100メートルバタフライ(視覚障害)決勝。0秒19差で2位になり、「負けた以上、悔いが残らないことはない。死ぬまでモヤモヤする」と絞り出した。17日にあった陸上男子走り幅跳び(切断など)では、山本篤(34)が8センチ差の2位に終わった。
 日本は、24個のメダルを獲得した。前回のロンドン大会の金5を含む計16個を上回ったが、今大会の金メダルはゼロ。1964年東京大会に参加して以来、夏季パラリンピック史上初めての事態となった》=9月20日朝日Web。

 パラ五輪もスポーツである以上、成績を重視するのはある意味当然でしょう。しかし、メダル獲得競争が加熱するのは感心しません。某大国のように国を挙げての強化、強化の行き着く先を考えると少し寂しくなります。

 障害の程度によるクラス分けも細分化しすぎていて、分かりにくい。両足義足の人と機能マヒの人が同じクラスで走るのは何か変です。腕を失った人のレースを見ていると、両手がない人、肘から下がない人、肩からない人などいろんな人が競っていました。どう考えてもハンディは違う。車椅子でトラックを走るもの制約が多過ぎる感じです。

 パラ五輪の参加者は、装具などの習熟に時間がかかるせいか、ベテランが多い。4度目、5度目という人も珍しくない。もともと競技層が薄いのですから、これは仕方ないことかもしれません。とはいえ、「これまで獲得した金メダル10数個」などというのは正常とは思えません。

 用具が勝負を決めてしまうような側面もあるといいます。これでは途上国の選手は太刀打ちできません。

 パラ競技の用具の研究、装着した場合の有利不利をさらに徹底的に追求し、トップの選手は五輪で競うのがベストでしょう。陸上100mなどを見ていると、両足義足の選手の終盤の加速力は目を見張ります。直線200mのレースがあれば、ボルトを負かしてしまうかもしれません。

 パラリンピックは障害者でもスポーツで輝ける-と訴えています。輝くのは勝者だけではありません。幾多の困難を克服して競技に打ち込む、その姿が輝いているのです。メダル争いだけに固執するのではなく、「参加することに意義がある」大会にしてほしいと思います。

 

 
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