ふみさんの日々雑感

生活の事、家族の事、大好きなサッカーの事・・・日々いろいろ

映画「殯の森」

2007-06-02 13:46:48 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
まるで、ドキュメンタリーを見ているような映画だった。そして、圧倒的な森、木々、茶畑の緑・・・緑・・・緑。

その豊かな緑の中に、老人達のグループホームがある。昔の民家を改造して。彼らはゆったりと自然のままに生活し、そして彼岸に旅立っていくのだろう。

あの戦争を生抜き、そして苦難の人生を歩んで来たであろう人達が、自分の家族ではなく自分が生活して来た場所ではなく、自然の中であるがままに生を終えた行く。

私の子供の頃の田舎では、老人は前の日まで田んぼや畑で働いていた。“生とは、死とは”なんて考えは無かったのではないかしら。村の墓場の真ん中には、焼き場があった。村々が元気で、活気があった頃は老人達の死は日常だった。

文明が豊かになり、人間が長生きするようになって、死に方が難しくなった。

生き方は、それぞれ千差万別だけど、“死”はすべての人に100%例外なく訪れえる。自分の生がどこで終わり、死がどんな訪れ方をするか、誰にも分からない。無念の死を遂げる人もいるだろうし、穏やかに死を迎える人もいるだろう。本当に生きる事よりも、死ぬ事のほうが大変になっている。

映画の中の認知症の“しげきさん”。元気一杯のしげきさん。森の中に分け入り、亡くなった奥さんのお墓を探すというしげきさん。奥さんが眠るという場所に穴を掘り、その中に大事なリュックを抱えて丸くなって目を瞑ったしげきさん。まるで、お母さんの子宮の中に戻ってしまったように、幸せそう目を閉じたしげきさん。

これを書きながら、窓の外を見る。里山の木々が映画のように、風で揺れている。人間は自然の一部であり、ずっと共存して来た時代もあった。でも、いつから自然は征服するものに変わって来たのだろう。

私の住んでいる所は、横から見れば里山があり豊かな緑に囲まれている。でも、衛星写真で見ると、たくさんの無残な引っ掻き傷だらけである。そう、たくさんのゴルフ場があるのだ。そして、この里山の一部が消えてなくなり、住宅地になろうとしている。

世界を見れば急速に緑が消えて砂漠化して行っている。幸いにも日本には緑豊かな林や森や山がある。青々とした田んぼや畑もある。それらを見て、開発して金を儲けようと思わないでほしい。今の時代で消費しないで、このまま未来人に渡してほしいと、切実に思う。







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする