酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

全日空、JRのトラブル

2008-09-29 06:24:35 | Weblog
 JRの上越、東北、長野各新幹線が信号トラブルの影響でほぼ半日停まった。日曜の朝、多くの旅行客が予定を狂わされたことだろう。

 車両センターのコンピューターに不具合が起きたらしいが、詳しい原因は分かっていない。 



 《28日午前8時7分ごろ、東北新幹線上野-大宮駅間で、信号が停止を示したまま変わらなくなり、東北、上越、長野の各新幹線が全線で運転を見合わせた。約4時間後に再開したが、上下76本が運休、上下42本が最大4時間52分遅れ、約6万8500人に影響が出た。

  東京新幹線車両センター(同)に設置された信号の切り替えを制御するシステムが故障しており、同社は原因を調べている》=毎日電子版=


 交通がらみのシステムトラブルは、つい先日全日空の予約システムがダウンし、大量の運休便を出したばかりだ。陸と空の幹線を担う両社にトラブルが相次いだ。政治だけでなく、企業も劣化している証拠ではないかと心配になる。


 《全日空の国内線予約システムにトラブルが発生し同社便など計63便が欠航した問題で、同社は18日、空港カウンターの端末の暗号を管理するサーバーの機能が使用期限切れになったのが原因だったと発表した。同社は山元峯生社長が報酬1カ月分の50%を返上するなど幹部10人を減俸処分とした》=日経電子版=

 全日空のトラブルは信じられないほどの単純ミスだ。導入後3年で暗号期限が切れるのを忘れていたとはどういうことなのか。

 発券に絡むミスでよかったというべきかも知れない。少なくとも安全面での心配はないからだ。だが、管制や運航でトラブルに見舞われないとも限らない。ハッカーの侵入もあり得る。


 JRでも同じことだ。信号トラブルで停止したから良かったようなものの、誤った信号を流して、追突や衝突を誘発するケースも想定しうる。コンピューター制御を導入してから、かなりの年数が経過している。システムの全面見直しとトラブル防止策に取り組まないと、とんでもないことになる。


 機械任せでは困るのだ。

 
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法科大学院縮小へ

2008-09-27 16:21:35 | Weblog
 また文部科学省の余計なおせっかいが始まった。法科大学院全体の規模を縮小し、司法試験合格率などが芳しくない大学院に定員削減を促す方針らしい。

 《法科大学院のあり方を検討している中央教育審議会の法科大学院特別委員会は、30日に公表する中間まとめで「法科大学院全体の規模を縮小すべきだ」と提言する方針を固めた。新司法試験の合格率低迷や志願者数減少が続く大学院には、自主的な定員見直しを要望。入学時の適性試験に合格最低ラインを設け、学生の質を担保することも盛り込む。国の諮問機関が法科大学院の規模縮小を提言するのは初めてで、再編統合が加速しそうだ。

 法科大学院74校の入学定員は約5800人。中教審や文部科学省は、大学院の自発的な取り組みでは、教育内容や学生の質の保証が難しいと判断し、より直接的に大学院に働きかけることにした》=毎日電子版=



 この提言のミソは後段の「自発的取り組みでは改善は難しい」と判断した点にある。雨後の筍のような乱立を認めた責任を棚上げにして、今度は強制的に定員を絞れという。こうなることは設立時から予想されていた。その時点で適切な指導を行っていればこんな措置は不要のはずだ。


 私立大学の新設についても同様だ。1980年代の半ばから、今日の「全入化」は予見されていた。当時の文部省担当官は「これからの設置審査は厳しくなる。ただ創りたいだけでは認められないだろう」と話していた。ところが90年代になっても21世紀になってもどんどん新設を認可した。

 
 大学新設は文科省官僚の腕の見せ所だ。新設事務局などに入り込み、事務を一手に取り仕切る。上手くいけば新設後には事務局長などに居座れるかもしれない。オーバードクター対策もある。というわけで、誰もが創るべきではないと認識していながら、次々と大学ができた。公共事業と大学は同じ論理でつくられているのだ。


 法科大学院は自然淘汰に任せればいい。何年たっても合格者を出せないようなところは消え去るのみだ。文科省が口を出すまでもない。合格ラインを文科省が決めるなどもってのほかである。入学者も選べない大学院でどうするのか。


 法科大学院の問題は、文科省マターではなく法務省マターだろう。法曹の数と質をどう確保するかは、司法制度の問題である。大学院の合併話や定員切り下げに絡んで、文部官僚が暗躍するのではたまらない。


 質の悪い大学院で迷惑しているのは学生だが、「入りさえすれば司法試験に受かる」など考えてはいなかっただろうか。悪徳商法に引っ掛かったようなものだと諦めるか、必死で勉強するか。二つに一つだ。


 
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王さんご苦労様でした

2008-09-25 05:55:26 | Weblog
 福岡ソフトバンクの王貞治監督が今季限りでの引退を表明した。胃の摘出手術を受けてからは、頬が一段とこけて見るからに「無理をしているなあ」という印象だった。


 眉間にしわを寄せた厳しい顔は努力の人にふさわしいが、満面の笑みはワンちゃんらしく素晴らしい。思うに任せない体調ではこの破顔は望めない。ゆっくり休んでもらった方がいい。長い間ご苦労様でした。


 王も長島も監督としての評価は選手育成に尽きる。信じて使い続ければ選手は伸びる。天才型の長島は選手を見限るのも早かった。センスを見抜く目は持っているのだが、我慢が足りない。そこへいくと、王は辛抱強かった。自身がバットを振り抜いて一本足打法を見に付けたように、「努力に勝る天才なし」という気持ちで選手に接していたのだろう。この点でもONは対照的だ。


 王引退を報じる各紙にナベツネ氏のコメントが見えない。WBCやら色々あるのにどうしたことか。前日のスポニチには「WBCは王総監督体制で」と示唆する記事が載っていた。それも駄目になって「何も言わん」と怒ったわけでもないだろうが…。


 《巨人・渡辺恒雄球団会長が22日、来季以降の原監督続投を示唆した。最大13ゲーム差を追い付き首位に立ち、この日は19年ぶりの11連勝を達成した。「(原監督は)最近いいんじゃない。さえている。(来季も指揮?)もちろん、そりゃそうよ。ほかにいない。まだクライマックスシリーズ、日本シリーズあるから、勝つか勝たんかだけど、クライマックスが終わったあとぐらいにははっきりする」と上機嫌で話した。

 また渡辺会長はWBCの監督をソフトバンク王監督が固辞している点にも言及。「健康上の問題だろ。頭が痛い。現場の監督は誰か選ばなくちゃいけないから、ワンちゃんに決めてもらえばいい」と、加藤コミッショナーの王監督の“総監督”プランに賛同した》=スポニチ電子版=



 勝てば官軍ですか。それとも単なる老人性健忘症? 麻生政権の人事を楽しむほどの御仁なのだから、もう少し発言に一貫性を持ってもらわないと庶民はまごついてしまう。原のことを去年はなんと言っていたのか。


 クライマックス・シリーズで中日に負けたときは「原は頭が悪い」と正直に述べている。「これは作戦ミスだよ。作戦ミスが3日続けば負けるんだ。ベンチワークが敗因? それもある。あいつがしっかりしてるんだよ、落合が。落合の方が頭が良かったんじゃないかな」


 さすが新聞界のドン、切り替えが早いですねえ。衆院選で麻生自民党が惨敗したときも、気の利いたコメントをお願いしたい。っていうか、そろそろ隠居して風流人でも目指されてはいかがでしょう。
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2世内閣=偽内閣?

2008-09-24 03:59:31 | Weblog
 きょう戦後第30代首相に麻生太郎氏が就任する。おそらくは戦後最短命の政権となるだろう。10月3日解散はまだ消えていない。そうなれば10日天下だ。戦後のどさくさに発足した東久邇稔彦内閣でさえ54日もった。羽田孜64日、病気が悪化して退いた石橋湛山は65日。遅くとも10月中旬ごろまでの解散が確実視されており、麻生政権は1カ月弱のはかない命に終わるのではないか。


 そのことを裏付ける?のが閣僚候補の顔触れだ。2世、3世議員のオンパレード、ひ弱さは隠しようがない。こんな手勢を率いて決戦に臨もうとする麻生は、結局のところ国民の不満が分かっていないというべきか。


 《自民党の麻生太郎総裁(68)は24日召集の臨時国会で第92代、59人目の首相に指名され、同日中に新内閣を発足させる。

 新内閣の閣僚人事は、外相には中曽根弘文元文相(62)=参院、財務相には、中川昭一元政調会長(55)を充てる方向で最終調整をしている。官房長官には河村建夫元文部科学相(65)の起用が決まった。

 二階俊博経済産業相(69)、野田聖子消費者行政担当相(48)、与謝野馨経済財政担当相(70)、舛添要一厚生労働相(59)、公明党の斉藤鉄夫環境相(56)の5閣僚の再任も内定した。石破茂前防衛相(51)は農相に充てる。総裁選で麻生陣営の選対本部長を務めた鳩山邦夫前法相(60)は法相、甘利明前経産相(59)は総務相での再入閣がそれぞれ濃厚となっている。防衛相には浜田靖一元防衛副長官(52)が浮上している》=毎日電子版=


 党3役は幹事長が細吉つぁんのせがれ、政調会長は旧佐藤派の大番頭だった保利茂の子供、総務会長はドン笹川家の尭だ。幹事長が麻生から細田に変わっただけだから、もともと2世布陣か。

 外相には大勲位のご子息・弘文、前任の高村も2世だ。財務相も2世伊吹からヒグマ2世の中川昭一へ、官房長官は2世町村から親父が県議だった河村建夫に代わる。町村vs河村は2世度で町村の勝ち?

 留任する二階、野田も2世だ。

 辞任した太田農相の後釜は2世の石破茂、2世保岡の後の法相は4世鳩山邦夫、総務相に横滑りが伝えられる甘利も2世、防衛相は2世林から同じく2世、ハマコーのせがれに代わるらしい。


 よく見たら福田政権も同じような世襲内閣だった。これらの方々はお家の大事、御身大切を第一にしている。首相を支えようなどという気はほとんどない。福田が政権を投げ出した大きな理由は、深い孤立感ではなかったかと想像している。


 麻生は福田よりさらにプライドが高い。孤高というかお山の大将、裸の王様になる可能性が濃厚だ。もっとも、そこまでぼろを出さないうちに、衆院選で大敗して、「はい、さよなら」となるのだろうが…。


 きょうの組閣、何人の2世、3世が麻生5世内閣のひな壇に並ぶのだろうか。楽しみでもあり、恐くもある。
 
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麻生氏圧勝という名の惨敗

2008-09-23 06:34:00 | Weblog
 自民党総裁選は予想通り麻生太郎が圧勝した。地方票は95%を握り、他の候補は石破が4票、与謝野が2票、石原が1票、女性の挑戦として注目された小池にいたっては0票というありさまだった。

 議員票はこれよりは分散したが、最多の与謝野でも66票にとどまり、217票の麻生の3分の1にも達しなかった。

 《自民党は22日午後、党本部で両院議員総会を開き、党所属国会議員と各都道府県連代表による投票の結果、麻生太郎幹事長(68)を第23代総裁に選出した。過去最多の5氏で争われた総裁選は、1回目の投票で麻生氏が全体の7割近い351票を集めて圧勝し、福田康夫首相(72)の後継の新総裁に選ばれた。麻生氏は、内閣の要である官房長官に伊吹派の河村建夫元文部科学相(65)起用で最終調整に入った。また農相には、総裁選に立候補した石破茂前防衛相(51)を充てる方向。中川昭一元政調会長(55)の入閣も有力となった》=毎日電子版=

 麻生の勝利は戦う前から決まっていたことであり、何の不思議もない。だが、地方票を95%もかっさらうまでの圧勝とは、陣営も想定していなかったのではないか。党員らは1強4弱を見切っており、「総裁選劇場」には踊らなかった。与謝野以下の4候補は脇役も務まらなかったことになる。

 総裁選をお祭り騒ぎに盛り立てて、その余勢を駆って衆院解散・総選挙に突っ込む。自民党の目論見はもろくも費え去ったといわねばならない。大慌てで衆院解散戦略の見直しが進んでいることだろう。麻生圧勝は自民党惨敗の始まりではないか。

 《22日投開票された自民党総裁選は、47都道府県連に各3票割り当てられた計141の地方票のうち、麻生太郎氏が95%に当たる134票を獲得、他の4候補を圧倒した。地方での「麻生人気」のすさまじさを見せ付けた形だ。しかし、各都道府県連で実施された党員・党友投票(予備選)の平均投票率は53.9%と振るわず、党全体としては次期衆院選へ不安も残した》=時事=

 
 選挙期間中から「補正は上げたい」といっていた麻生である。近日中に行われる各紙の世論調査の結果次第では10月3日の解散をあきらめ、後ろに延ばすのではないか。当ブログは「太田農相辞任を読み解く」の中で次のように指摘しておいた。

 《しかし、10月26日投票はやや遠のいたと考えるのが自然だ。10月3日解散では自民党への逆風が強すぎる。補正を通して風当たりを和らげた方が得策だ。となると、11月9日か16日の総選挙?  決めるのは麻生さんである。この判断でこの男の力量が分かる》


 臨時国会での論戦の行方も解散の動向を左右する大きな要素だ。野党に攻め手が多く、新政権は防戦一方になる事態が想定される。下手をすると「野垂れ死に」コースをたどりかねない。11月4日の米大統領選でオバマが勝てば、日本でも「チェンジ」の声が高まるのは必至だ。こうなるとさらに解散は難しくなる。

 麻生の最善手は解散しないことである。この戦略については「太田辞任を読み解く」で触れておいた。「3代続けて国民の信を問わない政権でいいのか」という真っ当な批判に耐えられるかどうか。年内解散を急く公明党の存在も無視できない。既に創価学会は10月26日投票でフル回転を始めたらしい。これを押しとどめられるようなら、麻生の腕力はなかなかのものだ。


 麻生の後見人は福田と同じく森喜朗らしい。《「党運営の責任者をやってほしい」、麻生は森に極秘の電話をかけた》=共同=。もちろん森は断ったが、代わりに細田博之を差し出した。「町村派が支えますよ」というサインである。

 森が古賀誠と小池百合子を締め付けた結果が総裁選の惨状だ。いまだに派閥の理屈を超えられない森を後ろ盾にするようでは、麻生政権の前途はない。


 10月解散なら自民党は惨敗する、と断言しておこう。
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すべての食品は〝毒入り〟を疑え

2008-09-21 05:07:00 | Weblog
 カビや農薬に汚染された事故米が日本全国で食品に混入されていた。中国ではメラミン入りの牛乳による被害が広がり、日本の食品業者にもこの牛乳が納入されていた。こうなってくると、安全な食べ物を捜すほうが難しい。



 《長岡市の 澱粉 製造会社「島田化学工業」が事故米を不正転用した問題で、愛知県は19日、同社の事故米を材料の一部に使用したオムレツが、財団法人「愛知県学校給食会」に納入されていたと発表した。

 オムレツは昨年度までの5年間、愛知県内38市町村の学校に計約45万3500個が供給された。健康被害は出ていないという》=読売電子版=

 このオムレツは長野でも8万食が給食に出されていたという。大手食品メーカーの丸大食品は、5種類の食品でメラミン混入が疑われている牛乳を原料として使っており、全品の回収を始めた。

 事故米が澱粉に姿を変えて流通していたとなると、汚染は底なしだ。事故米利用もさらに拡大するだろう。


 工業用と食用を区別せず「除染したから無毒」などと言う業者は論外だが、事故米の危険度、蓄積した場合の弊害などについてほとんど広報されていないのはおかしい。業者のでたらめさを追及することと、食材としての有害度を丁寧に説明することは別である。不安をかきたてるばかりが行政ではない。


 「健康への被害はない」のなら、科学的データを示して国民を説得するよう努めるべきだ。食品汚染の追及に及び腰だ、などと批判されることを恐れて不安解消策に手をこまねいているのは理解できない。


 加工された食品はすべて毒入りだと疑ってかかった方がいい。手を抜かず素材そのものから調理する大切さをあらためて教えられたともいえる。オムレツに澱粉って、どう考えても上げ底だ。


 加工食品はなるべく遠ざけたほうが賢明だ。同じ種類のものを愛用するのも避けたい。調味料などもプレーンなものを使おう。


 なんて言っていると、食べるものがなくなってしまう。でも、それが日本の食の現状である。自給率40%とはそういうことだ。


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太田農相辞任を読み解く

2008-09-20 07:15:59 | Weblog
 太田誠一農水相が、事故米問題の責任を取って辞任した。事務方トップである白須敏朗次官も辞任した。「事故米が社会的に大きな問題となり、責任を取ることにした。再発防止策もほぼ固まり、節目だと思った」(朝日)のが辞任の理由だという。


 小ブログでは8月11日付けで太田に辞任を勧めている。NHKの番組での「やかましい」発言を聞いて、資格なしと判断したためだ。その後、今回の事故米問題でも「安全は保たれており、(農水省は)じたばたしてない」などと発言、消費者や食品業界の反発を招いていた。


 その意味では辞任は遅きに失したと言うべきであり、敵前逃亡とも言えよう。「再発防止策がほぼ固まった」などといっているが、まだ事故米流通の全容すら分かっていない。45万食の給食に回されていたなど、新たな事実も判明している。汚染米と汚染でんぷんの広がりは底なしの感がある。農水省のトップ2人は、ここをクリーンにする義務がある。

 辞めるべきときに辞めないから、こんな失態を演じることになる。政治家の出処進退の大切さをあらためて教える出来事だ。


 前置きが長くなってしまったが、ここからが本題だ。なぜ、任期があと5日しか残っていないこの段階で、こんなバカな判断をしたのか。させたのか。主導したのは誰か。という問題である。


 野党がこき下ろすのは当然だが、国民や識者からも「総選挙のための幕引き」などと猛烈な批判を浴びている。これぐらいのリアクションは織り込み済みというのだろうか。政治判断としては最悪といっていい。太田自身の当選だって危うくなりかねない。


 福田首相が首を切ったとの見方があるが、この期に及んでそのような挙に出るのは理解しがたい。福田流美学にも反するだろう。


 となれば、次期首相就任が確定的な麻生太郎幹事長の差し金か。麻生が背後にいる仮定すると、このシナリオを書いたのは相当な曲者、策士だ。その心は以下のように読み解くことができる。


 ①太田辞任は自民党への逆風になる②したがって、就任当初の麻生首相の支持率は低くなる③早期解散は支持率頼みなので、低いところでは解散できない④だから臨時国会では補正予算をはじめとする経済対策を仕上げる④まだ、新テロ特措法が片付いておらず、国会はぐちゃぐちゃになる。⑤泥沼の状況に持ち込んで、しかも解散はさらに先送りする⑥これで民主党はがたがたになり、小沢一郎は代表の座を退かざるを得なくなる⑦新テロ法などを対立軸に政界再編が起きる⑧衆院選は任期を受けて、新しい体制で臨む。


 とまあ、このような筋書きである。早期解散が確実なように言われているが、解散権は首相の大権だ。やるぞやるぞといって、やらないのが最善という判断はあり得る。麻生がそれをやりきれるならなかなかの玉だが、しょせんは5世議員だ。状況に流されながら解散し、惨敗することになるだろう。


 しかし、10月26日投票はやや遠のいたと考えるのが自然だ。10月3日解散では自民党への逆風が強すぎる。補正を通して風当たりを和らげた方が得策だ。となると、11月9日か16日の総選挙?  決めるのは麻生さんである。この判断でこの男の力量が分かる。

 
 



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パラリンピック閉幕

2008-09-19 04:56:39 | Weblog
 パラリンピックが閉幕した。身障者のスポーツが大きな転機を迎えていると感じさせる大会だった。このままでは、五輪と同じような道をたどってしまうのではないかと危惧する。


 大会で一番得をしたのは中南海に住むご一党様であろう。中国が身障者問題への理解を深め、さまざまな施策を実現させつつある。そんな印象を世界に与えたのではないか。しかし、カネ本位制の中国では身障者には露骨な差別が残る。「エリート障害者」を見て全体を判断するのは早計だろう。


 それよりも、パラリンピック自体が変質しつつあることのほうが重要だ。パラリンピックが五輪と連動するようになたのは1988年のソウルからだ。肥大化と商業主義を批判されたIOCが、身障者大会を取り込むことで五輪全体のイメージアップを図った。そんな風に邪推している。五輪誘致への逆風をかわす狙いもあるかもしれない。


 男子陸上の“ブレード・ランナー”ピストリウスに象徴されるようにパラリンピックの競技性は著しく高まっている。これは素晴らしいことだ。だが、競技としてのレベルを維持するため、重度障害者のクラスが次々と姿を消している。趣旨に反するのではないか。

 装具の問題もある。性能が違う装具を付けて争うのでは公平とはいえない。ハイテク装具を用意できるのは一部先進国の恵まれた選手だけである。途上国の障害者はスポーツをすることすらままならない。いまのようなことを続けていけば、障害者の世界の格差も広がる一方だ。


 障害者が信じられないような身体能力を見せる。これによって励まされ勇気付けられる一般の障害者は多いだろう。希望を失った人が、再起を目指すきっかけになるかもしれない。だからこそ、パラリンピックは変わらなければならない。


 いたずらに競技性だけを追うのは賛成できない。細分化されすぎている障害の等級分けを重度、中度、軽度で再配分し、部位別に再編し直す。装具は日常生活に使用できるものに限定する。バネ脚やひずめ足にはお引取り願う。


 トップアスリートは五輪を目指せばいい。「反発係数に問題がなければ一般の大会出場は認められる」との裁判所決定もある。身障者と健常者が同じ土俵で戦うことがってもいい。五輪に車椅子部門などを設けることも考えられる。この場合は、健常者が操作することももちろんありだ。


 パラリンピックにまで国別メダル獲得数を持ち出して、援助合戦をするのは考えものだ。支援はあって当然だ。だが、その前に障害者福祉にもっとカネを使うべきだ。車椅子で自由に動き回れる体育館もほしい。頂点を高くするのは裾野を広げるしかない。
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煙草増税なんぞに会議費を使うな

2008-09-18 06:02:55 | Weblog
 財務省ではなくて厚労省の研究班がたばこ増税による税収寄与効果をまとめた。財務省などで既に試算済みのこんな計算を、なぜ別の省が改めてやり直すのか分からん。厚労省は食の安全問題や年金など本務に精を出してもらいたい。

 奈良女の先生のほかにも高い旅費を使って会議に出ている人がいると推察される。こんなくだらないことに税金を使うのはもったいない。



 《厚生労働省の研究班(主任研究者・高橋裕子奈良女子大教授)は17日、主力商品が1箱300円のたばこを増税により2009年から1000円に値上げした場合、17年までの9年間で国・地方合わせ合計約9兆円の税収増が見込めるとの試算を発表した。

 たばこ増税をめぐっては、医療費削減や社会保障の財源確保に役立つとの賛成意見がある一方、日本たばこ産業(JT)などは増税しても消費量が減るため、税収増は期待できないとして強く反対している。試算では価格が高くなるほど税収が増え、増税論議に一石を投じそうだ。

 今回の試算は、従来の小幅値上げが消費実績に与えた影響をそのまま当てはめるのではなく、値上げでいったん禁煙しても再び喫煙する人がいることなども考慮したのが特徴。1箱1000円にすれば増税2年目の10年に税収は1兆2740億円増えピークを記録、17年までに計9兆341億円増える》=毎日電子版=


 同じたばこを研究するなら①増税によってたばこをやめる人がどれぐらい増え②肺がんをはじめとするたばこ由来といわれる疾患がどれほど減り③それによって医療費がいくら抑制される-といった試算をまとめるべきだ。

 「値上げでいったん禁煙しても再び喫煙する人」を期待しているのが特徴だそうだが、こんな姿勢でいいのかね、舛添クン。


 たばこ増税で税収不足を補おうなどというのは、官僚の思考能力の低下を物語るものでしかない。悪者をでっち上げて懲らしめる。しかも金にもなる。これではアメリカの「ならず者国家」対策と変わらない。


 かと思えば、神奈川県の松沢成文知事は公衆が出入りする施設からたばこを締め出そうと躍起だ。


 《神奈川県の松沢成文知事は9日、全国初の制定を目指す「公共的施設受動喫煙防止条例」(仮称)の骨子案を公表した。当初、不特定多数が出入りする施設は一律禁煙の方針だったが、飲食店や娯楽施設などでは分煙を容認した。松沢知事は「いきなりの規制は営業に影響が出る。受動喫煙防止に一歩でも近づけるため現実的な形でスタートしたい」と述べ、反発が強い業種に対し大幅に譲歩した理由を説明した》=毎日電子版=

 この譲歩案も飲食店などを中心に猛反発を受けているが松沢クンは「たばこの健康被害は科学的に立証されており、発想を変えていただかなければ」と取り付く島もない。


 それを言うならたばこの発売を全面的に禁止すべきだ。国には禁煙法の制定を迫っていく。それすらしないで、かつたばこ税の地方分は受け取っておきながら、こんな半端な条例をつくるのは、これも思考停止だ。

 禁煙店と喫煙店を分けるとか、やり方はいくらでもある。禁煙店が閑古鳥で喫煙店が商売繁盛なら、条例が間違っていたということになる。


 本当に体に悪いのなら売るな。たばこなんぞを売っているから、汚染米や期限切れ商品を売ることに抵抗がなくなるのだ。禁煙法ができれば、ヤクザが資金源ができたと喜ぶのも間違いないが…。
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これも小沢流?

2008-09-16 05:33:20 | Weblog
 民主党代表の小沢一郎が選挙区を岩手4区から東京12区に移すかもしれないという。

 《民主党の鳩山由紀夫幹事長は14日、テレビ朝日の報道番組で、小沢一郎代表の次期衆院選での出馬先について「岩手からは出ません」と述べ、地元・岩手4区以外に転出すると明らかにした。転出先は「関東を中心に決める」との見通しを示し、公明党の太田昭宏代表の地元、東京12区について「その可能性もある。私は面白いと思う」と述べた。

 「国替え」の狙いについて鳩山氏は「小沢代表自身、(次期衆院選に)命をかけている」と解説。番組終了後、小沢氏から「背水の陣を敷く。岩手4区は任せて別の選挙区から出る」と聞かされていたことを記者団に披露した。東京12区は「一つの有力な選択肢であることは間違いない」と改めて述べた》=毎日=


 鳩山発言が小沢の意を組んだものであることは間違いあるまい。自分から言わずに、幹事長に観測気球を上げさせたのだろう。だが、メディアの受け止めは半信半疑、かつ目的をいぶかっているように見える。だから、小沢も規定路線として走るのではなく、一時停止し様子見に入った。

 《民主党の小沢一郎代表は15日、松山市内で記者会見し、次期衆院選で地元・岩手4区以外から立候補するかどうかについて「今どうこうと決めているわけではない」と述べ、明言を避けた。

 小沢氏の「国替え」については、鳩山由紀夫幹事長が14日、記者団に「岩手4区から出馬しないと聞いている」と明言していた。

 しかし小沢氏はこれには直接言及せず、「(12日に党が発表した)1次公認の中に入っていなかったから、憶測を呼んでいるのだと思う」と述べるにとどめた》=毎日電子版=


 はっきり言ってこれは話題づくりだろう。小沢タイプの人間が、地元を捨てて東京に移るなどまずあり得ない。「背水の陣を敷くため」などという解説もあるが、それなら「なぜ東京12区か」ということになる。

 公明党への揺さぶりが狙いなら、標的と手法が間違っている。公明党は攻撃されればされるほど頑なになる。脅しが効果を発揮するとは思えない。

 背水の陣というなら麻生太郎の福岡8区、首都の象徴区である東京1区を選ぶべきだ。12区は東京の田舎、そこなら小池百合子や石原伸晃とぶつかった方がまだましである。


 小沢に選挙区を変わるつもりはないと見た。これは民主党流(小沢流)の「メディア対策」なのだ。街頭での人集めは小沢の得手とするところではない。「代表ももっと露出してください」なんてことで、選挙区変更の話が出てきたと考えたい。


 地元では小沢の転出に気をもんでいるという。これも計算のうちだろう。「岩手から動くなどと一度も言ったことはありません!」。小沢が一席ぶてば、氷解する話だ。


 こういう観測気球を取り上げるには、メディアのセンスも求められる。総裁選も小沢の動向も、垂れ流しが目立つ。だいたい、今ごろ「国替え」などという言葉をつかっているのが理解できない。「国替え」だの「お国入り」だのといっておいて、「有権者の意識が低い」もないだろう。21世紀の政治報道の在り方を考えてもらいたいね。
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