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9月30日: インジェニュイティの飛行はますます難し‎くなっている

2021年09月30日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

NASA‎‎のインジェニュイティ火星ヘリコプターが初めて火星を飛んでからの数ヶ月間に、火星でのヘリコプターの操作について多くを学んできた。‎多くの点で当初よりも容易になったが、ある点では次第に難しくなっている。火星の季節的な変化による低下する大気密度の懸念である。‎‎地球の設計では、数ヶ月、5回の飛行を予定し、地球の海面の大気密度の 1.2 ~ 1.5 %に相当する 0.0145 ~ 0.0185 kg/m‎‎3 ‎‎の飛行に備えてきた。しかし、6ヶ月目に入り、周辺密度が一層低下する季節になり、飛行に適した午後の時間帯に 0.012 kg/m‎‎3 (‎‎地球の1%)に落ちる可能性がある。この差は飛行能力に大きく影響する。大気密度の下限設計制限(0.0145 kg/m‎‎3)‎‎では、推力の余裕が少なくとも30%あることが分かっている。離陸、上昇、操縦中、および様々な高さで地形を追跡する際には追加の推力が必要になるが、今後数ヶ月で大気密度が 0.012 kg/m‎‎3 ‎‎に低下した場合、推力の余裕は8%まで低下し、失速の近くに落ちる可能性がある。この対策としてはローターを速く回転させることがあり、次の運用では、更に高いローター速度を慎重にテストする。--- 以上翻訳は要点のみ。

<出典>: 「インジェニュイティ(Ingenuity)」

<大判>: 大判はイメージをクリック。

<ひとこと>: インジェニュイティ(図の左)は、ローバー(図の右)の移動に帯同して、これまで13回の飛行を行ってきた。火星での飛行の難しさには、上記の揚力に強く関連する気圧の他に、地球と比較して、火星は、重力(引力)が著しく小さいことがある。上昇・下降の際の推力を微妙に自律調整できないと、離陸の際飛び上がり過ぎたり、着地の際地面に激突する恐れさえもある。更に難しいことは、地球上では同じ環境をつくることが難しく、似た条件下でのテストができないことが挙げられる。

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