ふみさんの日々雑感

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あとに残された人へ 1000の風

2007-08-16 19:51:49 | Weblog
実家に帰ると、いつも風を感ずる。子供の頃から、たえず色々な風が吹いていた。家の周りの沢山の高い杉の木。そして、北側の一部は竹林。

空に近い杉の梢だけを渡る風の音。竹林を揺らす風のささやき。田んぼの向こうの裏山でざわめく風の声が稲穂を波打たせ、家の周りを回って通り過ぎて行く。

初めて、今のマンションを見に来た時、風が無いのに、遠くで大きな木々の梢を渡る風の音を聞いた。それは、目の前に広がる里山からだった。懐かしい故郷と同じ空気の震えを感じた。私は、この風が棲む丘が気に入った。

この詩を読んだのはいつだったろう。思わず懐かしくて涙ぐんだ。私には死者からのメッセージというよりは、故郷の緑豊かな山、家の脇を流れる小川、柔らか色の空、稲穂たなびく田んぼ、そして、いつも耳に感じる七色の風の音。

私の心にしっかりと思い出として残っていている、優しい田舎の風景。今は、失われつつある故郷の原型。

友達や姉に「素敵な詩があるよ」と教えたけど、その時は興味無さそうだった。清々しい歌声が流れるようになって、大変なブームになった。姉さえもCDを買った。

私はまだまともにこの歌を聞いていない。なぜか私の心のイメージと違うような気がして…。

でも、作曲をした新井満氏の曲が出来るまでを読んで、ちゃんと聞いてみようかな、と思った。

彼が作曲した北海道の家の周りでは様々な色の、形の、大きさの風が吹いていた。なかなか曲が出来ず苦しんでいた時、ボーっと風の流れを見ていたら、すっと出来たという。

実家にいる間中、風の中に去年亡くなった父を感じていた。家の中に、自分で大切に刈り込んでいた庭木のそばに、緑に揺れる稲穂の中に、山菜やキノコを取りに行った裏山に。

たった一つの、私の父という風になって。父さん、また帰って来るから、風になって私を抱きしめてね。



《「ダーク・エンジェル」22巻にのっていた“あとに残された人へ1000の風”三五館刊》

私の墓石の前に立って涙を流さないでください

私はそこにはいません

眠ってなんかいません

私は1000の風になって吹きぬけています

私はダイヤモンドのように雪の上で輝いています

私は陽の光になって
   熱した穀物にふりそそいでいます

秋にはやさしい雨になります

朝の静けさのなかであなたが目覚める時

私はすばやい流れとなって駆けあがり
鳥たちを空でくるくる舞わせています

夜には星になり私はそっと光っています

どうか その墓石の前で泣かないでください

私はそこにはいません

私は死んでないのです



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