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酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

トキ放鳥は何のためか

2008-12-03 21:02:51 | Weblog
 9月25日、「野生復帰」させるためにトキが放鳥された。以来2カ月半。1羽はその日から行方不明になったままだ。メスの1羽は佐渡海峡を越えて本土に飛来、越冬できるかどうか気をもませている。10分の8が健在なら好成績ではないか。でも、「野生復帰」とやらを唱える人たちにはこれでも不満らしい。


 
 《 トキの放鳥後初めての「トキ野生復帰専門家会合」(座長・山岸哲山階鳥類研究所長)が8日、東京都内で開かれる。佐渡市で試験放鳥された10羽のうち1羽が日本海を隔てた関川村で確認されるなど想定外の事態も発生。今後は降雪による餌不足も懸念される。会合では、学者ら鳥類の専門家が餌不足でトキが衰弱した場合の対応を議論。保護のタイミングなど、どの段階で人が介入すればいいのかを中心に話し合う。

 放鳥されたトキは現在、8羽が佐渡市、1羽が関川村で確認され、残り1羽は放鳥以降、一度も確認されていない。環境省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「(佐渡の)8羽を中心にモニタリングはできており、おおむね順調」と総括する。

 だが、県内もこれからが冬本番。心配されるのが、降雪によってドジョウやカエル、昆虫などトキの餌となる生物の不足と、餌不足によるトキの衰弱だ。

 専門家会合ではこれまで、厳冬期で極端にやせるなど餌不足と判断される場合、利用頻度の高い餌場にドジョウを放流するなどの緊急的給餌を行う方針を確認している。しかし、トキが餌場を求めて飛び回ることも考えられ、給餌を行うタイミングや、どの程度衰弱したら捕獲するのかといった難しい判断に迫られる》=3日 新潟日報web=。



 一体この人たちは何を考えているんだろう。野鳥が餌に悩まされるのは当たり前だ。むしろ、鳥たちは餌を獲るために生きているといってもいい。それができないなら死を待つしかない。それなのに、弱った様子が見えたら給餌するという。放鳥した鳥と飼育舎にいる鳥の区別がついていないというしかない。



 放鳥は「野生復帰」のためだろう。あらゆるケースがこれからの教材だ。余計な手を出せば、客観的なデータが失われてしまう。それぐらいの判断ができないで、よくも「野生復帰」などといえたものだ。



 行方不明の1羽は、とっくにテンに襲われて死んでいる。これは佐渡現地では半ば公然の秘密らしい。でも、「放鳥のトキは死んでいた」という衝撃に耐えられなくて公表を控えているのだという。



 トキの消息は国民的関心事である。万一死なせたなどということになったら、責任問題になる。環境省や新潟県、佐渡市の当局はそう考えているのだろう。大事にしたいのはトキなのか、自分の立場なのか。



 《トキ野生復帰専門家会合の座長を務める山岸哲山階鳥類研究所長「個人的にはぎりぎりまで自然に任せたいが、違う考えもあるだろう。(どの時点で介入するかは)慎重な判断が必要だ」と話す》=新潟日報web=。



 山階の所長は一応筋の通ったことを述べている。「違う考え」の人とは誰のことを指しているのか興味深い。


 放鳥した以上、介入すべきではない。そんなにトキの命が大事なら放鳥などしないことだ。しょせん中国トキ、「野生復帰」などということ自体、不自然なのだ。
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連合の限界

2008-12-03 05:58:22 | Weblog
 連合が2009年春闘で8年ぶりとなる賃上げ要求を行うことを決めた。


 《連合は2日、東京都内で中央委員会を開き、「物価上昇に見合うベア」と8年ぶりにベア要求を盛り込んだ2009年春闘の闘争方針を正式決定した。


 闘争方針では「定期昇給にあたる賃金カーブ維持分を確保した上で、1%台半ばと想定される08年度の物価上昇に見合うベアで、勤労者の生活を維持する」ことを賃上げ要求の基本とした。パート労働者については「時給1000円程度、または時給30円程度の引き上げ」を求める。

 高木剛会長は「株安や円高で実体経済に深刻な影響が出ているが、賃金にも雇用にも応える力がある企業は多い。09年春闘は、景気回復や社会の安心がかかった春闘になる」と訴えた=12月2日読売online=》


 労働組合が賃金の引き上げを求めるのは、仕事のようなものだ。だが、全国ユニオンである連合が、こういうタイミングで「一斉賃上げ」の大号令を発する神経は理解に苦しむ。こんなノー天気なことを言っているから組織率が2割を切るようなことになるのではないか。


 余力がある企業は個別に上げればいい。問題は業績悪化が著しい製造業でベアが可能かどうかということだ。片手で非正規労働者の首を切っておいて、もう一方の手で賃上げの袋を差し出すような行為を、連合は容認するのか。


 経営陣が意識改革を迫られていると同時に、労働側も正社員優先の考え方を見直すときではないか。


 09春闘は雇用確保が最優先されるべきだ。連合は思い切ったワークシェアの旗を掲げるべきだろう。合言葉は「非正規を切るな」である。名目はそのままで、実質的な賃上げを目指す方法もある。休日増と労働時間短縮を図るのだ。その分を非正規の人に働いてもらえばいい。


 パート賃金の引き上げなども春闘要求に盛り込まれて入るが、実効性は乏しい。組織労働者が身を切って非正規の雇用条件向上に取り組む。そうした姿勢を見せて初めて働く者の一体感ができてくるのだと思う。


 そうはいっても、連合は変われないだろう。大企業や公務員出身者が牛耳っている大組織の限界が見える。この組織には「改革」の波が及ばない。これも日本の不幸の一つだ。
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