酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

中国餃子の闇 反日キャンペーンが始まる?

2008-02-29 04:45:22 | Weblog
 想定された事態ではあるが、最悪のコースをたどっている。中国製ギョーザ中毒事件のことである。

 事件を捜査している中国公安省刑事偵査局の余新民副局長は28日、国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠副局長と共同で会見し、「殺虫剤の混入が中国国内で起きた可能性は極めて小さい」との見解を改めて示した。記者から「日本も国内での混入を否定しているが」と問われると「日本は『可能性が低い』だが、当方は『極めて小さい』だ」と、中国側の方が厳密だと強調して見せた。

 警察庁の安藤隆春次長が訪中し、公安省の当局者と捜査協力などについて協議し、①日中は早期解決に向けて連携②相互の証拠交換と捜査の加速③緊密な連絡―などで合意したのは、つい二日前のことである。

 中国に情勢の変化があったと考えなくてはならない。捜査上の問題というよりもっと上、国家最上層部の意向が働いているのではないか。「この問題はうやむやにする。日本が突っ張れば対抗手段を講じればいい」。こういう指示が出ているとしか考えられない。

 当然ながら警察庁は中国の一方的な発表に猛反発している。吉村博人長官は①検出されたメタミドホスは純度が低く、国内で流通しているものとは異なる②メタミドホスは袋の外側から浸透しないとの実験結果を得ている③千葉と兵庫の中毒は国内の別ルートで流通しているギョーザだ―と指摘した上で、中国側の会見を「不可解」と断じた。

 「実験ではメタミドホスは袋の外側から内側に浸透するとの結論を得ている」とする中国の発表は、信憑性が低い。二重にコーティングされたフィルムに染み込んでいくなど、理解できない話だ。

 中国は、天洋食品に絡む何かを掴んだのではないか。
 
 事件が組織的、計画的に行われていたとしたらどうだろう。しかも、反日グループなど思想的な背景を持つものではなく、労務問題に根があったとしたら…。

 あくまで推測の域をでない。だが、そうとでも考えないと、突然あのような結論を一方的に公表する理由が浮かばない。

 ここまでの核心は、「日中双方とも自国内でのメタミドホス混入を強く否定した」ということだ。通常の事件なら「ではどこで」と進むはずだ。

 厄介なのは、胡錦濤主席の4月来日を控えている点だ。政府筋は日中の関係改善を象徴する訪日にしなければならない、と考えているはずだ。ギョーザにこだわっていていいのか、という声さえでかねない。このあたりに中国が目をつけた。そう考えれば、今回の唐突な公表も説明が付く。

 日本政府の対応が焦点だ。政治問題化せず、捜査当局同士の連携で乗り切るしかないが、警察庁と中国公安省が反目している現状では極めて厳しい。

 双方が持っている証拠をつき合わせて、合同捜査を行うしかない。資料を交換したり、お互いが自前で実験や鑑定を繰り返してもラチが開かない。しかし、これも中国にその気がなければどうしようもない。

 JTや生協などでは、中国離れが進んでいる。この動きが加速すれば雇用不安や反日行動にもつながりかねない。事態は重大局面を迎えている。


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天皇と皇太子あるいは皇室の重大事

2008-02-27 22:17:43 | Weblog
 2週間ほど前の羽毛田宮内庁長官発言が波紋を広げている。
 13日の定例会見で発した「(皇太子一家の)参内回数が少ない。両陛下も心配されていると思う」という例の発言である。

 「臣下が皇太子に言うことか」、「私なら言わない」(元宮内庁長官)。近習入り乱れてかまびすしい。

 メディアも大張り切りだ。産経は「長官発言は、本当に両陛下のお心にかなっているのだろうか」と心配し、朝日は「ここは長い目で見守りたい」と分かったようなことを言う。しかして、天皇と皇太子の間には何ががあったのか。はたまた、なかったのか。天皇の肉声が聞こえてこない以上、想像をたくましくするしかない。

 ヒントはその後明らかになった事実の中にあるように思われる。

 まず、天皇の健康状態である。宮内庁は25日、定期検査の結果を公表した。
 骨密度が低下している。これは前立腺がんのホルモン療法の副作用で、放置すれば骨粗しょう症に至る。運動療法を行っていただくよう申し上げた。との内容である。

 ホルモン治療以降、天皇の顔がむくんでいるのはテレビを通してもよく分かった。副作用が出ていることは素人目にも明らかだ。天皇自身もそのことは十分に理解していたと推察できる。

 「まだ皇太子に伝えたいことが山ほどある。毎日でも通ってきてほしい」。こんな思いを長官に伝えたのだろう。公にしたのは長官の判断とみるべきだ。

 22日、奈良市山陵町の神功皇后陵(五社神古墳)の調査が行われた。天皇家の陵墓が公式に調査されたのは初めてである。

 天皇は68歳の誕生日の会見で「私自身としては、桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています」とこれまた異例の言及をしている。

 今回の調査にたいして天皇の裁可はあったのだろうか。こんな細かいところまで天皇を煩わせる必要はない、というのが一般的な解釈だ。おそらくそうだろう。

 だが、これは本格的陵墓調査の一里塚である。やがて発掘にまで進むことは間違いない。天皇家の墓を掘れば、さまざまな事実が明るみに出る。韓国とのつながりを示唆した先の天皇発言は、そのときに備えたものではないか。

 皇太子に告げたかったいくつかも、これとかかわりがある。考えるのはうがちすぎか。

 皇室とは何者で、どこから来たのか。過去や未来とどうつながっているのか。皇太子とこれらの思いを共有したかった。愛子ちゃんは、いわばダシである。

 雅子さん問題と皇室問題をごっちゃにしては本質を見誤る。天皇制そのものの危機を、天皇は肌で感じているに違いない。きわめて真っ当な感覚である。

 



 
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ロス疑惑、迷宮からよみがえる?

2008-02-26 20:36:36 | Weblog
 サイパンで三浦和義氏が身柄拘束されてから二日たつ。依然としてなぜ、どうしてという疑問は払拭されないままだ。きょう未明のロス市警の会見でも「新証拠」についてはすべて「ノーコメント」だった。

 メディアがいろいろ解説しているが、当を得たものは見当たらない。ロス市警迷宮課の執念などと言われても困ってしまう。

 日本で無罪が確定した事件について、他国の刑法体系が影響を及ぼすことの是非を論じる識者が多かったが、これも無理筋な議論だろう。米国でも日本でも、すべての法律は憲法を頂点とした体系にまとめ上げられている。ここに抵触しない限りあらゆる捜査が行われてしかるべきだ。

 法体系をすり合わせて国際的なルールを、などという主張は実際的ではない。
 もちろん、理想論としてはあり得る。でもそれは世界連邦でもできない限り不可能だ。何が罪かという根本的なところで食い違いがあるのに、確定判決がどうのこうのいったところで始まらない。

 不可解なのは三浦氏の行動である。三浦氏の弁護士は「サイパンは危険ですよ(捕まるかもしれないよ)」と警告していたと言う。それを無視して氏は何度もサイパンに行っていた。件の弁護士は26日になって「三浦さんにはサイパンがアメリカだという認識がなかった」などといい始めた。案外、このあたりに問題のヒントが潜んでいるのではないか。

 弁護士などからは、「米国の捜査協力要請に応じるべきではない」との声が聞こえる。言っていることは分からぬでもないが、それでは真実の発見につながらないのではないか。

 いわゆるロス銃撃事件で三浦氏は日本での無罪は確定している。だが、事件の真犯人と実行犯は特定されておらず、闇は深まる一方だ。ロス市警、三浦氏とも今回は謎の行動が多すぎる。

 
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石破防衛相辞任論の愚

2008-02-23 05:54:27 | Weblog
 イージス護衛艦「あたご」がマグロ延縄漁船「清徳丸」に激突、漁船の乗組員2人が行方不明となった事故で、石破茂防衛相の責任を問い、辞任を求める声が高まっている。

 これまでの情報を整理して考察すると、事故の原因があたご側にあったのはほぼ確定的である。防衛省の説明によると、ワッチが清徳丸と見られる灯火を視認したのは衝突の12分前だ。双方の速度と位置関係から推定すると、両船の距離は少なくとも4キロはあったと考えていい。

 この距離なら旋回して回避することは十分可能だった。しかし、あたごは自動操舵を解除せず直進し、衝突1分前になってプロペラを全力逆転させたが間に合うはずもない。

 漁協側は、30分前以上前にレーダー上にあたごが映っていたという。当然あたごのレーダーにも漁船群が映し出されていたはずである。イージス艦の水上レーダーは、複数の対象映像から衝突確率が最も高い船影を選び出し、衝突まであと何分かを
表示できるようになっている。

 潜水艦映画でソナー要員が「衝突まで後40秒!」などと悲鳴をあげるシーンがあるが、あれがレーダー上に出てくると考えればいいのだろう。イージス艦の装置ではベストの回避動作を選び出すこともできるという。

 そういうハイテク装置が稼動した形跡はいまのところない。つまり、あたごのレーダー要員はレーダーを(良く)見ていなかったことになる。ワッチも目視情報をブリッジに伝えていなかった可能性が高い。

 戦闘艦の動作としてはお粗末極まりない。これでは100戦100敗疑いなしだ。

 と、ここまではこれまでのおさらいである。

 さてそこで、石破の首を取るべきかどうか。

 いずれ事故の詳細が明らかになれば、石破は自ら身を退くだろう。20年前の「なだしお」事故の際の瓦防衛長官がこの選択をしている。

 野党が辞任論を叫んでいるのは、もちろん国会対策である。08年度予算の年度内成立を確実にするための猶予時間は、実質あと5日しかない。石破問題で攻め立てて、予算案の衆院通過を3月以降に引き延ばし、政権にダメージを与える-というのが民主党の基本戦略だろう。

 国会を戦場と見立てれば、敵の嫌がることを次々と繰り出す戦法はあり得る。だが、国会は戦場である一方、与野党が国家の針路について意見を戦わせ、可能な限り有効な施策で妥協を図る場でもある。

 経済の減速がより鮮明となり、雇用や暮らしの不安が高まっている。こうしたことに有効な手を打つことこそいま最も求められていることではないか。

 どうもこの国の政治は、何か起きるとたちまち視野狭窄に陥りプライオリティーも何もなくなる傾向が強い(出来事中心主義のマスコミの影響も大きいのだが…)。

 もう少し大人の議論をしてもらいたい。同時並行で物事が進められない国会や政党では困ってしまう。政局と政治課題を分けて考えた方が、迫力も出るし説得力もあると思うのだが。

 

  
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イージス艦の性能とは

2008-02-19 21:57:24 | Weblog
 左舷から迫ってくる巨大な船影を見たとき、マグロ漁船の親子が感じた恐怖はどれほどのものだっただろう。
 
 房総半島野島崎沖で今日未明に起きた海自イージス艦と漁船の衝突事件のことである。雨のように降ってくるミサイルを識別して撃ち落す能力があるのに、海上からの攻撃には何の抵抗も出来ない。事故を単純化すればそんな理屈が成り立つ。お粗末かつ信じ難い出来事である。

 イージス護衛艦「あたご」は海自が保有する最新型のイージス艦である。昨年末、同僚艦の「こんごう」が初めて実射試験に成功したミサイル迎撃と同様の訓練のため訪れていたハワイ沖から横須賀に帰投する直前だった。

 3次元レーダーは、防空が専門である。しかし、ルックアップ能力しかないわけではない。水平方向も360度をレーダーで監視していたはずだ。魚雷や敵艦船の襲撃に備えるのは海軍の常識だろう。

 レーダー監視要員とワッチ番水兵がともに任務を怠っていた可能性が濃厚である。未明で暗い海とはいえ、漁船は航海灯をつけていたはずだ。あたごの乗組員は緑色のライトをつけた船舶を見たと証言しているらしい。艦速といつ漁船に気づいたかが焦点となろう。

 NHKのニュースでは、海自の調べとして「漁船に気づき後退の動作を始めたが間に合わなかった」などの内容を紹介していた。こんな言い方をするNHKもNHKだ。要はプロペラを逆転させたということだろう。18ノットで航行する8000トン級の軍艦が、そんなに簡単に「後退の動作」を取れるはずがない。海自や防衛省の発言から、衝突回避行動の真剣さが伝わってこない。

 1隻1500億円近いカネをかけて、民間の漁船を撃沈する船を建造されてはたまったものではない。洞爺湖サミットのテロ対策としてイージス艦の展開も検討されていると聞く。乗組員の能力がこの程度では、爆弾を積んだ小型モーターボートなどからの攻撃を防げるかどうか甚だ怪しい。
 
 行方不明の親子の安否が気がかりだ。いまの房総沖の海水温から考えて、生存の可能性はかなり低いと思われる。敵のミサイルを撃墜するより何より、自国民に害をなすイージスではお話にもならない。防衛相や首相への情報伝達の遅れもひどい。そういえば、愛媛県宇和島水産高校の実習船えひめ丸がアメリカ海軍の潜水艦に撃沈されたとき、オットセイ頭の首相が責任を問われたことがあった。

 福田さんも腹を固めておいた方がいいかもしれない。
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東京マラソン

2008-02-18 17:49:45 | Weblog
 2年連続で東京マラソンを走ってきた。快晴に恵まれ、一段と華やかさを増したように感じたが、当人の結果が伴わずうれしさ半分といった感じ。

 運営は格段に改善されていた。特に、走り終えた後の荷物の受け渡しはほぼパーフェクトだった。ナンバーカード別に整理されていて、番号を告げると2、3秒でバッグが出てきた。さまざまなシュミレーションを繰り返してここまでたどり着いたのだろう。

 給食不足もなかった。もっとも、今年はコンディションが良く栄養補給の必要度が低下していたと思われる。悪い条件のときどうなるか。さらに研究を進めてもらいたい。

 イベント性が増したのは、功罪両面があるだろう。有名人がたくさん走れば、沿道に出てみようという気になる。大会の盛り上げに一役買っているのは事実だろう。

 ただ、訳の分からないタレント連中がごちゃごちゃ言いながら走っていたのにはいささかげんなり。TPOをわきまえたおしゃべりを工夫してほしい。

 受付会場を東京ドームからビッグサイトに変更したのも納得がいかない。りんかい線やゆりかもめの売り上げ増を図ったわけでもあるまい。有明は不便だ。地方から参加するランナーのことをもっと考えてほしい。

 1万円の参加費は国内のマラソン大会では別格に高い。今年ぐらいの運営は出来て当然と言うべきかもしれない。同時に、参加費の減額も視野に入れた方がいい。いまのままでは、若い人が参加しにくい。カネに余裕のある人だけの大会ではつまらないのではないか。
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大人は何歳から

2008-02-13 22:20:35 | Weblog
 株の下落で何十億円かの損を出したという鳩山邦夫法相が、法制審議会に民法に規定する成人年齢を18歳に引き下げるべきかどうかについて諮問した。

 唐突に出てきた話のような印象があるが、実は国民投票法が成立した昨年五月の段階でこうした流れになることは決まっていたのだ。

 そこでは「投票権者は18歳以上の日本国民」と定めている。ただし、附則の3条には「公選法の選挙権年齢や民法の成人年齢=20歳以上=の規定が改正されるまでは、国民投票の投票権者も20歳以上とする」という規定がある。

 仮にいま憲法改正が発議され、国民投票が行われた場合、一票の権利を行使できるのは20歳以上の人だけである。

 政府が法制審で審議を始めると決めた理由は何だろう。

 うがった見方かも知れないが、若い人たちは保守化していると踏んでいるのではないか。かつて若者はどちらかといえば改革派であり革新派だった。ところが就職活動第一主義に馴らされ、すっかり政治性を失ってしまった。自民党が「年齢引き下げは我に利あり」と考えても不思議ではない。

 一般的に言えば、国政選挙への参加は幅が広い方がいいに決まっている。だが、どこで線を引くかはきわめて難しい。誤解を恐れずに言えば、下だけではなく超高齢者層の問題も出てくるかもしれない。

 自己決定権なら子どもにもある。子どもの権利条約も存在する。では法的な責任は何時から負わせるべきか。欧米には18歳制を採る国が多いという。でも、歴史的背景が日本とは異なっており単純な比較は出来ないだろう。

 かつての日本人は義務教育を終えると自分で稼いでいた。当時なら「16歳成人説」を唱えても不自然ではない。公家や武士の時代は15歳元服していた。いまはどうだろう。
 高校進学率はほぼ100%、18歳の進学率(大学、専門学校等)は75%に迫っている。親のすねをかじっていて大人なのかと素朴な疑問がわく。いまの30歳は30年前の20歳より子どもだ、という指摘もある。

 論議を尽くせば結論が出る性格のテーマなのだろうか。所詮、人為的な線引きであり合理性に疑いが残る。法制審は一年程度の議論で、答申を出す予定だという。急ぐ必要などどこにもない。国民の中から「成人年齢についてもっと考えよう」と言う声が出てくるまで待つ方が賢明だ。

 邦夫君はやること、言うことのピントが狂っている。鹿児島の選挙違反冤罪事件を「冤罪とは違う」などと発言したり…。

 こういう大臣の下で成人年齢の見直しなどという大切な議論が出来るのか心配になる。
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岩国市長選

2008-02-11 09:33:45 | Weblog
 こういうのを究極の選択というのだろう。前市長辞職に伴って行われた岩国市長選のことである。

 米空母艦載機移転の是非が最大の争点だったはずだが、国が市役所改築費用の補助を突然打ち切るなど措置に出たため、「国からのカネなしで市の将来があるか」という選挙になってしまった。

 艦載機移転を受け入れる代わりに国からカネを引き出そうと訴えた前自民党衆院議員福田良彦氏(37)が当選したのは疲弊する地方自治体の現状からすれば当然の成り行きに見える。

 むしろ、1700票余の差にまで迫った前市長井原勝介氏の善戦ぶりが目に付く。市議会で何回も予算案を否決され、背水の陣で臨んだ市長選だが、勝算は乏しかったといわざるを得ない。

 艦載機移転問題が動かないため、市政全般が停滞してしまった。原則を貫くことは大切だが、市民生活をどう向上させていくかの具体的提言を伴わなければ、原理主義に陥る危険がある。井原氏にもう少し政治力と情報発信能力があればと惜しまれる。

 頭を丸めてみたり、いきなり辞職したり、行動もやや奇矯だった。米軍のいない岩国の未来図を提示し、市民とともに語り合う。これに議会を巻き込んでいく。苦しくとも、そうした努力をあきらめるべきではなかった。

 今回の選挙結果で、岩国市民が艦載機移転を容認したと解釈するのは早計だろう。移転交付金に頼った市政運営は、やがて壁に突き当たることもはっきりしている。

 福田氏はまだ若い。自治体経営戦略を練り上げるのはこれからだろう。分権時代の市長として、国と一線を画せるかどうか。政府・与党の言いなりの首長など、いまどき誰も求めてはいまい。 

 「安心安全を確保し、有利な交付金を引き出す」。沖縄ではまた米兵による女子中学生暴行事件が起きた。米軍基地と安全安心が両立するか。有利な交付金などというごね得めいたことが許される環境なのか。福田氏の真意が知りたいところだ。

 
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「捕鯨外交」の無策

2008-02-10 05:31:26 | Weblog
 日本の調査捕鯨がオーストラリアでまた袋叩きに遭っている。今回は親子の鯨を殺戮したという非難である。

 現地のメディアは大きさが異なる2頭の鯨が母船に引き揚げられる映像を繰り返し放映している。「親子連れを殺すなんてひどい」という世論が沸きあがっているようだ。

 オーストラリアは国民の98%前後が捕鯨反対という国柄だ。先に就任した元ロック歌手のギャレット環境相は筋金入りの反捕鯨派だ。自然保護団体のメンバーが、調査船に乗り込んで外交問題となり、一時中断され、再開したとたんにこの騒ぎである。

 日本政府は「発育の違う鯨を捕まえ、栄養状態を調べるために行った。2頭は親子ではない」と主張しているが、苦しい説明だ。

 調査捕鯨はIWCで容認されている行為で、文句をつけられる筋合いではない。だからといって、無理やりやることにどれほどの意味があるのかという疑問もわいてくる。もう少し頭を使えよ、と言いたくなる。

 南極海の鯨資源は商業捕鯨の停止以降、急激に増えている、と捕鯨国は主張する。鯨が他の魚を捕食するため、今度は魚類資源が枯渇する恐れがある。増え方や鯨がどんな魚を食べているかを詳しく調査すべきだ。日本が調査捕鯨を続けている理由である。

 ニュージーランドとオーストラリアではホエールウオッチングの人気が高い。重要な観光資源でもある。はるか遠い日本からやってきて、かわいい鯨ちゃんにモリを撃ち込んで殺すなんて野蛮な行為は許せない。この感情も理解できる。

 調査捕鯨とは銘打っているものの、捕獲された鯨は解体され肉として日本国内で販売される。「商業捕鯨ではないか」と攻撃されるのはこのためだ。

 「鯨を食するのは日本の文化だ」などさまざまな反論が国内から聞こえる。だが、いまの日本には鯨を食べなければ蛋白源が足らないというような状況ではない。鯨の肉は高くなりすぎて、普通の消費者は手が出しにくいほどだ。スーパーの店頭から消えても、大騒ぎになるとは思えない。

 問題は、鯨騒動で親日家が多いオセアニアの両国と日本の関係に影が差すことだ。日豪政府間では、「他の分野に影響させない」と合意している。ただ、外交は国民感情と無関係ではありえない。このままでは、どんな軋轢が飛び出してくるか分からない。

 目視による調査に切り替えるとか、調査方法を見直すことを考えた方がいい。捕獲は日本近海で、きちんと「商業捕鯨」として行う道を追求すべきだ。ごまかしを続けているから、反感を招きつじつまが合わなくなる。鯨ごとき? で外交的に孤立するのはあまりにも策がなさ過ぎる。

 今年は日本でサミットが開かれる。「よその庭先で鯨を殺し続ける国」のイメージは環境サミット主催国としてふさわしいとは思えない。

 水産庁などという現業官庁に任せるのではなく、きちんと外務省が対応すべきだ。ここでも日本外交のセンスが問われている。
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毒ギョーザは過激派の仕業???

2008-02-07 06:00:58 | Weblog
 中国検疫総局の幹部が、ギョーザへの毒混入について「中日友好の発展を破壊しようとする極端分子(過激派)がやったのかもしれない」と日本政府調査団に述べたと時事通信が伝えている。
 
 日本政府代表団との会談を終えた後この幹部は「日中どちらの過激派か」との問いに治して「中日双方で可能性がある」と話したという。

 中国食品管理当局は①天洋食品の衛生管理は行き届いている②したがって中国国内で人為的に毒物を混入させた可能性は少ない③中日友好の発展ぶりに不満を持つ分子が、出荷後に毒を入れた可能性が高い-という主張だ。

 予想された筋書きである。両国に最も傷を付けずに処理するとなるとこんな線なのだろう。ポイントはいくつかある。

 中国側の最大の獲得目標は「中国の品質管理は徹底しており、製造ラインには何の問題もなかった。五輪も安心だし、中国産食品も安全だ」というメッセージを発することである。それも一方的にではなく、日本のお墨付きを得る形で。

 過激派を持ち出してきたことも意味深長だ。中国内外のメディアが伝えていたのは、昨年夏以来の労働紛争だ。このとき解雇された不満分子が疑われていた。これだと、今後もこの工場には不安が残る。人員整理など中国では日常茶飯にある。ほかの工場だって、何が起きるか分かったものではないーこうした反応も払拭したかったに違いない。

 「日中友好に反感を持つ分子」の仕業とすれば、実にすんなり事が運ぶ。お互いの傷も浅くて済みそうだ。主席訪日への地ならしにもなる。

 政府や公安当局の狙い通りに運ぶかどうかは未知数だ。

 中国が一番恐れているのは、反政府組織に過激派が潜んでいることだろう。農民や出稼労働者の暴動にさえ手を焼いているのに、もっと厄介なグループに登場されたのでは目も当てられない。五輪でのゲリラも心配だ。公安部は額を集めて協議していることだろう。

 五輪で注目を集める折、反体制派にとしては暴れ時だ。連続して食品テロを繰り返せば、中国への投資が渋り体制の動揺にもつながる。こんな計算だろう。

 中国にとって、今回の発言は両刃の剣だ。過激派の存在を認めてしまい、今後も同様の活動が起きるかもしれないと示唆してしまったからだ。

 下手人あがるところまではいかないというのが、小生の見立てだが、あの国のことだ。犯人はいくらでも用意できる。ひょっとすると「日中連帯○×戦線」なんて組織まで登場させられるかも…。 
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