NASAとスペースXは、9月22日木曜日に、NASAのハッブル宇宙望遠鏡を押し上げるためのアイデア、政府のコストなしでドラゴン宇宙船によって軌道を上げる、スペースXとのポラリス計画の実現可能性を調査するための、資金提供のない宇宙法協定に署名した。NASAは、保全ミッションの実施、または資金を提供、または、この機会の競争に関して何の計画も持っていない。 この研究は、NASAが商業的な可能性を理解するのに役立つように設計されている。スペースXは、保全ミッションと関連する技術的な挑戦を更に理解するために、ポラリス計画との協力の下でのこの調査を提案した。この調査は排他的でなく、他の会社が異なるロケットまたは宇宙船で類似した調査を提案することもできる。チームは、この調査が、ハッブルとスペースXドラゴン宇宙船からの技術的なデータを集めるのに最長6ヵ月掛かると予想している。このデータは、安全にランデブーし、ドッキングし、安定した軌道に望遠鏡を移動させることができるかどうかを判定するのに役立つだろう。
<出典>: 「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)」
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<ひとこと>: ハッブルの歴史と問題点(オリジナル)
ハッブル宇宙望遠鏡も決して当初から順調ではなかった。1990年に打上げられた当初は計画された性能を得られず「失敗作」とまで言われた。7年後の1997年2月に大幅に機器の交換・改造が加えられ、その後も2年ごとに、1999年12月にジャイロスコープの劣化に伴う交換、2002年3月の10倍の精度を持つ新型望遠鏡、新型太陽電池パネル、冷却剤の枯渇のため停止していた近赤外線複合目的観測装置(NICMOS)冷却システムの交換などが行われ(右図)現在の画期的な機能を持つようになった。
ハッブルはその工事の全てをスペースシャトルに依存してきた。ハッブルの歴史的な危機は2003年2月1日のスペースシャトル・コロンビアの事故によって起きる。コロンビアの事故は、打上時の耐熱版の剥がれに伴う損傷によって、帰還時の大気入りの際の高熱に耐えられず機体が崩壊したことによるとされる。宇宙船はその打上時に最大の危機がある。その対策を検討する過程で大きく取り上げられたのは、危険が察知されたときの打上中断システムの構築と、その目的地での居住性であった。前者は、月探査のオリオンの機体やその地上の打上システムに大きく反映されているが、後者は、国際宇宙ステーションのような居住性のある宇宙船の場合は他の宇宙船でクルーを迎えに行くこともできるが、ハッブルのような居住環境のない宇宙船ではそれが期待できないことから、初期の検討ではハッブルは廃棄することになり、その後、使えるだけは使おうという方向に転換した。従って、それ以降、ハッブルの補修は行われていない。国際宇宙ステーションほどではないが、ハッブルも地球上約536キロメートルの高度の軌道を徐々に下げており、また、姿勢を制御するジャイロスコープも予備がなくなっている。ちなみにジェームスウェブ宇宙望遠鏡は、その定着場所が地球軌道をはるかに離れており、修理は考慮されていない。
今回のスペースXの提案は、安全に軌道を上げられないかという提起である。ハッブルをより安定な軌道に再上昇させることは、そのオペレーションの寿命に何年か加えるかもしれない。しかし、問題はそれだけではない。その生涯の終わりに、NASAは、安全に軌道から外れ、あるいはハッブルを処分することを計画している。
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今日のテーマ: 砂嵐を待ち受ける (インサイト)