酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

TPPの闇?

2013-07-25 06:34:33 | 政治
 23日付の各地方紙に奇怪な記事が載っていた。共同通信がTPP交渉が行われているマレーシア・コタキナバルから送ってきた。

 ≪環太平洋連携協定(TPP)交渉は秘密性が極めて高い。協定が発効して以降、4年間は交渉の過程や内容を記した文書を外部に公表しないルールがあり、日本も順守を求められる。安倍晋三首相は国民への丁寧な情報提供を約束しているが、期待に十分応えるのは難しそうだ。

 TPP交渉で事務局の役割を担うニュージーランドは2011年11月に「生産的で率直な話し合いをするため、交渉の関係文書は機密扱いとすることで合意したと発表。文書の取り扱い方法を細かく記したルール案をホームページに載せた≫=新潟日報=。

 この記事の通りだとすると、政府やメディアは1年半以上も前に厳しい守秘義務の存在を知っていたことになる。しかし、国民にそんなことは知らせていなかったのではないか。

 「交渉に参加しなければ情報がもらえず、国民の皆さんにも説明できない」。野田前首相や安倍首相が言っていたことである。メディアも「頭から拒否ではなく、交渉に入って判断すべきだ」との論調が主流だった。だが、何のことはない。交渉入りしても肝心の中身は国民には知らせない装置が出来上がっていたのだ。現に日本政府交渉団は、この守秘義務を口実に初回協議の内容説明を拒んでいるのである。

 ≪環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉では、農産物の関税問題が最大の焦点の一つとなる。日本の参加について集中討議した24日の会合で政府は「『重要5品目』を関税撤廃の例外扱いにする」との方針を伝えた。ただ、先行11カ国は日本に対し、関税の原則撤廃など「高い水準の自由化」を目指してきたこれまでの交渉内容を説明。重要農産品に位置付けるコメなどの関税を守れるかの攻防はこれからだ。

 政府はこの日、交渉会合の会場となっているホテルで、農協(JA)グループなどの農業団体や経団連、連合などの関係者約40人を対象に、交渉の現状を伝える非公開の説明会を開いた。

 出席者によると、TPP政府対策本部の渋谷和久審議官が冒頭「(交渉内容について)守秘義務があるため、政府の情報発信は限定的になる」と発言。交渉の中身は一切知らされなかった。23日の交渉合流の直前、協議内容について、秘密を守る契約に日本政府が署名したためだ≫=毎日jp=。

 国民の耳と目をふさいだまま行われるTPP交渉。結果は悲惨なものになりそうだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

除染費用5兆円!!

2013-07-24 09:02:29 | 社会
 昨夕のNHKニュースで「福島原発事故の除染費用は最大で5兆円を上回る―産業技術総合研究所試算」と伝えていた。今朝の読売を見るとどこにも載っていない。地方紙にも見当たらなかった。ネットで調べると日経と毎日は報じている。日経の記事は[共同]のクレジット付きだ。

 ≪東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県内で実施する除染費用の総額が最大で5兆1300億円に上るとの試算結果を、産業技術総合研究所の研究グループが23日、発表した。これまで政府は1兆円を超える除染関連費用を計上しているが、将来の見通しは示していない。

 研究グループは「エリアや工程ごとの費用や総額がどの程度かを推計することで、除染の在り方に関する議論の材料にしてほしい」としている。

 試算結果によると、国直轄で除染する「除染特別地域」の費用が1兆8300億~2兆300億円。市町村が除染を進める「除染実施区域」で7千億~3兆1千億円だった。土地の利用区分ごとの標準的な単価で除染した場合と、自治体などへのヒアリングで最も高かった単価で除染した場合の総額を算出。仮置き場や中間貯蔵施設に汚染土壌などを移す費用や、中間貯蔵施設での保管費用も推計した。

 具体的な除染方法や、除染実施の判断は、自治体の方針のほか、いつの時点の線量で除染を実施するかで違う結果となるが、試算では過去のモニタリング結果などを基に一律に仮定した。このため、実際の予算額の積み上げとは異なるとしている〔共同≫=日経web=。

 除染については労働問題から手抜きに至るまででたらめぶりが明らかにされている。効果のほども定かではない。それなのになぜここまで「一生懸命」に除染をするのか。

 政府や東電は「福島は取り戻せる」「原発事故から立ち直れる」。こうアピールしたいのだろう。不幸にして事故が起きたが、きっちり除染すれば元通りになる―福島県民にこう呼びかけているのだ。

 故郷で暮らしたいと願う、あるいは現に生活している方々にとって除染は必要不可欠な作業であることは間違いない。ただ、どこをどれだけという点については、もっと厳密に詰める必要がある。福島第1原発の事故は、なお継続中であり、汚染水を中心に放射能汚染も拡大中だからだ。このところ連日湯気を立てていると伝えられる3号機は実際はどうなっているのか。

 福島第1の廃炉には30年以上かかるとされる。この間、何が起きるか分からない。除染はこれらも考慮し、超ロングスパンで超広域に考えるべきだ。巨額の費用をかけて除染したのに誰も住まないという事態も想定できる。地域や町の再興とセットにして論議を深めてもらいたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

親は大変だ!!

2013-07-08 11:19:14 | 社会
 自転車に乗った子どもが人をはね、大けがを負わせた。その際、親はどこまで責任を負うべきか。神戸地裁は「親には監督責任ある」と認定し、高額な損害賠償を命じた。

 ≪小学生が乗った自転車にはねられて植物状態になったとして、被害女性(67)の家族と保険会社が児童の母親(40)に対し、計約1億600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁の田中智子裁判官は4日、児童の母親に計約9500万円を支払うよう命じた。

 判決によると、事故は2008年9月、神戸市北区で発生。時速20~30キロで坂を下っていた小学5年生の男子児童=当時(11)=の自転車と、散歩中の原告女性が衝突。女性ははね飛ばされて頭を打ち、意識不明の重体となった。

 田中裁判官は事故当時、男子児童がヘルメットを着用していなかったことなどから「(母親が)十分な指導や注意をしていたとはいえず、監督義務を果たしていなかったのは明らか」として保護者の責任を認めた。

 交通事故に詳しい高山俊吉弁護士(東京弁護士会)は「被害が重大だと自転車事故でも高額な支払いが求められるケースが増えている。自転車事故自体が増える中、裁判所も過失を厳しく捉える傾向にあり、判決は保護者の監督責任を厳しくみたのだろう」と話している≫=神戸新聞com=。

 法廷でどのようなやり取りが交わされたか分からず、判決要旨も不明なので断定的なことは言えないが、かなり親に厳しい判決だと思う。「ヘルメットを着用していなかった」ことなどから「(安全について)十分な指導や注意をしていたとは言えない」の指摘も一面的な見方だ。

 では、注意や指導がなされていて、重大事故を起こしたときはどうなるのか。監督責任論だけでは対処しきれまい。

 高性能の自転車が増えるにつれ、対人事故の危険性も増大している。結果に対する責任は大人であろうと子どもであろうと負わねばならない。時代に合った新しい過失責任論の構築を期待したい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

被害者はどっちだ

2013-07-04 08:57:32 | 社会
 いま、小学校の周りなどを歩いてみると「不審者に気をつけよう」とか「怪しい人を見かけたらすぐにとどけでよう」というポスターが目につく。子どもの周りは危険人物でいっぱいということらしい。しかし、「おかしな人」は昔からいた。もっと普通に街を歩いていたように思う。でも事件沙汰になることなどほとんどなかった。なぜ近年、「事件」が多発するのか。

 人は余裕がなくなると攻撃的になる。キャパが小さければ小さいほど、沸点は低くなる。社会全体に余裕がなくなり、一人一人もいっぱいいっぱいのところで生きている。そうした連鎖が「キレル」人格を生んでいるような気がする。

 もう一つ。勝手に「事件」をつくる傾向もみられる。たとえば坂戸の「児童襲撃事件」である。

 ≪埼玉県坂戸市の公園で2日夕、小学生2人が刃物のようなものを持った男に襲われた。4日前には東京都練馬区の小学校前で男児3人が刃物で切りつけられる事件が起きたばかり。子どもたちを守ろうと、学校は見守り態勢を強化する。

 「(不審者に)カッターナイフのようなものをあてられた」。午後4時半ごろ、市立千代田小に5年生の男児(11)と女児(10)が駆け込んできた。帰宅後、徒歩10分ほどの同市千代田5丁目の千代田公園で遊んでいたところ、男に突然刃物のようなものを押しつけられ、自転車で逃げてきたという≫=朝日degital=。

 事実は当初の報道とはだいぶ異なっているようだ。

 ≪埼玉県坂戸市千代田の千代田公園で2日夕、小学校の児童2人が男にカッターナイフのようなものを押しつけられたとした通報で、児童が公園のベンチで寝ていた男の写真を無断で撮ったことを発端に、怒った男が木の枝を振り回し児童の腕に痕がついた可能性があることが3日、県警幹部への取材で分かった。

 県警幹部によると、男は、公園のベンチで寝ていたところ、児童が近くで大声で騒ぎ、携帯電話で撮影したため、怒って追いかけたという。児童は公園からいったん逃げたが公園に戻ったところ、男が木の枝のようなものを振り回し、男児(11)が左腕に、女児(10)が右腕にひっかかれたような痕ができたという。

 西入間署は暴行事件とみて引き続き捜査しているが、刃物を押し当てられた事実はないとみて調べを進めている≫=読売online=。

 以下は推測である。
 
 この男性は失業中、しかもホームレスである。夏の午後、気持ちよくベンチで寝ていたら子どもがはやし立て、あげくの果てに写真まで撮り始めた。「こらー、ガキどもいい加減にせえよ!!」。子どもたちはなおも「こじき」「ホームレス」などとはやし立て、あっかんべをしながら逃げ去った。「面白いね」-子どもたちは男の様子をまた見たいと公園に引き返した。そこで男が木の枝を振り回し、先端が子供たちに当たった。

 実際にどのようなことが起きたかは分からない。しかし、子どもたちが嘘をついていたのはほぼ間違いないと思われる。子どもは(一部の大人も)自分を正当化するためには平気で嘘をつくものだ。警察もメディアもそんなことは百も承知しているはずなのに、だまされてしまう。今日の社会では、「被害者」は絶対的だ。ならば、なおのこと誰が被害者かを慎重に見定める目が必要だろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする