日々是好舌

青柳新太郎のブログです。
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秣場に 住んでかれこれ 三〇年

2016年06月25日 07時06分43秒 | 日記
 筆者が今の住所へ定住した平成元年、この界隈は伝馬町新田川原添治郎兵衛開という小字(こあざ)の土地であった。勿論、当時から『桜町(さくらちょう)』と称していたのだが、これはあくまでも通称であって公(おおやけ)に認められたものではなかった。

 この界隈がいつの頃から桜町と呼ばれるようになったのか詳しいことは判らない。しかし、さほど古いことではないようだ。安倍川に新しい堤防が築かれた直後から堤内の官有無番地へ人が住み始め、やがて、市営住宅や県営住宅が建てられて、瞬く間に人口密集地になった。その頃、殺風景な堤防に桜の苗木が植えられて、年毎に綺麗(きれい)な花を咲かせた。これが桜町という町名の起源だというのが通説であるが果たして真実であろうか。

 明暦(めいれき)年間のことというから徳川四代将軍家綱の治世である。駿府伝馬町に飼育する駅馬の飼料に供するため、安倍川の河原の一部を『馬草場(まぐさば)』として賜った。伝馬町新田は、後年その場所を開墾してできた土地であり、安永年間(1772~78年)に一つの村としたもので、その村高は二百六十五石二斗八合であったと記録にある。

 驛傳馬(えきてんま)の制度は律令国家の成立とともに整備されたが、当時から安倍郡横田郷は駿河国の五駅六伝馬の一つとして主要な宿駅であったようで、平安期に書かれた『延喜式(えんぎしき)』などにも見える。以来、横田町近辺は東海道府中宿の中核として江戸期の上伝馬町、下伝馬町に至るまで宿駅としての役割を連綿と続けた。

 くどくどと歴史の講釈をしようというのではない。伝馬町新田は伝馬町に飼われていた駅馬や伝馬のための『馬草場』であったという事実がご理解戴ければよいのである。

 猪の肉をボタンというのは唐獅子牡丹の獅子とイノシシのシシをかけた洒落らしいが、馬肉のことをサクラというのは桜色をした肉という意味らしい。「咲いた桜になぜ駒つなぐ駒が勇めば花が散る」という歌もある。桜と馬は元々関係が深い。

 桜町の町名が堤防の桜に因むものか、はたまた伝馬町新田から伝馬町へ、伝馬町の馬から馬肉、馬肉からサクラへと連想ゲームさながらに想像力を働かせた所産なのかは賢明なる読者諸兄のご判断に委ねたい。


「写真の酒蒸しまんじゅう」
和菓子処 なかやま
静岡市葵区籠上12-54
電話054-271-5250

です。
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JR リニアの調査 杜撰です

2016年06月17日 13時30分20秒 | 日記
 リニア中央新幹線の建設に関して東海旅客鉄道株式会社が行った環境影響調査なかんずく動植物の調査結果は同社のホームページに公開されているが調査区域に棲息又は生育する動植物を網羅しているわけではない。問題になっているヤマトイワナは対象区域では確認できないと書いてある。

 静岡市では、南アルプスユネスコエコパーク地域内で計画されている中央新幹線建設事業の工事実施にあたり、現在の自然環境の状況等を独自に調査した。

 水資源影響調査は、南アルプスの水循環モデルを構築し、トンネル掘削による表流水、地下水への影響を予測した。この解析では、トンネル掘削による湧水量が1秒あたり約1.5tと予測され、大井川流域の表流水や地下水の流量が減少する可能性があるとした。

 大気質、水質、動植物調査は、南アルプスユネスコエコパーク地域内の大気汚染物質濃度、河川水質、希少動植物の生息、生育状況を調査し、現状を把握した。

 結果として、大気質については汚染が少ないこと、水質については極めて清澄であることが確認された。動植物については、46種の重要な種を確認した。その内、中央新幹線環境影響評価手続きでは確認されなかった13種を確認した。 

 県の絶滅危惧種の植物「ヒトツバテンナンショウ」など、事業者による環境影響評価(アセスメント)手続きでは確認されなかった動植物11種を含め44重要種を確認した。

 JR側が未確認の種はヒトツバテンナンショウのほか、環境省が準絶滅危惧種とするミズラモグラ、県が要注目種とする昆虫のウスイロオナガシジミなど。いずれも発生土置き場候補地や周辺で確認した。JR側が「確認されなかった」とする県指定絶滅危惧魚種のヤマトイワナは、JRの調査範囲外で確認し、「ごく局所的ではあるが、源流域に生息地は確実に存在する」とした。

 さて、人の生命は地球より重いなどという。それでは人類以外の動植物はどうなのであろうか。人為的な原因で絶滅してしまった動植物は数多い。 トキ・ハシブトゴイ・ムコジマメグロ・ニホンアシカ・ニホンオオカミ・エゾオオカミ・ミナミトミヨ等々枚挙にいとまがない。ほかにも1979年以来目撃例がないニホンカワウソもほぼ絶滅状態であると思われる。

 蛇足であるがトキのように文化的な必要性から保護センターを作って繁殖に努めている例もあるがあれは伊勢神宮の式年遷宮のときにトキの羽が必要なためだからと思われる。伊勢神宮では、式年遷宮で建物だけでなく、神宝も新調するのがならわしである。トキの羽が使われるのは、神宝の「須賀利御太刀(すがりのおんたち)」の柄の装飾です。

 13種の重要種が環境影響評価から抜けていた。この事実はJR東海の調査がいかに杜撰であったのかを如実に物語っている。一度、絶滅した種は二度とよみがえらないのである。これら絶滅を危惧される動植物の保全を杜撰な事業者に任せることのないように行政当局の厳正なる対応を求めたい。
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とび職は工事現場の華である

2016年06月12日 08時02分46秒 | 日記
 鳶職(とびしょく)とは、一般的に建設業で、高い所での作業を専門とする職人を指す。
町場では地業や基礎工事、簡単な間知石積なども行うことから「鳶、土工(土方)」と一括りで呼ばれることもある。

 建築現場の職人の間では、高所を華麗に動き回る事から「現場の華」とも称される。

 名前の由来は、棟上の時、梁から梁へ文字通り飛んだので鳶といわれる。
また、かつては鳶の使う道具として代表的なものが鳶口であった。この鳶口から鳶職といわれる。

 鳶口は、町火消(延焼家屋を曳き倒すときに使う)、梯子乗り(梯子を支えるのに使う)、木遣り(木をやりまわすのに必要)とは不可分な道具であると言える。

 現代では主に以下の3種類の鳶職に分類される。ただし、会社・職人によっては複数の職をこなせる場合がある。


足場鳶
 建築現場で必要な足場を設置する職人。単に高所作業を行うだけでなく、設置場所の状態や作業性、足場解体時の効率など、その場に応じて的確に判断して組み立てることが求められる。会社組織として、建築現場の仮設足場のレンタル・据付・解体を一体となって請け負っている場合が多い。

鉄骨鳶
 鉄骨構造の建築物において、鉄工所、FABなどで製作された柱や梁になる鋼材をクレーンなどで吊り上げて組み立てる(建て方・建て込みとも呼ばれる)鳶で鍛冶鳶などとも呼ぶ。

重量鳶
 土木では橋梁の現場で主桁架設を行う。また、建物内部の重量物(大型機械など)の据付(設置)を行うのも重量鳶である。足場・鉄骨鳶に比べて専門性が高く、プラント・空調給排水設備・電気設備工事の一部を重量鳶が仕事する場合も多い。

 作業服の中でも特に鳶服という分類がある。ニッカーボッカーズ型の裾が広がった七分と呼ばれる作業ズボンなど独特の作業服を着用していることが多い。地下足袋や、手甲(てっこう)脚絆(きゃはん)などを着用することもある。

 写真はフル装備したとび職の後姿であり、背中に背負っているのは「ハーネス型」または「フルハーネス型」ともよばれる、胴部の他に腿や肩にもベルトを通し、全身を保持する格好の安全帯である。

 ハーネス型は胴ベルト型と比較した際、抜け落ちる心配が無い点、墜落時の荷重が胴部に集中しない点(内臓や脊髄の損傷が生じにくい)、吊られた際も自然な姿勢が保てるという点が優れていると言える。このため、諸外国においては安全帯といえばハーネス型が常識とされているが、近年は国内においても鉄塔工事や高層建築の現場を中心にその普及を見せている。なお、平成14年には厚生労働省「安全帯の規格」にもハーネス型の項目が盛り込まれた。フルハーネス型の使用の注意点として、ランヤードは必ずショックアブソーバ付きのものを選択することが挙げられる。

 私が勤めている会社では、足場鳶のほか鉄骨の建て方、風力発電の風車の組立、第二東名の橋梁工事など鳶工事全般に対応している。

 最近では長野県で塗装業者の下請けだったがNEXCOの橋梁塗装の吊り足場や富士市で高さ100メートル以上もある煙突の吊り足場、清水区でエスパルスドリームプラザの観覧車の塗装足場を施工した。

 私自身は高所恐怖症だから高いところは苦手である。子供のころには平気だったのだが井川高原の栗の木から落ちて尻に栗の毬が刺さってからは急に高所恐怖症になりました。
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藻屑蟹伊豆は河津の名物だ

2016年06月01日 14時33分14秒 | グルメ
 モクズガニ(藻屑蟹)は、エビ目(十脚目)・カニ下目・イワガニ科に分類されるカニの一種。食用として有名な「上海蟹」(チュウゴクモクズガニ)の同属異種であり、日本各地で食用にされている内水面漁業の重要漁獲種である。

 別名については、モクゾウガニ(千葉県習志野市)、ズガニ(静岡県伊豆地方)、ツガニ、ツガネ(長崎県)、ヤマタロウ、カワガニ、ケガニ、ヒゲガニ(徳島県貞光町)、ガンチ(徳島県阿南市)、太田川流域の広島市では「毛ガニ」などがある。モクズガニはおもに関東地方の呼び名であり、西日本ではツガニやズガニと呼ぶ地域が多い

 甲幅は7-8cm、体重180gほどに成長する、川に産するカニの中では大型種である。鋏脚に濃い毛が生えるのが大きな特徴で、"Mitten crab(手袋ガニ)"という英名もこの毛に由来している。

 成体はおもに晩夏から秋に河川の淡水域に出現する。雌雄とも、一部の個体は越冬するが、多くの個体は秋から冬にかけて繁殖のために海へ下る。そのため成体は春以降夏の終わりまで淡水域ではほとんど採集されない。河口や海岸では、秋から翌年の初夏にかけて甲幅3-8cm程度の成体が採集される。長く海にいる成体には甲に海藻が付着していることがあり、時には20cm以上に成長した緑藻が見られることもある。

 日本各地で「ツガネ」「ツガニ」(津蟹)、「ヤマタロウ」(山太郎)などという方言でよばれ、古来から食用にされてきた。漁はふつう秋から冬にかけて産卵のために川を下るモクズガニを狙い、梁のような仕切りを併用した籠漁などがおこなわれる。

 消費傾向は地域により差があり、多くの地域で地元で自家消費される他、県内で販売され消費される地域が多い。九州は消費の盛んな地域であり、鹿児島、宮崎、大分、島根などから福岡や北九州方面へ出荷されている。

 炭坑のあった筑豊では、穴から出られるという縁起担ぎのために食する習慣があった。また富山や福井から関西・中京方面へ出荷されることもある。四国では仁淀川や四万十川のものが有名である。

 食べ方は基本的に上海蟹と同じで、大雑把に2つ折にして甲羅の身にかぶりつくと、この香りと甘味旨味が人生観が変わるほどに旨い。またこれを臼などでつぶして水で濾し、それをみそ汁などにする。これは全国どこでも行われる料理である。郷土料理では、寿司、煮物、釜飯などにするところもある。

 写真の固体は私が施工した静岡市駿河区の都市河川から採取したもので栄養状態が少し悪いようである。獲れたところが下水同様のところだったから食べることはしなかった。

 この蟹は幸運にも現場へ働きに来ていた職人さんによって葵区油山の清流油山川(安倍川支流)へ放流された。
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