日々是好舌

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蟹漬けに合ふ甜酒を見繕ふ

2023年05月10日 10時30分20秒 | グルメ


蟹漬けに合ふ甜酒を見繕ふ   白兎

がんづけにあふたむざけをみつくらふ

蟹胥(かにびしこ)は三夏の季語。子季語に、蟹醤、蟹漬。
蟹の塩辛のこと。蟹の肉や味噌に塩と唐辛子を混ぜ熟成させる。酒肴などに珍重される。
『がん漬け』は干満差の大きい干潟として知られる有明海沿岸地域で昔から食べられている郷土料理。干潟に棲む小型のカニをよく洗った後で丸ごとすりつぶし、塩や唐辛子などと混ぜ合わせてねかせる塩辛の一種だ。『がに漬け』、『がね漬け』などと呼ばれることもある。『万葉集』の第16巻3886番に『がん漬け』の作り方を詠んだ愉快な歌がある。
『万葉集』の原文は全て万葉仮名であるから訓読みを書いて置く。
おしてるや 難波の小江に 廬作り 隠りて居る 葦蟹を 大君召すと 何せむに 我を召すらめや 明けく 我が知ることを 歌人と 我を召すらめや 笛吹きと 我を召すらめや 琴弾きと 我を召すらめや かもかくも 命受けむと 今日今日と 飛鳥に至り 置くとも 置勿に至り つかねども 都久野に至り 東の 中の御門ゆ 参入り来て 命受くれば 馬にこそ ふもだしかくもの 牛にこそ 鼻縄はくれ あしひきの この片山の もむ楡を 五百枝剥き垂り 天照るや 日の異に干し さひづるや 韓臼に搗き 庭に立つ 手臼に搗き おしてるや 難波の小江の 初垂りを からく垂り来て 陶人の 作れる瓶を 今日行きて 明日取り持ち来 我が目らに 塩塗りたまひ きたひはやすも きたひはやすも。歌作者不詳(乞食者)。 
意訳は以下の通り。
私めは難波の小江に棲んでひっそり隠れている葦蟹(あしがに)でござんす。あいや聞いて下され、その私めを大君が召しておられるというじゃありませんか。どうして私めなんかお召しになるのでしょう。明らかなことは、歌う人とこの私めを、笛吹き人と私めを、琴弾き人と私めを、一緒に所望なさったらしい。とにもかくにもお召しをお受けしようと、今日明日の飛鳥に至り、置くともの置きなに至り、つかないとの都久野に至り、東の中の御門より参内して用命をお受けしました。私めが馬なら手綱、牛なら鼻輪で、片山の楡(にれ)の木につなぎとめるが、私めは蟹ゆえ幾日も日に干し、からからとさえずるような音を立てて、韓臼で搗き、庭に出て、手臼に搗くのでございます。そうしておいて、私めの故郷である難波の小江から作った濃く辛い初塩を陶職人の作る瓶(かめ)に垂らし込む。その瓶を早急に取り寄せてわが目に塗り込めるんでござんす。そうしておいて、干物にさらし、干物にさらすんでがんすよ 。画像出典:ウイキペディア。



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